PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

『ユグドラシル』の言い伝え

「ところで、ジェリー婦人とはどういった関係だ」


「なんです、藪から棒に」


「いや、知り合いのようにもとれる話し方だったのでな。同じく、グノーメアは人間と共存する精霊の都の一つだろう」


「えぇ、元は私たちも一つの国ですからね」


「精霊史は部外者に厳しくてな、あまり資料も寄贈されない。戦後は特に警戒も強く、我が時代は受け入れられることは無かった。平和になりつつある今こそ、彼らの文化を知りたいのだ。これは王としてではなく、個人的な探求心なのだが……」


「私の知っている範囲でしたらいつでもお答えしましたのに」


「時代が時代だ。若い頃の私ならば、その内容次第では危険因子とみなし早期に潰すこともありえた。過激派が何かしようものならお前にも訪ねたが、彼らは復讐心に取り込まれるほど弱者では無かった。唯一、遥か昔からシルフィールとは親睦があったが故に、義理を守る必要があったのだ」


「まぁ、ご安心ください。そこまで重大なことではありませんよ。先祖達が精霊と共存を始めたのは、一つの国の内乱による分裂が始まりです。その国は、世界樹を信仰する大いなる聖都『ユグドラシル』」


「ふむ……?ユグドラシルといえば、精霊作家の『C・C・プディング(キャラメル・カスタード・プディング。ペンネーム)』による長編小説、『腕輪物語』の架空の国ではなかったか?」


「あれは、史実を元にしたファンタジー小説ですよ。高齢の精霊達的には結構懐かしいシーンとかあるらしく、それもあってベストセラーです。子に伝えたい本ナンバーワンですね」


「若者向けの流行小説に出てくる魔法の国が実在していたとは初耳だな。もはや伝承のレベルか」


「太古の話ですからね、私も長老達が子供に聴かせるおとぎ話のような形でしか知りませんでした。ユグドラシルには火、水、土、風の四属性を全て保有する、森羅万象の象徴だったと聞きます。ただ、信仰を続けるにあたり、加護として授かる属性にばらつきが生じ、『我こそが一番の加護を授かった精霊だ』と主張する四人の祖が現れたのです」


「力の奪い合いか。人間も特別な力、例えば強大な兵器などを前にすると、あるものは他者に使われることを恐れるが故に、あるものは他を服従せんがために、欲と恐怖によって醜く争い合うものだ。愚かだと、本人達すら理解していてもな」


「一説によりますと、ユグドラシルに宿るとされた大きな竜が、世界を護るために四人の守護者を選定する目的で自身の力を四分割したとも言われていますが……残念ながら、争いの結果世界樹は枯れてしまい、直前に残された種を各地に植えることになりました。大いなる意思によって人間の住む四つの土地に植えるよう啓示を受けた四人は、それぞれ民を募って別れたそうです」


「ふむ。その土地の選定に何か共通点は存在するのか?」


「信仰心ですね。当時の人間達にも信仰はありました。とはいっても、生きていく為に豊穣の祈りを捧げたり、山の怒りを沈めたりするために神殿を建てたりと、神々への信仰ですね。世界樹の根の張っていたところでもあったそうな。私たち人間側も、神の遣いとしてやってきた精霊が起こす数々の奇跡を喜び、快く受け入れたと」


「なるほど。また興味深い言い伝えだな。戦争で随分荒らされてしまったが、未だ健在なのは素晴らしいことだ」


「四人の精霊長も一度の過ちを心底悔やみ、ユグドラシルが枯れたあとは受け継いだ種を植え、いつの日かまた一つの世界樹に育つまでと代々伝えていったのです。風は私の国でもある『シルフィール』、土はジェリー婦人の故郷『グノーメア』、他にも、火の国『サラマンド』や水の村『ウィン・ディーネ』と、それぞれ四方に別れていますね。ジェリーとは親戚同士の腐れ縁です」


「グノーメアとシルフィールは城側に近いが、サラマンドとウィン・ディーネはかなり遠いな。これらにも知り合いはいるのか?」


「いえ、どちらも癖の強い国でしたから。子供の頃と、ショコラ様が即位された後に外交官として訪ねたことは何度かありますが、今でもあんまり行きたくはないです。特にサラマンド」


「ふむ、差し支えなければ」


「声がうるさいんですよ。全力で挨拶する文化があるようで暑苦しいです。火山も近くて肌にも良くありませんし……。あと、ウィン・ディーネ村の人たちは凄く心配性で、よそ者が来るというだけで男女問わずすぐ怯えて影に隠れてしまい、何故か無駄に罪悪感がありますね……」


「それは色々と凄いな……。シルフィールの民も自由気まますぎて困ったもんだが」


「のびのびしてて良いじゃないですか。戦闘になると好戦的ですが……。それを言い始めたらグノーメアも大概ですよ」


「働きすぎで死者がでるくらい真面目だな。仕事熱心といえば聞こえは良いが、休みを与えるとかえってストレスになる難しい民達だ……」


「なんでも、去年のグノーメアの子供達が憧れる有名人第一位はショコラ様だそうですよ」


「あんまりあれを真似されては困るのだが……」


「参考になりませんからね……」


「今度サラマンドに顔を出しに行こう。案内を頼む」


「えぇー……なんでまた。エルギスさんとかで良いじゃないですか」


「いや、実はサラマンドの精霊には聞きたいことがある。レーヴァテインは恐らく彼らと関わりがあるのではないだろうかと思うのだが」


「まぁ、そういうことならお供しますよ。確かに、その剣には随分禍々しい加護を感じますし」


「危険因子の可能性も大いにある。あまり考えたくはないが、他にもこういった『世界を壊す兵器』があるかもしれん。悪意に満ちた輩に見つかる前に回収したい」


「今屋上でお金数えてる人とかですか?」


「俺が先に見つけたら、真っ先に王の旦那に売りやす。安心してくだせぇ」


「だからお前に見つかるわけにいかんと言ってるのだ……」


「旦那は金払いが良いですからねぇ……くっく、確かに、領収しやした」


「昨日も『仕事』してもらったんですか?あんまり彼を頼るとろくなことありませんよ……」


「いやその、賭けポーカーでだな……」


「……」


「まぁ、金の心配はない。ちょっとギャング転がしとけばすぐ貯まるからな。次は負けん」


「ちょっと用心棒さんを雇ってきます」


「おい待てわかった、わかった!!もうやらんから!!この通りだ!!」
「ただの悪ふざけでさぁ!!冗談に『兵器』持ち込まれちゃたまったもんじゃねぇですぜ外交官の姐さん!!」


「(今度からこの作戦で行こう)」