PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

ドレスタニアの血

エリーゼ「……!!が、ガーナ様、珍しいですね……こんなところで……」


ガーナ「エリーゼか。毎度ご苦労な事だ……。そんな誰にも好かれんような元国王の墓なぞ、雨ざらしで充分だ。拭く価値もない」


エリーゼ「まったく、亡くしてなお悪態つきに来る程嫌いですか。慣れましたけど……しかし、口でそう言いながらなんです、その手の葡萄酒は……」


ガーナ「あぁこれか。呪詛酒だ。好きだろう多分」


エリーゼ「うっわ……良くそんな皮肉思い付く……」


ガーナ「む……。まぁなんだ、私も口にしたことはあるが、案外良いものだ。今の世だからこそ作れる。奴にも愛国心はあるだろう、報告も兼ねている。嫌がらせついでだがな」


エリーゼ「やってることは鬼畜ですけど……報告とかもするんですね。意外と言うか雨降りそうというか……少し心変わりされました?」


ガーナ「いや、もう意地を張る歳でもあるまい。ガトーを許すなどといった無駄極まりない言葉を吐くつもりもないが、それとこれとは別だろう。……ドレスタニアの未来を考えるきっかけになるやもわからん。胸焼けをするような気分だが、たまにはこうして墓に悪態をつくのも悪くなかろう」


エリーゼ「素直じゃありませんね、相変わらず」ボソッ


ガーナ「なにか言ったか?」


エリーゼ「いーえ。なにも。それで、なにか思い付きました?」


ガーナ「ふむ……そうだな。奴の親としての甲斐性だけで判断すれば、実に滑稽で浅ましい男であったと未だに言えるが、少し視点を変えればガトーはある意味で偉業を成したのかもしれん」


エリーゼ「偉業、ですか。ガトー様はあの時代、王としてご立派であったと私は思ってますが、偉業と言いますと……」


ガーナ「いや、『ドレスタニア王』としての奴はとても褒められたものではない。代々赤い髪の我が家系には、ある種呪いともとれる特徴がある」


エリーゼ「ドレスタニア一族の、呪いですか……?初耳ですが……」


ガーナ「語る必要もないのでな。赤髪の一族は冷酷で残忍で、他者を恐怖でもって支配する才能……カリスマとやらがあるという。なんでも、眼に曰くがあるとかないとか。かなり昔に迷信によってその一族は滅ぼされたのだが、その生き残りがドレスタニアの祖と言われている」


エリーゼ「……文面通りと言えば、ガトー様もガーナ様も当てはまるかもしれませんね」


ガーナ「あぁ。この特性をガトーは『覇道』と呼んだ。しかし、奴はドレスタニア家の覇道の運命から逃げた。それでも王の道を進もうと言うのだから、随分と中途半端な人間でな。……この血のせいで凡人にもなりきれず、かといってドレスタニア家の恥晒しだ」


エリーゼ「なぜガトー様は、運命に逆らおうと思ったのです?何か特別な理由でも?」


ガーナ「『恋』だ。ガトーは、不運にも母上と出会い、自身をの立場を呪った」


エリーゼ「呪うって……。し、しかし、何て言いますか、若いガトー様は大層美形でしたし、ガーナ様も……こほん。ど、ドレスタニアの血筋は女性からのアプローチも多かったのでは……?当時も身分違いが厳しい世ではないはずですし、その、お母様も名のある家柄の筈では……」


ガーナ「……我が血筋はな、母が子を孕むと早死にをするという、統計的に偶然とは言い難い特性がある」


エリーゼ「な、なんですって……!?そ、それじゃ、ガーナ様は……」


ガーナ「……そこが、ガトーの唯一の功績かもしれん」


エリーゼ「そ、それが、ですか……。どういうことですか……?」


ガーナ「過程は褒められたものではないが、どうあれガトーは『赤髪の血を薄めた』。……呪われた運命に縛られていないショコラを作ることができた。それは偉業だ」


エリーゼ「……ガトー様は、この国の呪いに耐えられる子に、と常日頃から口にしていました。報われていたのでしょうか……」


ガーナ「奴の感情など知らん。私はドレスタニアの血を受け、あの軟弱者の代わりにすべきことを果たした。混乱する世を力で制圧し、恐怖で縛り付け、強制的な戦争の終結を実現した。無論、その手段は『褒められたものではない』と知りながらだ」


エリーゼ「ガーナ様。……ご自身を責めないでくださいといつも言ってますよ?」


ガーナ「……すまん。だが、」


エリーゼ「……それしか、ありませんでしたからね。あの時代は……」


ガーナ「私は奴に出来なかったことをしたまでだ。心残りはない。覇道の時代は終わりだ、もうここで終わらせていい。にわかには信じがたいことだが、ショコラが即位してからのこの国の変わり方は良い方向だと思える。……敵は未だ多いが、今の私はそのために生かされているのだろう。威圧や強制も民を守る手段の一つだがあいつはそれをまだ知らん」


エリーゼ「……ガーナ様はご結婚を考えたことはありますか?」


ガーナ「王族の結婚など政治的な儀式に過ぎん。今更義務もなかろう。私にはもはや過ぎた代物だ。ガトーとは違うからな」


エリーゼ「そう、ですか……」


ガーナ「お前はどうなのだ。そういえばそのような素振りも見せんから、考えたことも無かったが……」


エリーゼ「言ってくれますね。貴方のお陰で婚期なんてとうの昔に過ぎ去りましたよ、薄情もの」


ガーナ「む……。縛り付けていたつもりはないが……」


エリーゼ「縛りまくってます!!恋やら何やらにあけくれる程満足な休みなんてありました!?責任とってくださいよ!!」


ガーナ「まぁ落ち着け。そうならなかった時の為に、一応私もそれなりに考えている。安心しろ、責任は私がとる」


エリーゼ「えっ……?ちょ、そそ、そんな急に言われましても……」


ガーナ「終身雇用は勿論だが、退職金に加え数々の功績の報償金と、念のために記録しておいた時間外勤務分の残業代も全て含めれば……まぁ、一等地にこの城と同等のものを建ててなお5世代は跨げる額だ。宝石にも困らんぞ。前借りも調整次第だが考えよう」


エリーゼ「……」


ガーナ「む、妥当だと思うが、まぁ他にも相談はいくらでも……」


エリーゼ「はぁ……。そんなことだろうとは思いましたけど。ガトー様のせいですよこうなったの!!わかってんですかこのっ!!このっ!!」


ガーナ「お、落ち着けエリーゼ!足を痛めかねん、棒か何かでやれ!!」


ガトー「すまん……」


ガーナ「さて、帰るとしよう。少し先の話をしたがまだやってもらいたいことはたくさんあるのだ。悪いがもうしばらく城に居てくれ」


エリーゼ「はいはい……。ずっと居ますよ、結婚なんて所詮儀式ですし、こうなったら結果で勝負です……」


ガーナ「む、なんの話だ?」


エリーゼ「こっちの話ですー!!」