PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

強肉弱食

ルマンドさん、あなたにとって騎士道とは、どのようなものでしょう」


「こいつぁ雨が降るんじゃあねーですかい?あのお気楽のんびりお優しーい殿下のぼっちゃんが、馬鹿に哲学をお聞きなさる。騎士道ってもんがこの俺にあると思いますかい?」


 あぁ、茶化しましたよ。なんたって俺は貴族っつーもんが一番嫌いですからね。おべんきょーの時間は昼寝に限る。起こしやがったらぶっ飛ばす。そんくらいよぉ、いくらおたくでも、ちょっと考えりゃわかるもんなんじゃねーの?下らねぇ質問に答えてる暇があったら、小銭でも数えてたいもんでしょ。おたくらの言う、下賎の民っつーもんは所詮そんな奴等ばっかりだ。


ルマンドさんは、聖騎士ですから」


 ……それなのにこのガキんちょは、皮肉も受け取らねーときた。どうも噛み合わねーわ。やっぱ頭でごちゃごちゃと思考する凡人の王様の方が、よっぽど話やすい。俺は馬鹿だけど、ここまで間抜けじゃねーですよ。今のが俺に対する侮辱になってるっつーことも、わかってねぇんでしょーねぇ。
 聖騎士様、ね。へーへー、念推ししなくともわかってますって。俺はおたくらに負けたんでしょ、徹底的に。だからこんな場所にいる。ようはそういうことですよ。ですからねぇ……


「……騎士道なんてもんは知りませんけどね、弱ぇもんは喰われる。そいつが俺の信念ですよぼっちゃん。そこに罪悪感なんてありますかい?つえぇ奴が生き残る。弱ぇ奴が死ぬんでしょーよ。そりゃ、寝しょんべん垂れの赤んぼうだって知ってますし、俺はそのクソガキ程度のことしか知りませんよ」


 弱肉強食って奴だ。どんなに泣き言喚こうが、所詮はそれに尽きちまう。抗えねぇ摂理であり……世間様に虐げられた俺たちの、唯一の美学なんですわ。
 そうだろ。勝てば好きに出来るんだぜ。残酷とか言わねーでくれよ、俺たちは産まれながらにお前ら貴族の犬。負け犬だ。好き放題に虐げられる負け犬なんだよ。勝ちとらなきゃ、永遠にな。そいつを教えてくれたのは、他でもねぇ、おたくら貴族のみなさんだ。
 その唯一残された俺たちクズの生き方を、残酷だとか言える奴ぁ、世界で一番残酷な野郎だよ。


「わかりました?だから俺みてーなただの賊に、騎士道なんつー立派なもんは……」


「それならルマンドさんは、やっぱりお強いのですね」


「……おい、あんた一体何を聞いてたんです?どうしてそうなる?」


「貴方は生きていますから」


 ……困った。
 こんときの俺は心底困った。冗談抜きで固まっちまった。寒い冗談飛ばされたからじゃあねぇ。その時の殿下の目を見ちまったんだよ。

 なんつー、死んだ目をしてやがる。

 

「───!!おい、あんた……」


「良いお話が出来ました。参考にしたいと思います」


 殿下のぼっちゃんは、それで充分だってな感じで背中を向けたよ。その鎧も着てねぇ薄っぺらい服だけの弱そうな背中を、他でもないこの俺に対して向けた。心臓丸出しの位置でだ。
 そうだ。おたくも思った通りな、無様でも生き残りゃそいつは強者。どれほど格好つけようが、死んじまえば弱者。


 俺はなぁ、ぼっちゃん。弱ぇ仲間を切り捨ててきた頭領だ。あんたらのような大義名分なんてありゃしねぇ、足手まといの仲間を容赦なく捨てた個人主義のならず者なんですぜ。
 あんた、罪もなんもねぇ仲間を殺した経験はあるかよ。俺は、それが出来るから生きてこれた。こーやってな。
 そういう奴に背中を向けて良いんですかい、なぁ、『貴族様』よ。


 俺は、手に持ったナイフを、殿下の背中に向けて───

 

 

 


 ───床に放り投げた。

 

 


「やっぱり、貴方は強い人です」


 直感的に感じる。俺は恐らくたった今……弱者にならずに済んだ。
 どんな世界で生きてきたのか、あのぼっちゃん……既に死に慣れてやがる。
 ありゃ、闇討ち程度じゃ殺せないんでしょーねぇ。ま、一緒にいりゃ俺も死ぬことないわけで。


 へーへー、わかってるって。それで充分。俺は満足ですよ、ショコラ殿下。