PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

亡き王の研究理由

 懺悔など聞いてどうとなる相手ではない。我輩は我輩なりに息子の事を理解している。故に、この話はそなたが知っていれば良い。全てを理解してもらうためには、全てを話さねばならん。枷になるかもしれんが我々の国を背負う代償だと思え。


 我輩を、呪詛の研究者と他者は言う。冷酷、非情、外道、鬼畜、人の皮を被る悪魔と呼ばれてきた。遺憾とは思わん。当然、承知の上の行いである。その忌み名を我輩は飲み込まねばならぬ。ドレスタニアの業としてな。


 王とは民を導くもの。民とは王に尽くすもの。王の考えを民は知らぬが、民の全てを王は知る。この国の重大な秘密を我輩は知っている。導き出したのだ。


 この世界の共通認識として作られた、複数の種族。仮にその基盤とも言える性質を持っている種がいるとすれば、それは人間であろう。他の種は人間の全ての要素を持っていながらにして、その上でなお人間を超越する力を持っている。


 信仰心によりその身に森羅万象の加護を授かる人間の上位種。寿命と引き換えに強大な身体的能力を持って生まれし人間の変異種。精霊と鬼は、人であって人を超えた新人類と言っても良いだろう。万物にはあらゆる法則が存在し、理由はどこにでも必ずあるものだ。


 精霊は、自らを信ずるものへと差し出すことによって世界に貢献する必要があった。故に、信仰心を高めるための加護を産み出したのだろう。世界の神秘を模倣しているのではなく、加担しているのだ。自然が作る因果の道に。


 鬼は運命に抵抗する決断をした。過酷な環境から生存率を高めるために身体の作りを変え、世界の変化に適応するために世代交代を早めた結果があの身体と寿命だ。環境の中で産まれた子は、その環境にすぐに馴染む。もがき続ける道を進む者たちだ。みな、生き抜くために尽力したのであろう。


 だが、その上でも存在理由が解せぬ者たちがいる。どのような環境であろうと適応することはできず、他種族からも疎まれ、挙句、その身に受けた力は自ら生存を否定しかねん悪魔の楔。


 それが『妖怪』だ。


 我輩はこの世界を支配するために国の心臓を掴んできた。そなたも知っているように、精霊には精霊の目指す理想の為に戦い、鬼は戦争を生き延びなくてはならない。人間は、長く続くであろう戦争にも、急激な環境変化にも、どちらにも耐えられん。


 精霊の思想はやがて我々人間を精霊に進化させ、自然との共存という理想郷を目指すだろう。それを成すだけの途方もない時間を精霊は持っている。鬼は、この世のあらゆる大災害に備えられる進化を遂げ、絶滅を防ぐだろう。それだけの強靭な力を蓄えてきた。


 その未来に……我々人間はいないのだ。その異常性は精霊にはわからぬ。鬼は自己防衛をせん我々の落ち度と思うだろう。となると……人間史において彼らはいずれ敵となる。しかし我々は彼らに勝てない事は明白だ。


 だが、妖怪の呪詛。あの呪いの、悪魔の力はそれらを遥かに凌駕するほどに異質だ。


 精霊も鬼も、彼らが戦っている相手は常に『自然』である。人間はその自然を受け入れられぬからこそ団結する事を皆に望んでいる。だが妖怪は違うのだ。


 呪いの力は世界を破壊する力。生命の脅威になるべくして産まれた力。利用法はいかようにもできるであろうが、当然悪用も大いに可能だ。暴走することもある。


 なぜ、このような力を妖怪が持っている。そして、なぜ妖怪は潰えない。精霊にも、鬼にも、人間にも、厄介極まりない力を持っている理由とは何なのだ。


 我輩は、その謎を……妻と二人で研究した。


 妻は我輩の行いを信じてくれた。我輩は民を守るために王としてそれを追求した。妖怪を研究し、いくつもの仮説をたて、考察した。全ての真実を読み解くことはできなかったが、我輩はやがて恐ろしい事実を知ってしまった。

 


 妖怪の呪詛は、己に掛け合うことで『進化』をするのだ。

 


 なんの為だ。なぜその力にそのような可能性が残されているのだ。わからない。ただひとつ確信して言えることがあるとするならば、進化することはいずれ世界を壊す程の大きな力になっていくだろう。


 妻にあらゆる呪詛を流し込んだ最大の理由は、耐性を得る為だ。呪詛にも影響を受けることのない耐性を、子供に植え付ける為だ。しかし我輩達はうぬぼれていた。


 ガーナは、呪いの反作用を受けた。才能を大部分封印され、人としてあるべき感情の一部が恐らく捻じ曲がっている。幼いころからあれは、冷酷で、頑固だったよ。


 やがて、ショコラが産まれた。長く、長くかかってしまったが、あの子は完璧だった。全てを持って生まれてきた。我輩は喜んだ。天才だからではない、次世代に耐性を持ち、元気でいてくれると思ったからだ。過剰に喜んだ。

 


 時は流れ、我輩の仮説は今現実となろうとしている。書庫に封印した書物に妖怪の呪詛について書きまとめた。時間があればそなたも目を通すといい。我輩が妖怪について知っていることはそれで終わりだ。


 ……ただ、今日そなたに教える決断をした理由は他にある。これから話すことは、家臣であろうと伝えてはならん。民の為にこそ、そなたとガーナのみそれを知れ。


 我輩の研究はこの国の『未来』を追求したものだ。故に、この世は妖怪が滅ぼすであろうというその考えは未だ覆ることはない。しかし、我が息子ガーナの観たものは未来ではなく『過去』だった。未来はショコラという跡継ぎが居たから身を引いたのであろう。


 そして、彼奴は我輩も知ることのない『真理』に辿り着いてしまったのだ。恐ろしく、身も震えるような……残酷な真実にな。

 


 妖怪は……『何者かに創られた種族』の可能性がある。

 


 エリーゼよ。心して聞きたまえ。この国は古来よりその何者かに狙われている。人ならざる者、侵略する者、破壊する者……。この世のものではなく、この世に居続ける為にもがく者。


 魔を呼び寄せる者。我輩はそれを『サバト』と呼んでいる。