PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

ドレスタニアの侵略者

「今日はここまでだ、ガーナ。貴様、いつになったら我輩から一本とれるのだ」


 あの日、息を切らしながら私は父を睨み続けていた。私には戦争に勝つことはおろか、身を守る程度の才もない。半ば父の苛立ちを沈めるためだけの、痛々しい稽古漬けの毎日だった。
 冷たい目で、汗をかくこともなく私をいたぶる父は、尚も失望するだけの無意味な仕打ちを私に対し行っていたが、私にとっては価値のあるものだった。その事にこの能無しの王は気付かない。

 

「もはや王位継承も貴様には期待しておらんが、時期王が産まれるまでには、せめて一人の騎士として活躍してもらわなくては大赤字だ。ゆめゆめ、自身の立場を忘れるでないぞ」


 無防備に背中を向けて、寝室に向かう父。何度思ったかわからない。『今なら殺れる』と。
 無論、私は父を恨んでいる。私への仕打ちの事ではない。国民に寛容でカリスマもあり、窮地にあったドレスタニアを知力でもって回復させ、他国を既に取り込み武力国家を築き上げた有能な国王。その裏で行われていた畜生とも変わらぬ悪魔じみている人体実験、身内に向けられた胸糞の悪い肉体改造、その結果寝たきりで言葉を喋ることも難しいままに、死ぬ自由すら剥奪され生かされ続けている母。
 父が母を溺愛していながら、母もそれにこたえて自ら身体を捧げたことは、母自身から聞かされてきた。夜な夜な後悔で泣く父の姿も見てきている。その上で私は、この父を殺そうと計画してきたのだ。


 手持ちのカードを開く。私には才が無い。仲間もいない。経験も浅いが、母譲りの執念と、認めたくないが父から受け継いだ観察眼がある。父の唯一の功績にして最大の失敗は、私の観察眼にのみ『実験は成功していた』という真実を『見抜けなかった』ことだ。私は父を騙し続けている。実は、『もう既に殺した』ということを、無能な父はわかっていない。


━━日に日に歩き方がおかしくなっていることに気づくまい。


 私はあらゆる手段を用いて父の『骨盤』にダメージを与え続けている。訓練中、私が逃げる角度や、隙をみせて急激な運動を強いる攻撃の誘発、食堂の者に軽くアドバイスをして食事バランスの片寄りを作らせる、椅子の微妙な角度調整、寝室のベッドの凹凸に至るまで、全て『負担の蓄積』を繰り返し、手を合わせる度に姿勢や表情を観察し続けた。
 人体実験だ。大事な場面で父は必ず故障する。その隙を誰より早く逃がさないよう、私は夜中も父を観察し続ける。


 ドレスタニアは、既に侵略されているのだ。『次期王』によって。

 

 

 


 次に産まれるであろう、『約束された天才』の弟は、この『凡才の私』の手の中に閉じ込める。

 その時こそ、この国は完全に我が物になる。