PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

ドランカーズ・ハンターズ

 とある干からびた町に、好きに暴れる鬼がいた。勲章のように身体に傷痕を這わせ、恐れおののく人間を片腕で軽々と数人持ち上げるような巨漢の化け物だった。その町は鬼に牛耳られ、人々はその鬼の為に働き、貧しい生活を強いられていた。


 町の人々は他の町に助けの手紙を書いた。鬼にはバレないように、その手紙を名も知らぬ町へと届くように祈り、川に流して助けを待った。その間にも鬼は力をつけていき、もはや一つの国家のように城を構え、町の人々を縛り付けた。


 あるとき、二人の男女が国を訪ねてきた。
 男の方が、農民に話しかける。


「酒場はねぇかばぁさん。喉がかわいちまってよ」


 農民の老人の女性が、驚きながらも忠告した。旅人は、この国には立ち寄らない方がいい。死んでしまう、と。

 すると、今度は、女の方が言葉を返した。


「ウィスキーを飲みたいだけだ。迷惑はかけない。多分な」


 老人はいよいよもって焦りだしながらも、早く町から出ろと言う。鬼に支配されている、という言葉すらも恐怖によって言えずにいた。男女は老人の訴えに首をかしげる


「ダメだ。このババァ頭にきてるわ。別の奴に聞くしかねぇよ、クロバーサ」


「次は若い男を捜せラドラー。面倒で手が出てしまいそうだ」


「テメーから手が出たら尚更聞けなくなるだろうが」


「なんだと。銃を抜けラドラー」


「あん?できんのか?薄ノロなテメーによぉ」


「言葉で言っても無駄なようだな。今わからせてやる」


 のんきに喧嘩を始めた二人に慌てる老人。その時、町の方から地響きのような音がした。言わずもがな、鬼である。よそ者を見たという報告があったのだ。侵入者を許せば門番は制裁をくらうため、何があろうと報告は必要だった。


 未だに喧嘩をしている二人に、巨大な影が近づく。この鬼は、旅人を捉えては奴隷にするような男であった。二人を見た鬼は嬉しそうににやけた。


「よそ者はお前たちか。殺されたく無ければ俺に服従しろ」


 鬼が二人の身体を鷲掴みにする。なんとこの鬼の手は、人間のウエストを握り込めるほどに大きいのだ。加えて、鋼の肉体に鉄骨もひしゃげるほどの握力。民が服従するのも無理はない。


「なんだテメェはよ」


 男は、握り絞められて初めて視線を鬼に向けた。骨がギリギリと軋む音がするが、汗ひとつかかずに鬼を睨む。続けて女が口を開く。


「どこを見ているラドラー。まだ話は途中だ」


 グワ、と豪快な音と共に、鬼の手がまるでポテトチップスの袋のように簡単に開かれた。そのまま大剣を振りかざし、男を握る拳に叩きつける。


「ウグゥ!?」


「……?硬いな」


「おい待てクロバーサ!テメェ卑怯じゃねぇかよ!!」


「よそ見をするからそうなる。もう一発いくぞ、動くな」


 鬼は、剣を振りかざす女を見て慌てて男から手を離す。大剣は風を切りながら男に向かうが、男はそれをかわして鬼の裏手へ回り込んだ。


「動くなと言ったはずだラドラー。……デカくなったな貴様」


「バカ野郎、そいつぁ俺じゃねぇ!こんなブタみてぇなツラと一緒にすんな!」


「殴れば同じ顔になる。一人も二人も変わらん、そこを動くなラドラー」


「ッチ、マジでやる気かクソアマ……。おうブタ野郎、死にたくねぇならさっさと酒場の場所を教えやがれ。そのアマは手遅れで話にならねぇが、俺も酒が飲めねぇでイラついてんのよ」


「貴様ら、さっきからふざけた真似を……」


「喋るなと言ったはずだ」 ゴォン!!


 女が大剣を平のまま鬼の膝に打ち下ろした。音と共に鬼の足は足首まで地面にめり込む。悲痛の叫びを鬼が上げた。


「ウゴオォ!!」


「喋るなとは言ってねぇだろアル中が!!おめーもさっさとしねぇか、マジで撃つぞ!?」


 ガチャリと鬼の耳元で銃を構える音がする。男が取り出したものは、鬼すらも驚くほど威力の高そうなデカいショットガン。中に詰めた弾丸は直径6センチの太さを持つ銀の弾、もはや小型の大砲である。目の前の、鬼もドン引きするような怪力女と耳元の銃を見て、鬼は初めての恐怖とともに降参した。


「ま、まて!わかった!!酒場は大通りの右手がわにある!!」


「最初からそうすりゃいいのよ。ナンセンスだぜ、お前さんよ」


「歯を食いしばれラドラー」


 女は大剣を捨て、手甲をつけた右の拳を思いきり打ち放った。


「ヒギッ!!??」バキャァ!!


「っと、だからよぉ、そいつぁ俺じゃねぇってんだよ、クロバーサ!!」


「なら次にこうなるのはお前だ」


 完全に意識が飛んだ鬼の襟を掴み、ハンカチのような気軽さでうしろに投げ飛ばす。女はそのままファイティングポーズを構えながら男を睨んだ。


「待ちな、それより酒飲みに行こうぜ。向こうにあるって言うからよ」


「なんだ、それを早く言えばいい。殴って悪かった、ラドラー」


「俺じゃねーって言ってんでしょーよ」


 投げ飛ばされた鬼は、肥溜め用にと老婆が掘り出した穴に落ちた。老婆は恐る恐る確認すると、息を吹き替えしそうもなかったので、そのまま動き出す前に首から下を埋めておいた。


 酒場につくと男女の二人は、入り口にある酒をつかんでのみながらカウンターについた。ビックリした店主が駆け寄ると、少しくすんだ金貨と一枚の紙を取り出し、突きつけて聞いた。

 

 


「おい親父。この鬼ってのはどこにいやがるんだ」


「ウィスキーを奢ってくれるなら引き受けるぞ。どいつだ」