PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

ツカイとルビネル

…ツカイは一人、また石の上に居た。草原の上で、石に座ると妙に落ち着く。

 

ツカイ「…ふぅ。今日もまたスコーンは変わらなかった。記憶の手がかりもありません」

 

ルビネル「あっ!いた!道わかりませんか?町に行こうとしたら迷っちゃって」

 

黒髪を揺らしながらツカイの元に駆け寄る。

 

ツカイ「おや。観光客ですか?このパッチングにはまだ小さな町しかありませんよ」

 

ツカイはその人物に気づく。

 

ツカイ「私に話しかけるなんていい度胸です、フフフ」

 

不吉な笑みを浮かべている。

 

ルビネル「小さな町ですか。まあ、そこでいいかな~」

 

不吉な笑みに気づかず、にこやかに微笑む。さりげなく手には妖怪の呪詛についての資料が握られている。

 

ルビネル「話しかけない方がよかったですか?」

 

ツカイ「おや、その資料は妖怪の呪詛についてですか。私は精霊ですよ。いえ、私もそろそろ退屈していたので。たまには観光客と話をしましょう。私はツカイ=パーソナル、30歳、男、精霊です 前世は人間でした」

 

さり気なく前世という言葉が入る。

 

ルビネル「ありがとうございます。私はルビネルともうします。妖怪の大学生です。ツカイさんですか。てっきり20代かと思ってました。……って、前世?人間も転生するんですか?」

 

かばんに呪術の本をしまい、代わりにメモ帳を取り出す。

 

ツカイ「妖怪でしたか。若いとよく言われますよ。ええ、前世。私はいわば前世に死んだ人間、その前世の人間が転生した姿です。この国独自のルールなんですよ」

 

ツカイはにやりと微笑む。

 

ルビネル「前世の記憶とか能力とかって覚えていたりするんですか?」

 

ルビネルは聞いたこともない話に興味津々だ。口を半開きにして次のツカイの言葉を待っている。

 

ツカイ「前世の記憶や能力は憶えていますよ。私は数百年前の戦争の敗者です。人の心を操る超能力が使える人間でした。今は弱体化されていますね。記憶…ですが…一部欠けています。それが転生のルール。それが普通。私はそれをおかしいと思います」

 

ルビネル「『記憶が薄れる』ことがおかしい、とは?」

 

心を操ると聞いてさすがに警戒心が芽生えたようだった。相手に悟られぬよう警戒しつつも質問を続ける。

 

ツカイ「記憶が薄れることはおかしい…。転生した人々はみな記憶が薄れていることが当たり前だと思っている、ですが前世で大切なことが起きたかもしれない、それが無くなっているのはおかしい。私は前世の国の名前と家族の名前が思い出せない」

 

ルビネル(私の国では転生したら記憶すらないんだけど……)

 

ルビネル 「なるほど。記憶は本人の重要度に関係なくランダムに薄れていく、ということですかね。確かに家族の名前や国の名前を思い出せないのは辛いですね……。」

 

ツカイ「そういうことです。転生はこの国独自の文化なので、木にしなくて大丈夫。この国だけが転生しますから。ええ…ランダムに薄れていきます…私は家族と国の名前が思い出せない…XX人間であった事も思い出せない…」

 

ツカイの言葉に一部ノイズがかかった。

 

ルビネル(ノイズ?高次の能力の干渉……何か巨大な力が転生に影響している?)

 

ルビネル「その……えっとXX人間ってなんですか?」

 

ルビネルは髪を書き上げながら彼に質問した。

 

ツカイ「…思い、出せない…思い出せない」

 

ツカイは頭を横に降って言った。

 

ツカイ「思い出せない。私は何人間だったか?なぜ召使をやっている?家族は?前は違う国に居たはず…思い出せない」

 

ツカイの言葉の隅々に軽くノイズがかかる。

 

ルビネル「だっ大丈夫ですか?!無理しなくて大丈夫ですよ!今聞いたことだけでも充分勉強になりましたから」

 

何をしていいのかわからずワタワタするルビネル。

 

ツカイ「…いえ」

 

ルビネルに、ツカイは気を使い無理やり意識を保った。

 

ツカイ 「とにかく…この国は転生により成り立っていますが…私は信じられませんそんな事…この国の真実を暴いてやります…」

 

ツカイの目は怪しい笑みを浮かべた。

 

ルビネル(精神操作に不安定な情緒……大丈夫かな?その上瞳がなんかギラギラしてるし……考えすぎかな。)

 

ルビネル 「研究も一歩ずつ地道に検証していけば、必ず結果は出るんです。国の真実、見つかるといいですね!」

 

ツカイ「ええ…国の真実を暴いて、私は神となる。…どうしました?なにか私は険しい表情をしていましたか 情緒が不安定になるのは…よくあることですが…」

 

ルビネル「いいえ、非常にいきいきとして表情をしていましたよ?」

 

平然とルビネルは言いはなった。

 

ルビネル「ホルモンバランスが崩れるとよく、泣いたりしますよ?気にしすぎなんじゃないですかね?」

 

メモ帳から香水を取り出して自分の掌にワンプッシュした。

 

ツカイ「生き生き…?ホルモンバランス…?私は気にしすぎていたのですかね …いい香りです。 …祖国のことを忘れていますが、生きていけるような…いや、この思考こそこの国の謎」

 

ツカイは一瞬だけ疑問を振り払ったがすぐに思い出してしまった。

 

ルビネル「匂い程度ではどうにもなりそうにないですね」

 

香水をメモ帳のペンホルダーに収納する。同時にちらりと腕時計を確認する。

 

ルビネル「あ、もうこんな時間ですね」

 

ツカイ「おや、もうこんな時間。」

 

ツカイは相槌をうつ。

 

ツカイ「もう行くのですか?町ならここをまっすぐ行った先にあります」

 

ツカイはにこりと微笑み、言った。

 

ツカイ「この国はまだ発展途上。犯罪者も居ると思います。気をつけてくださいね」

 

ルビネル「丁寧に教えていただき、ありがとうございます」

 

お姫様のようなお辞儀をしてから、かなりの速度で地面を滑るように移動していった。  よくみると少し宙に浮きながら動いているのがわかる。……そして、一瞬だけスカートの裾がめくれた。

 

ツカイ「…見えていますよ」

 

ツカイはぼつりとつぶやき、見なかったことにした。

 

ツカイ「まあ、この国でさほどの前世が棒人間であることは私しか知りません」

 

ニヤ、とツカイは微笑んだ。悪魔の笑顔だった。