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PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

用心棒

 ドレスタニアの寂れたバーで、酔いつぶれた豚の尻を蹴っ飛ばす仕事を私はしている。水商売?いや、用心棒みたいなものだ。この国の夜の客はクズしかいない。どうでもいいが。建前だからな、どうせ。
 今日は何人蹴っ飛ばすか、扉の前で白い息を吐く。ヤニが切れた。仕事が始まったばかりなのに、ついてない。先日の大雨で全滅だ。いや、自己管理能力の無さに嫌悪感を抱いている。運のせいじゃない、か。
 種族はアスラーン。勝手に自己紹介させてもらう。口が寂しいのでね、それが嫌ならキスでもしてくれるか?……いや、冗談だ。革靴のほうが好きだろう、豚共は。
 呪詛は、振動だ。動物でもないかぎり聞こえない周波数の超音波を操る。私のソナーを揺らすものがあれば、それを感知する事ができると言うわけだ。
 ん、能力を気安く教えていいのか、って?救いようのない馬鹿だなお前は。他人の言葉を鵜呑みにするような能無しは私の踵で地面にディープキスをプレゼントする。黙って聴け、濡れ雑巾。
 私は盲目で聴覚も備わってないが、呪詛ひとつでなんだって手に取るようにわかるんだ…。お前が今尿意を我慢していることも、ここを蹴れば楽になれることも、さっきから死ぬ心配をしてることもな。どうだ、ん?
 まぁ気にするな、暇なうちはもう少し楽しませてやる。普段から孤独なもんで、根っこは喋りたがりでね。私の振動で私のソナーが私だけで揺れるこの感覚が大好きなんだ。お前は喋るな。不愉快きわまりない。豚がすすり泣く振動を愉しませろ。
 さっき店に入った爺を見たか?あいつの振動を聞いているが、それが非常に不愉快でね。どうやら店のなかで情報収集を始めているようだが、話しながら微弱な振動が混じっている。これは、ワイヤーか何かの振動で、線や面のようなものは苛々するほど煩いんだよ。っと、今殴ったのは楽しいからだ。気にするな。よっと。今のもだ。
 この爺は身体の特徴が精霊だな。すごい呪詛だろ?壁の向こうの人間の、細かいシワも見えるんだ。まつげの本数まで識別可能だよ。ほら、今抜いた本数もバッチリわかる。38本。バランスが悪いから左も揃えてやる。優しいだろ?おや、55本。抜きすぎた、右目開けろ。几帳面なんだ私は。
 爺が喋ってることは悪いがお前には教えてやれない。すまないな、こんなに仲良くなったところだがそろそろ爺が帰るみたいだ。いいか、次産まれる時は蟻になるって私に約束してくれ。潰したいんだ。認識することなく。私が歩くたび、お前が死ぬって思うと素敵だ。
 じゃあまたな。楽しかったよ、私だけは。

 

「……………」


「お仕事ごくろうさん。また来ますぜ、お嬢さん」


「……………」


「あんたのいるときに」


「……………」


 『壁の向こう』からじろじろ見やがって。死ね。変態爺。