PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

【アイラヴ祭】普通という『個性』

紫電「それじゃ、またあとでな」


タオナン「ひとこ、気を付けなさいよ。あたし達もうプロなんだから!変な人についてっちゃダメよ!?」


紫電「気が早すぎだぜ!?まだ世間に出てないってのに」


ひとこ「あはは、うん、気を付けるね。行ってきます!」

 

 

 

 


紫電「……とは言ったけど、やっぱ心配だなひーちゃん……」


タオナン「何も小学生ってわけじゃないんだし、おでかけくらいで心配しなくたっていーでしょ」


紫電「いや、気のせいだと良いんだけどさ、その……ひーちゃんってもしかして、自分が目立ちにくいこと、気にしてるんじゃないかってさ……」


タオナン「……やっぱ紫電もそう思う?」


紫電「タオも?」


タオナン「自分らしい歌詞にって烈火が言ったとき、ひとこ、若干表情が曇ったのよね。あの子って結構、考え続けちゃうタイプじゃない?思考の輪から抜け出せないっていうか……」


紫電「前回、烈火さんの精霊ライブの後もさ、俺も落ち込んだけど、ひーちゃん程じゃなかったよ。繊細なんだよな、ひーちゃん……」


タオナン「あたし達が能天気すぎるっていうのもあるかもしれないけどね」


紫電「自覚はあったんだな……」


タオナン「でも、あの子は繊細だけど、逃げたりはしないじゃない。きっと解決してくるわよ」


紫電「そうだよな。俺たちはいつも通りにしてないと、かえって悩ませちゃうもんな」


タオナン「そうね。自然で行くわよ、自然で」


紫電「自然……自然……」

 

 

テイチョス「……??(タオナンが珍しく掃除をしている横で紫電が何故かジェンガをしている……何かあったのだろうか)」

 

 

***

 


ひとこ「心配させちゃったかな……はは、悪い癖だよね。すぐ顔に出ちゃうんだもんなぁ……」


『ファンが聴きたいのは、うまい歌じゃなく《個性》。自分らしさを歌詞にすること。特に……いっこちゃんはね』


ひとこ「烈火さんはずっとわかってる。まだ、私は何にもなれてなくて、何かになるのが怖いんだ……。でも、デビューっていうのは『アイドルになる』ってことだから……。私も何かにならなきゃいけない……」


『天帝はみんな、《この分野において誰にも負けない》という何かをもっておる』


『負けん気なら誰にだって負けないわ!!』


『俺は鬼だから、どんな無茶だってついてくぜ』


『この歌の続きを、私はいつか歌いたい』


『僕にも夢があるんだ。決めていたことだから』

 


━━ひとこは、なんでアイドルになったの?━━

 


ひとこ「……っ」


ひとこ「(二人の足を引っ張るだけかもしれない……。ただアイドルになってみたかったって、ただ、天帝を近くで観たかったからって、生半可な気持ちでここまで運良くやってきて……。私、馬鹿だ……。後悔したって、もう退けない……)」


ひとこ「……ぐすっ」

 


ひじき「あらあら、たまに外の空気を吸いに来てみれば、良いことあるものねぇ。道に迷ったのかしら?」


ひとこ「……!!あ、あなたは……!?」


ひじき「あら、あなた、レンくんと一緒にいたひとこちゃんじゃない。どうしたの?こんなところで独り泣いちゃって」


ひとこ「ひ、ひじきさん……!?あ、あのっ、これはその……」


ひじき「ほら隠さないの。気にしなくていいわ、作ってる笑顔なんかよりずっと素敵な顔なんだからぁ。とりあえず、上がんなさい?」


ひとこ「え、あの、ここに住んでるんですか……?」


ひじき「そうよ。凄いでしょう?」


ひとこ「(お、おんぼろのアパートだ……)」

 


***

 

ひじき「何か飲む?お酒はダメな年齢よねぇ……あら、大変、一番新しいジュースが賞味期限4か月前だわぁ……」


ひとこ「あ、おかまいなく……(少女漫画の上にカップ麺の容器……爪切りと綿棒……マスカラ……?)」


ひじき「こぶ茶しかないけど、ごめんなさいね。多分大丈夫だから、多分」


ひとこ「す、スゴく、変わった生活されてますね……」


ひじき「女性なんてみんなこんなものよぉ。見た目ばっか綺麗でも仕方ないわ。ありのまま生きたら、トップアイドルなんて言われててもファンたちと何も変わりない。どうでもいいものねぇ、私生活なんて」


ひとこ「で、でも、もし何かでこんなところ見られでもしたらまたスキャンダルになっちゃうんじゃ……」


ひじき「わたし、隠してないわよぉ?普通に配信してるし、部屋の写真何枚もブログに載せてるもの。ファンも知ってるわよ、良く怒られるけどもね、掃除しろダメ女って」


ひとこ「えぇ!!……なんてメンタル……」


ひじき「そーれーよーりっ、何か悩んでるんじゃないのぉ?隠してないで吐いちゃいなさいよ。気になって仕方ないわ」


ひとこ「そ、そんな、ひじきさんに迷惑かけるわけには……」


ひじき「迷惑どころか、楽しみで呼んだのよ。蜘蛛に捕まった蝶々らしく、観念しなさいな」


ひとこ「……その、私……今度ユニットの曲でデビューすることになったんです」


ひじき「あら、凄いじゃないその若さで。余程期待されてるのねぇ」


ひとこ「でも、三人組の中で、私だけが影が薄いんです。個性もなくて、でも、その曲の歌詞を自分らしいものに変えなくちゃならないんです……」


ひじき「(烈火が作曲してるというのは知っているけれど、また酷な課題を出しちゃうんだからぁ、あの子ったら……)」


ひとこ「私の個性ってなんでしょうか……私に個性なんてあるんでしょうか……私は……」


ひじき「個性って、どういうものかしらね。ひとこちゃんはどんな子が『個性がある人』だって思うの?」


ひとこ「えっ……そのっ……例えば……特徴的で覚えやすくて……」


ひじき「ふんふん……」


ひとこ「一言で言えばコレっていう、何かがあって……」


ひじき「なるほど?」


ひとこ「みんなから注目されてるような……そんな人です」


ひじき「じゃあ、ひとこちゃんは自分の事を一言で言えばなんなのかしら」


ひとこ「わ、私ですか……?えっと……『普通』っていうか……」


ひじき「それなら、試しにちょっと電話してみましょうか」


ひとこ「電話……?誰にですか?」


ひじき「あなたの『ファン』達に、ね」ピポパ


ガチャ


烈火『しのっち?どったのいきなり。お金は無いよ?』


ひじき「ごきげんよう烈火。ちょっと聞きたいのですけどぉ」


烈火『なぁにぃ?お金は無いよ?』


ひじき「あの新人アイドルの、『フツーの子』いるじゃない?なんて名前だったかしらぁ……」


烈火『ひとこの事?ま、まさかしのっち!あたしのいっこちゃんにまでタカろうってんじゃ』プツ


ひじき「危なかったわねぇ」


ひとこ「あ、あの……一体……(お金……?)」


ひじき「まだわからないかしらね。それなら次は……」ピポパ


ガチャ


常務『なんだひじき。給料は一昨日払ったばかりだろう』


ひじき「常務さん、お疲れ様です。一つお聞きしたいのですけどぉ」


常務『先に言っておくが前借り制度は一昨年に廃止している。なんだ?』


ひじき「最近のぉ、あの『フツーの子』いるじゃないですかぁ。」


常務『霜月ひとこのことか。あまり他アイドルの情報をお前には言いたくないんだがな。それより貴様、この事務所宛の大量のピザの請求書は一体なん』プツ


ひじき「間一髪だったわねぇ」


ひとこ「(請求書……?)」


ひじき「もう、鈍いわねぇ。片っ端からかけるわよ?」ピポパ


ガチャ


レン『普通?ひとこの事かなぁ。ところで、この前の打ち上げの代金が君だけ1000円足りないと思うんだけど』プツ


こはね『フツー……多分ひとこ……ちゃんと名前で呼んであげてほしいの……私にも気持ちわかるから……あと……毎回お財布もちゃんと忘れず持ってきてほ』プツ


セレア『ひとこをフツーと呼ぶでない!気にしてるかも知れないのじゃ!!それと、わらわのグッズ転売してるのっておぬ』プツ


ひじき「どう?わかった?」


ひとこ「フツーと言うだけで……私だってみんなすぐ気づいて……」


ひじき「そう。『普通といえばひとこ』って、みんなはすぐにあなたを思い浮かべるわ。『普通』があなたの『個性』なんだもの」


ひとこ「普通が個性……考えもしませんでした……でも、それって良いことなんでしょうか……普通って……」


ひじき「順序がぎゃくなのよ、ひとこちゃん。人って言うのはね、『覚えたい』と思うから『覚える』の。普通っていうのはただの『あだ名』よ。あなたはその前から魅力的で、魅力的だから注目される。そのあなたの魅力に名前をつけるとしたら、『普通』という名前が付くだけよ。あなたが普通なんじゃない。『普通があなた』なのよ。まだ難しいかしらね……」


ひとこ「普通が、私……普通という魅力……あの、ひじきさん……私は、普通のままのアイドルで良いんでしょうか……」


ひじき「良いのよ。むしろ、あの二人とずっといるのに普通でいられるなんて、逆に普通じゃないわ。凄いことなんだから。そのままが一番素敵。でも、頑張んなきゃダメよ。普通でもね」


ひとこ「はい……!ありがとうございます……なんだか、胸が軽くなった気持ちです!!」


ひじき「(薄いものね)」


ひとこ「あの、……また悩んだら相談してもいいですか……?」


ひじき「良いわよぉ。お菓子持ってきてくれたらね」


ひとこ「はい!!」

 


***

 

 

ひとこ「ただいま!!」


紫電「はうっ!!」ガラガラ


タオナン「やだ、紫電!!そこ拭いたばかりなのに埃たてないでよ!!今ワックスかけてんのよ!?」


ひとこ「……ふたりとも何やってるの?」


紫電「な、何って、いつも通りジェンガだぜ!?なな、何も心配してないぜ!ひーちゃんは安心していい!!」


タオナン「そ、掃除よ!!文句あんの!?いたって変わりない日常じゃない!!気楽にくつろぎなさいよ!!」


ひとこ「……??」


テイチョス「なるほど、分析が完了した。恐らく二人は落ち込んでいるひとこに気を遣ってあえて負担にならないよういつも通り過ごそうとしているが、『無意識』を意識したことにより本来小脳で行動していた原理を改めて疑ってしまい、『いつも通りとは何か』を思考した結果、各々の考える『いつも通りという状態』を『再構築』し、全くいつも通りでない行動をとってしまっている、というわけだろう」


タオナン「な、テイチョス!?馬鹿!!なんてデリカシーがないアルファなの!?」


紫電ジェンガはみんないつもやってるもんじゃないのか!?し、知らなかった……」


テイチョス「私の判断によると、タオナン、君たちの行動は85%を上回る確率で逆効果だ。まだサンドバッグを叩く方がいつもの君らしく見える筈だが……」


タオナン「な、なんですってー!?」


ひとこ「……ぷっ」


紫電「ひーちゃん、これにはわけがあって……あ!!」ガラガラ


ひとこ「あっはは!!なにそれ、変なのー!!ははは!!」


タオナン「わ、笑わなくたっていいじゃない!!なし、今日のは無し!!」


紫電「……はは、やっぱひーちゃんがいて、これがいつも通りだよな」


タオナン「……まぁ、そうね、むしろ、なんかこっちが安心したわ……。なんでこの私が掃除なんかしなきゃなんないのよ!」


ひとこ「ねぇ、みんな。私って『普通』かな?」


タオナン「ひとこ?」


紫電「ひーちゃん……」


ひとこ「ひじきさんが言ってたんだ。『普通』が私の個性なんだって」


紫電「……うーん、俺はひーちゃんを普通だとか思ったことはないけど……でも」


タオナン「うん、とりあえず今日でわかったことが一つあるわね」


テイチョス「そうだな、君たちは……」

 

 

 

『三人一緒が『普通』だってこと!!』