PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

【アイラヴ祭】私はタオナン。

タオナン「自分らしく、自分らしくっと……」


紫電「お、タオも歌詞作りしてるのか?」


タオナン「そうよ!とびっきりパワフルでエレガントな歌にするわ!!」


紫電「やる気満々だな!ひーちゃんは書けたのか?」


ひとこ「えっ!?う、うん……スゴく普通なんだけど、これが一番かなって……テイチョスさんにも客観的に見てもらったよ」


タオナン「へぇ~、テイチョスに見せればいいのね!!よーっし、待ってなさいよテイチョス!!あっと言わせてやるわ!!」

 

 

***

 

 

テイチョス「あぁー……


タオナン「どう!?かんっぺきでしょ!?大ヒット間違い無しよ!!


テイチョス「ふぅ……。タオナン、よく聞くんだ。歌には『リズム』というものがある。完全に守らなくてはならないわけではないが、ある程度は必須になる。この歌詞からはそのリズムを読み解くことは難解だ。天才作曲家の烈火でも、これを見たら両手をあげるだろう」


タオナン「それほど高度な歌ってことね!!流石あたし!!


テイチョス「……次に、言葉の選び方だが、仮にも華やかなアイドルを観に来る客に対して『耳をかっぽじってよく聴きなさい』や『タコヤキ男共』、『あんた達はATM』というような言葉遣いは、君へのイメージダウンに間違いなく荷担する。もう少しオブラートに包むべきだ」


タオナン「なんでよ、アイドルオタクってあたしの歌も素直に聴けないの?呆れたわ……そこまで基準を下げないとわかってくれないのね……」


テイチョス「最後に、原稿用紙60枚は歌詞にするには多すぎる。長くても一枚半程度に収まるようにしなくては、メディアの限界を超えてしまう。……いいかいタオナン、今は私はプロデューサーとしてアドバイスを君に伝える。他人の曲をもう少し聴きなさい、細かいことはその後練れば良い」


タオナン「な、なんですって……!?つまり、その、要約すると『没』ってこと……!?」


テイチョス「あぁ、ようやく理解してくれたみたいで安心した。今度ばかりは私も全面的に協力するわけにはいかない。アイドルとしての第一歩は、君だけで考えなければ意味がないからだ。また書いたら教えてくれ、私は宣伝費用を稼ぎに炭鉱に行ってくる」


タオナン「ちょ、ちょっと待ってよ!!テイチョス!!テイチョスー!!


テイチョス「(……タオナン、これは乗り越えなきゃならない壁の一つだ。なんとか頑張ってくれ……)」


タオナン「こ、この完璧な歌詞が……没……。何日も考えたのに……」


紫電「タオ……。そそ、そうだ!!今日は寒いから鍋にするぜ……!入れてほしい具材あるか?」


タオナン「蟹……


紫電「ウッ!?(マジか……お、お金あったかな……)」


タオナン「あたしのカード持ってっていいわよ……。子供の頃に接待麻雀でエロハゲ達から巻き上げてたし、預金は沢山あるから……その代わり、食材全部ワンランク上のにして頂戴……」


紫電「いいの!?わぁい!蟹の鍋なんていつ以来かなぁ!!美味しいの作るぜ!!(どの蟹にしようかな!図鑑出してこよう!!)」


タオナン「…………」


ひとこ「た、タオちゃん、大丈夫……?あんまり考え込まない方がいいよ……」


タオナン「……だいじょばないかも……」


ひとこ「歌詞、大変だよね……。あ、そうだ!!誰かにアドバイスもらってみたらどうかな……。私の時も、ひじきさんが助けてくれたんだよ!」


タオナン「嫌よ!あ、あたしの曲なんだから自分で作る!!誰かに頼って作りたくない!!


紫電「タオは自分でやるって決めたら堅いもんな。でも、曲じゃなくて会話するだけでも何か変わるかもよ?誰か自分と近い人に、考え方を教えてもらうっていうか……(このすべすべしたお饅頭みたいな奴にしようかな……)」


タオナン「あたしと似てるタイプなんかアイドルにそうそういるわけ……!!…………一人いたわ!」


ひとこ「えっ!?誰々!?」

 

 

***

 


レン「へぇ~、それで僕のところへ来たってわけね。……ほんと変わってるね君。僕のアドバイスほどアイドルから避けられてるものはないよ?」


タオナン「いいから教えなさいよ!!こっちは切羽詰まってんの!!……あ、ごめんなさい、またムキになっちゃったわ……せっかく時間とってくれたのに……」


レン「ははは、いいよ、君くらいガンガン来てくれる子の方が言い返しがいがあるからね」


タオナン「……わかってるのよ。もっと柔軟になれれば、素直になれればいいんだって。けど、どうしても素が出ちゃう。どうやったら気持ちを押さえられるのか、レンに聞きたいの」


レン「気持ちを抑えるって言ったって、無茶なことを言うね。仮に抑えられたとしても、それが出来れば君はアイドルとして上手くいくの?」


タオナン「知らないわよ。けど、この性格が邪魔ってことだけはわかるわ。アイドルは可愛いものでしょ?音痴で怒りっぽいって、致命的な欠陥よ。なんとかしなきゃ、ひとこや紫電にだって迷惑がかかるわ」


レン「そうかい?僕はそう思わないけどね。君はアイドルに向いてるよ」


タオナン「何、気休め?レンが先輩だからってお世辞言われて喜んだふりできるほど元気じゃないわよ。やめて」


レン「僕がお世辞言うタイプに見える?あっはは、タオナン。君はやっぱりアイドルだ。それも、『そこら辺の子とは比べ物にならないほど』のね」


タオナン「……あたしが?なんでそうなるのよ……理解できないわ」


レン「話す前に、これは烈火が良くする質問なんだけどさ、タオナンはなんでアイドルやろうと思ったのか聞かせてよ。正直にね」


タオナン「それは……はぁ……。聞いたら怒ると思うわよ、レンは特に……」


レン「いいからいいから」


タオナン「『ちやほやされるから』よ。テレビで観てたけど、アイドルってなんか歌とかそんなに上手くないし、こう言っちゃなんだけど、躍りもふりふりしてるだけで顔だって美女ってわけじゃないでしょ?それを観て、私でもやれそうだって思っただけよ。思い付いたからやっただけ……別に落ちてもよかったわ」


レン「思い付きで……オーディション……?」


タオナン「そうよ。みんな真面目にやってるところに、不真面目が入ってった。どう?許せないでしょ?」


レン「……くく!あーっはっはっは!!ご、ご、ごめん!!予想以上だ!!君、スゴいよ!!あーっはっは!!」


タオナン「な、なんで笑うのよ!!普通怒るんじゃないの!?あんた達みたいに本気でやってるアイドルをバカにしてたのよ!?」


レン「はは、はぁ……。ごめんごめん。確かに、並みのアイドルなら怒るだろうね。でもね、タオナン。予想以上だけど『予想外じゃない』よ。君の素質は、そこにあるんだ。君が『他のアイドルに勝てる凄い才能』がね」


タオナン「私の……才能……!?それって一体……」


レン「……その『プライド』だよ」


タオナン「プライド……。今、私が捨てようとしていた……」


レン「そう。捨てようったって捨てられるものじゃない。タオナン、アイドルは確かに可愛ければ注目されやすいし、歌が上手ければちやほやされる。でもそれは所詮、貯金のようなものだ。いつかはその価値も尽きてしまう。上手い歌をずっと歌ったってそのうち飽きられる。可愛い顔ってのも、時間は有限だろ?アルファでない限りは、いつまでも全盛期でいられるわけがない。枯れる花は一瞬なんだ」


タオナン「レンが……引退するって決めたのもそういうことなの?」


レン「『時間切れ』。悩んでてもしょうがない問題だけどね。人はみんな、一度壁にぶつかるとその時は乗り越えられても、次に来る壁を想像して怯んでしまう。スタートラインが上手く行った人ほど、折れるときは悲惨なんだ。でも、君は違う」


タオナン「どう、違うの……?」


レン「壁に当たってること、とっくに気づいてるだろうに、それでも君は『こじあける』だろ。一度決めちゃったら何がなんでもやってのける高いプライドがある。君が一番理解していることだろうけど、『音痴でアイドルはできない』よ。できない『』なんだよ。でも、君はその『音痴を振り落とすオーディション』を受けて音痴のまま今ここにいる。壁だらけの道を、無理矢理壊して進んでいく。君は、『無謀を前に怯まない』。自分で大事な欠陥に気づいてる癖に、辞めようだなんて考えない。そんな子は、僕は君しか知らないよ!ふふ!」


タオナン「な、なんで最後笑うのよ!!褒めてんのかけなしてんのかわからないわ!!結局あたしはアイドルとしてやってけるの!?」


レン「さぁ?少なくとも僕は不可能だと思うけど?」


タオナン「ちょっ!?


レン「『思い付きでアイドルを始める』、『音痴で歌のオーディションに受かる』、『合格初日に天帝に喧嘩を売る』、『名家の一人娘というアドバンテージを捨てる』、『前例のないユニット形式を勝手に組む』、そして……『この僕に口喧嘩で勝つ』……。全部不可能だ。最後のは根に持ってるんだけどね。でも、君はやったろ?だから、僕の意見はなんの参考にもならないさ」


タオナン「……く、グッサグサ刺してくるわね……。こんな、落ち込んでる人に塩ぶっかけるような会話されたのは初めてよ……。でも、とりあえず一つわかった。悩んでても仕方ないってことよね。結局進むしかないなら、同じだわ」


レン「そのとーり。無駄な時間を使うくらいならランニングやストレッチでもしてた方が、『僕ら』には性に合ってるだろ」


タオナン「……」


レン「さてと、それなら僕は行くよ。なんせ『道中マラソンで日本一周温泉旅行』なんて、僕以外絶対できないことだからね。コンディションは整えなくちゃいけない」


タオナン「普通考えすらしないで断るわ……。……ねぇ、レン。最後に一つだけ聞いても良い?」


レン「……なんだい?」


タオナン「あなたは、なんでアイドルなんかになろうと思ったの?」


レン「決まってるだろ。『こんな奴等、僕なら簡単に超せる』って思ったんだ」


タオナン「……ぷっ」


レン「な?予想以上だろ?」


タオナン「あっはは!!最っ低!!ふふふ、あはははは!!


レン「ふふ、幻滅した?これが僕だよ」


タオナン「あはは!……はは……ふう……。いいえ。『予想外ではなかった』わ」


レン「だろ?でも、だからこそ忘れるなよ。現実って奴は予想外ってほど不可能ばかりじゃないけれど、『予想以上に厳しい』。応援してるよ」


タオナン「ありがと。あたしも応援してるわ。……頑張ってね!」


レン「あぁ!そっちこそ!」

 

 

 

レン「(……そう。天帝はみんな、不可能を恐れない『絶対的なプライドの持ち主』だ。君には、その才能がある。応援するよ、『僕は君のファン』だからね……)」

 

 

 ***

 

 

タオナン「テイチョス!!今度こそ喰らいなさい!!これが私の魂よ!!


テイチョス「む、またそんなに書いたのか……タオナン、だから長いと歌詞としては……」


タオナン「違うわよ!!全部別の歌詞!!この紙一枚一枚同じこと違う言い回しで何回も書いてるけどどれか一つくらいパンピーにもセーフなのあるでしょ!!」


テイチョス「何……?ふむふむ……なんと……どれも悪くない。一度社で打ち合わせてみよう。……なんて子だ、考え付くであろうスラングを全て網羅してまでプライドを叩きつけ続けている……。こんな曲作りをしている作詞家なんて私の記録にはいない。タオナン、また君は私の計算を上回ったな」


タオナン「ふふふ、あったりまえじゃない!!アルファなんて目じゃないわ!!あたしはタオナン!!最強のアイドルなのよ!!


ひとこ「おめでとうタオちゃん!!やったね!!」


紫電「流石タオだ!!俺は何も心配してなかったけどな!!」

 

ひとこ「やっぱりタオちゃんが元気だとこっちまで元気になるよね!」

 

紫電「あぁ、タオは一緒にいるととっても楽しい。アイドルだって一緒にやったら、俺たちもファンたちも絶対楽しいに決まってるぜ!」


タオナン「さぁ!お祝いの蟹鍋するわよ!!何やってるの早く早く!!」


ひとこ「わぁい!!蟹だぁ!!ところでこれなんて蟹?」

 

 

***

 


常務「なるほど、完成度も高く、リズムもよく、キャッチーなフレーズもあるものもいくつかあるが……タオナンにはやはりこれしかないだろう」


テイチョス「む……それは暫定でも8分越えは明らかで、内容も最も過激な歌詞だが……」


常務「だから良いんじゃないか。あいつの良さはそこにある。私が見るに、あの三馬鹿の中で最もアイドルとしての才能が無く、『最も人気が出るアイドル』はタオナンだろう。ま、経験に基づく憶測だ。これで行け。この歌詞は私が気に入ったんだ、最初のファンとして保証しよう。ははは、これは業界が沸くぞ」


テイチョス「常務、ひとつ勘違いされては困る」


常務「む?なんだ?言ってみろ」


テイチョス「最初のファンは私だ。悪いが譲るわけにはいかない」