PFCS SS劇場!

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コロルの村の伝承

 昔昔、ある荒廃した山々に信心深い人間たちが暮らしていました。彼らは、徐々に徐々にと枯れていくその大地に、特別深い愛着があったのです。
 
 元は移動する民族。ですが世は波乱に満ちていて、隠れ住める地があるのなら根付きたい。そう考えた人たちは、考え方を変えました。すでにある土地に住むのではない、これから住む土地をはぐくんでいくのだと。
 
 誰も近づくことのない、薄く、寂れたその場所に、彼らは知恵を寄せ合って村をつくるのでした。田畑を耕し、過酷な中で育つ野草を探し、土を掘って泉を作り、形はひどい有様ですが、それでも少しずつ確かに、村は育っていったのでありました。
 
 ですがやっぱり人が住めるなど、夢のまた夢。思いついてすぐできるのなら誰しもがやっております。村人には限界が訪れつつあり、老人は負担を減らすために山を下り、若い者は考え方に納得できず飛び出して、そうして残ったこの者たちは、何かにすがっていかなくては心がもたないと、ついに悟ったのです。
 
 そして、村人は「偶像」を作り上げました。名は「コロル」。その地に元々居る神様と考えて、土や石でその像を作りました。大がかりなものは人手や材料が足りない為、コロルの姿かたちはとても単純なものになったのです。おかっぱで、ビーダマのような飾りと、器のような帽子を被った数センチ程の小さな神様。
 
 村人はコロルが住みやすく、喜ぶであろういろいろなものを村に用意しました。貧困極まりない、とても辛い生活だったのにもかかわらず、コロルの為の村づくりをし始めたみんなは凄く楽しみながら生活できていたのです。
 
 しかし、現実とはかくも無残な物なのです。どんなに少しずつ積み上げてきても、突然襲う自然現象には耐えきれなかったのでありました。村人は元移動民族の知恵を活かして避難に成功しましたが、コロルの村は何も残らず平たんに。少しずつ緑の増えた大地であっても、山のふもとという不運が災いし、上から落ちる濁流にみな飲まれてしまったのでした。
 
 コロルの村人は、一度はこの場所を手放そうとも考えたのです。しかし彼らは土着の神を作り上げてしまいました。コロルは、ここにしか住めないのです
 
 どれだけ時間がかかろうと、何度壊され、流されようと、村人はコロルの為にこの地を守りたかったのです。しかし、そんな余裕も、体力も、人手も、なにもかもが足りませんでした。
 
 絶望に涙する村人たち。ですが、その時でした。あの方が現れたのは。
 
 手を空にかざすだけで土を自在に操って、人が住むのにはあまりにも小さな家を、次から次へと建てていくその姿。彼らは不思議に思いました。とがった耳を上下に揺らし、優しく大地を積み立てていく少女。すなわち、精霊に出会ったのです。
 
 村人は問いました。何をしているのでしょうか。少女は答えました。小さな生命が私を呼ぶ声がした、と。そして、少女はその声に従うままに、声の主が住むという家を建てていたのでした。
 
 村人は驚きました。その小さな家の形に見覚えがあるのです。そう、みんなで作ったコロルの家。彼女が聞いた声の主は、なんと小人だというのでした。
 
 少女は村人に言いました。
 
「この土地には、加護が宿っている。信仰が芽生え、初々しい生命がある。故に、この土地は大事にしなきゃいけない霊脈になったのです。私は精霊。名を、『グノーメアリー・ロックフォルティ』。この土地を護る為に遣わされた者」
 
 グノーメアリーが両手を上げると、見る見るうちに村は蘇っていきました。この奇跡を称え、村人は彼女こそを神と崇めようとしましたが、メアリーはそれを拒みました。
 
「信仰対象が居るこの土地を、あなた方は私と共に守らねばなりません。私はあなたがたが信仰する神に、直接ことづてをいただいたのですから。それを忘れてはなりません。罰が当たってしまうのです」
 
 村人たちは、はっとしました。コロルはあくまでも自分たちが作った偶像。それなのに、彼女はそれに呼ばれたと言います。コロルは実在していたのです。そして、彼らはそのコロルを育み、ついに神様としての力を取り戻したというのです。
 
「偶然なことなどなく、全ては因果にあるのです。あなた方が信仰した神は、忘れ去られ、この世界に隠れてしまっていた神。ですが、あなた方がこの村を作り始めたとき、その手助けをしてくれていたのはその神様なのです。そしてあなた方は、細々とでも健やかに過ごせたことを、かの神様の恩恵と受け取り、正しい加護を授かることができました。故にあなた方は幸せであったのです」
 
 村人たちはメアリーの言うことを信じ、そしてコロルの神が自分たちを助けてくれていたことを思い知り、深く、深く心からの感謝をするのでありました。
 
 そうしてこの村の者たちは、メアリーとその仲間の精霊たちと共にこの土地を、コロルを守り続け、大地のすばらしさを信仰するようになったのです。
 
 どれほど貧しくても、どれほど辛くても、コロルは必ずいるのです。そして貧しい者たちを、ずっとずっと幸せになるまで見守るのでした。
 
 めでたしめでたし。