PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

想い。すれ違い。

 鬼ちゃんは活動的な日と、そうでない日がある。その違いは良くわからないけれど、きっと鬼ちゃんにとって良くない何かがある日。そういう日は僕も休んで良い日だって、いつの間にかそういう流れになっていた。
 疲れることもないけれど、その代わり鬼ちゃんと話す機会もない。特に、今の自分になんの価値があるのかと考え出すと不安になってくる。
 このお城には僕の役割がある。僕がいることが不自然じゃない。僕が僕のまま居続けてもいいんだと許される、限定的だけどとても優しい空間がある。メルバ様は好きにしなさいと言うけれど、好きにしても良いなら僕はここにいたい。鬼ちゃんの手助けをしたいと、初めて抱いた自分の意思でそう思う。

 

 

 ウチはおやつを束縛し続けている。ただの世話焼き係のつもりで持ち帰った人間が、何故だか嫌がることもなくウチのなすがままにされている。
 自分の生活があるだろうに、やるべきこともあるだろうに、ウチがあいつの近くにいると、あいつはウチの目を見てくれる。逸らすことなく見続けてくれる。いつまででも、何をしていても変わらないから、結局ウチが目を離す。
 自分自身でやっておきながら、自分自身で逃げ出そうとする。屍人になるまで迷うことなく、屍人になってから戸惑っている。中途半端。自分で決めてきたことが、いつも自分の首をしめる。
 この城にとってウチは厄介者の筈だ。なのにメルバも男爵の野郎も、責めることなくウチを受け入れてくれている。
 こんなウチでも自由にしていいと言うのであれば、ウチは一人で消えてしまいたい。でもウチは知っている。自分の意思で生きれば、ウチはまた後悔する。
 この身体の制約をうけ、初めて捨てた自分の意思。今はそれだけが心地よい。

 

 

 鬼ちゃんの部屋に入れてもらった。具合が悪いときほど、近くにいてあげたいって思ってる。またあの時みたいに暴走したら、鬼ちゃんの苦しさを少なくしてあげられるのは僕しかいない。
 血を吸われるのは痛いし怖い。それでも嫌だと思わない。だって、吸うのは鬼ちゃんだ。それなら何も心配いらない。僕は鬼ちゃんのものだから。

 

 おやつが部屋に入ってきた。体調が優れない時は危ないって、おやつは見たからわかる筈だ。いつかみたいに暴走したら、ウチは今度こそおやつを吸い殺してしまうかもしれないのに。
 血を吸うのは気持ちが良いし気分が良い。だとしてもウチはできれば吸いたくない。吸うのはおやつのだけ。だから傷つけてしまうことが辛い。おやつはウチのものだから。

 

 鬼ちゃんは寝たきりのまま動かない。疲れが溜まっているみたいだから、起こさずゆっくり休んでほしい。鬼ちゃんが安心して眠れるように、僕も出来るだけこの部屋にいるつもり。
 結局これくらいしかできないけれど、唯一自分が信じられる選択だ。だって、自由になった僕にとっては鬼ちゃんこそが……

 

 

 おやつは部屋を出ていくつもりがないらしい。屍人は寝ないということをしらないのだろう。近くにいるというのが気になっておちおち休めない。でも、おやつをこれ以上束縛したくないからウチはおやつの行動に口を挟みたくない。
 近くにいると安心してしまう。それでいいのかと疑心暗鬼にさせられる。だって、自由を捨てたウチにとってはおやつだけが……

 

 

『守り続けたい日常だから……』