PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

フリーダム博士

テルー「ちょっといいかね……」


ティナ「はい!何かお求めですか?」


テルー「このハニデビハニーの味を見たいのだが……」


ティナ「えぇ、それは今朝とれたばかりのハニーです。甘くて口当たりに優しい味ですよ!」


テルー「今朝……?君……ハニデビハニーを混ぜものを売るのはやめたまえ……ハニデビハニーは純粋なものほど美味なのだよ……」


ティナ「あぁ、ご心配無く!そちらは正真正銘、一つの子から採取した純粋なハニーですよ」


テルー「ふむ……あり得ないと言いたい所だがね……憶測で否定しては天才の名が廃る……採取を見学してもいいかね……」


ティナ「え、えぇ……。そろそろあの子が起きる時間だと思いますから、ついでにどうぞ」


テルー「あの子とは何かね……」


ティナ「あ、すみません、ハニーデビルの事です。僕、育てている植物に名前をつけてしまう癖がありまして……」


テルー「なるほど……いや、大切な心構えだ……気にしないでくれたまえよ……」


ティナ「この子です。他の子と違ってこの子は寝坊助さんなので、採取はいつもお昼頃になっちゃうんです」


テルー「確かに非活動状態にあるが……君は植物の状態を読み取れるだけの知識を有しているのかね……」


ティナ「ち、知識と言えるほどのものでは……」


テルー「ふむ……あらかたこの国の植物信仰の精霊による加護の副産物といったところだろうね……」


ティナ「あ、起きたみたいです。採取しますね」さすりさすり


テルー「……ほう……これは見事なものだ……技術のみでここまで採取量に差が出るとは……」


ティナ「寝起きですからこのくらいですが、機嫌が良いともうひとまわりとれます。はい、採れたてです!やっぱり採れたては一番美味しいですよね!」


テルー「それには同感するが……しかしだね、君……」


ティナ「はい?」


テルー「これは良くない……褒められるところは量と鮮度だけだね……」


ティナ「な……なんでですか……?この子達がお気に召しませんか……?」


テルー「これ……いや、彼らは『不健康』だと言っているのだよ、君……」


ティナ「不健康……?で、ですがその、今も元気でこうして……あの、何がいけないんでしょうか……」


テルー「むうぅ……」カキカキ


『身体が健康体であることと精神が正常であることとは、関係性はあれど同一ではない。人で例えるならば、気分が元気かつ絶好調であったとしても肥満体型であったり運動不足であることとはまた問題点が違うだろう。彼らは元気ではあるが不健康なのだよ』


ティナ「なるほど……確かに、大きくなりすぎたりだらしなさが目立つときがあります……」


テルー「植物にも程よい栄養と適切な飼育環境を正しく与えてやらねば、質の良い蜜や種を作れなくなるというものだよ君……」


ティナ「栄養と環境ですか……。あの、それはやっぱり、今の飼育環境が良くないのでしょうか……あまりお金がなくて、その……これでもギリギリで……」


テルー「適切な環境など、結局のところ自然にしか存在しないのだよ……。彼らにとっての良い環境は、今の環境に他ならない……だが、まだ出来ることはあるのではないかね……」


ティナ「出来ること……」


テルー「例えば温度だよ……室温計のようなものは見かけたが……地中温度計は使っているかね……」


ティナ「地中…温度計……?」


テルー「むうぅ……」カキカキ


『地温を確認する為に作られたメモリ部の曲がった専用の温度計の事である。通常の温度計とさして変わらない構造だが植物からすれば根の触れる土は人で言う服以上に重要な温度調節の要でありこの国の文化圏ならば地中温度計くらい流通されている筈だがね』


ティナ「わぁー、知りませんでした……。お詳しいですね、あの……もしかすると他国の植物学者さんとか……」


テルー「チュリグで研究をしているテルーと言う者だ……もっとも、研究は趣味だがね……」


ティナ「テルー博士さんですね、よろし……て、テルー博士!?えっと、グリム化学賞の!?」


テルー「まぁ、どうやらそのテルーのようだが……なんだね、そこまで広く知られてるものなのかね……そのなんたらいう賞は……」


ティナ「し、知られてるもなにも!植物の信仰をしている精霊にとってテルー博士の研究は大変革命的で新種発見から絶滅危惧種の救済までそれはもう大変な活躍で、この前の論文の発表もとても心打たれるもので……」


テルー「落ち着きたまえよ君……私の知的好奇心がたまたま君たちの利になっただけのことだよ……」


ティナ「ご謙遜を……でも、どうして僕のお店に開店から来ていただけたのでしょう……あまり胸を張れるものもありませんけれど……」


テルー「それはだね……。昨晩夜食に食べたトーストにかけたハニデビハニーが、この国のこの店によるものだと聞いたのだよ……どうにも気になっていたのだがどうやら解決したようだ……」


ティナ「あ、あの……品質には心がけているつもりなのですが、何かお気に召されなかったのでしょうか……」


テルー「いや、どうにも惜しい……。あのハニーは99点なのだよ……95点程度ならこんなものかと流すところだが、たった一点足りないというのは歯切れが悪いものだ……失礼するよ……」スポッ


ティナ「土に指を入れて……一体何を……」


テルー「私は土を信仰していてね……熱伝導の加護を有しているのだよ……もっとも、あまり真面目ではないので人肌に温める程度だがね……」


ティナ「……!なるほど、肌寒さで水分の吸収率が数パーセント下がっていたってことかな……」


テルー「ほう……わかるのかね……一号君ならもう二回ほどレクチャーしなくては理解できないだろうに……」


ティナ「この子とはずっと一緒にお店を経営して来ましたから……美味しそうに水を飲んでいるのが伝わるんです……良かったね、あったかくなって……」


テルー「ふむ……私にもその観察眼が欲しいところだよ……スッキリしたので帰るがね、後程採取したものを送ってくれたまえよ……請求先は後で一号君に越させるのでね……」


ティナ「え!あ、あの、それだけの為にわざわざドレスタニアまで……?」


テルー「そうだが……もう少し落ち着いて見て回りたいのだがなんたらいう賞の授賞式とやらが今日の夕方からでね……王に謁見しなくてはいけないのだよ……」


ティナ「夕方からって……あ、あの!?今からの出航だと到着は日が暮れるころです!あ、後からでもよかったのでは……」


テルー「落ち着きたまえよ……仮に遅れたとしても我が王はそこのところ寛容な御方だよ……二号君に残業代を出して時間稼ぎさせておけばなんとかなるだろう……グリム外交官殿には迷惑をかけるかも知れないが、私みたいな手合いは慣れている筈だ……」


ティナ「す、すごく……ご自由にされていらっしゃいますね……」


テルー「多少は申し訳なく思っているが、それも心配はいらないよ君……。この店の日持ちするお菓子とお茶をありったけ包んでくれたまえ……。それでどうにかなる……」


ティナ「ぼぼ、僕のお店のお菓子ですか!?もっと、あの……この国には王様にも恥ずかしくない銘菓が沢山あると……」


テルー「『この私』が直々に選んだお茶と菓子だよ君……。心配しなくても君が信頼に足るという確証が私にはあるのだよ……胸を張りたまえ、三流学者ではわからんだろうが植物に対する愛は時に化学反応を引き起こす……君の店の菓子にはそういった唯一無二の味が現れているのだよ……」


ティナ「そ、そんな……えへへ、ありがとうございます!それでしたら港まですぐお持ちしますので、先に向かっていてください!」


一号「あぁ!!博士こんなところに!!もぉー!!捜したんですよすっっっっごく!!とても美人な占い屋にダウジングまでしてもらったんですから!!」


テルー「君にしては気の利くタイミングだ一号君。君も彼を手伝いたまえ。王への献上品だ、丁寧かつ迅速に運んでくるのだよ……」


一号「え!?ちょっと!!博士、博士ー!!」


ティナ「……た、大変ですね……」


一号「まったくあの人は……え……?(か、かわいい……)」トゥンク


ティナ「……?」


一号「あ、あの……僕博士を送ったら今日は休みなんだけど、お、お茶とかどうかな……?」


ティナ「……えっと、あの、すみません……僕、男ですからその……」


一号「えぇー!?ほ、本当に!?」


アンナ「(このお店からとっても良い匂いがするわ!!)」