PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

ティナ君とお客様その①

 ハニーデビルは獲物を篭に閉じ込めるように、長さの違う葉が内側に巻きつく構造になっている熱帯の観葉植物である。
 それぞれの葉の先っぽから分泌される液は、糖の塊でハチミツのような粘り気があって、触れた昆虫はさながら蜘蛛にとらわれたがごとく身動きを封じられる仕組みだ。その名は可愛らしい見た目と魅惑的な甘い香りに釣られた虫達にとっての悪魔という意味が入っている。花言葉は『恍惚』。
 ハニーデビルの粘液は、獲物が葉に止まり動くことで刺激を受け、分泌量が増加する。この粘液は補食したものによっては食品に利用できて、例えば柑橘系の果物と角砂糖などをあげつづければ、グラニュー糖の何倍もの甘さを引き立たせる柑橘ジャムのようないい香りのシロップを作り出す。
余計な成分を栄養として吸収するのでカロリーもカット、人口甘味料のような危険性もなく、天然で美味しくてとても甘い。ドレスタニアではフワフワで厚い生地のパンに塗って食べるのが一般的。美容にもいいので、統計的に男性より女性が好むシロップである。
 植物を信仰している精霊少年のティナは、毎朝欠かさず決まった時間にハニーデビルからシロップを採取する。まだとても若いが頭がよく愛想もいい、一人で店を構える優秀な働き者の少年だ。町のみんなにもとても好かれているし、ティナもこの町にとても愛着が湧いている。
 ティナはまず固く閉じたハニーデビルの鉢を持つと、朝日の当たる広い窓辺に優しく置いていく。この店のハニーデビルは四つ。最初に置いた鉢から徐々に葉が緩み、その先端からじんわりと水滴が溜まってくる。小瓶を左手にとり葉の下へ構えると、落ちてくる液体を溢さないようにキャッチする。根本の方を右手の中指と人差し指で軽く触り、爪が当たらないようにほんのりと纏った産毛を撫でていく。
こしょこしょ、さすさす、下から上へと、優しく優しく撫でていくと、葉はどんどん開いていき、先端からどんどん蜜があふれでる。ティナは葉の表側も親指ですりすりと触り、ゆっくりと、落ち着かせるように丁寧にさすると、また葉はゆっくりとまるくなった。
 小瓶からは少し漏れるほどたくさんの蜜が貯まり、瓶をテーブルに移すと残りの蜜は広く若い葉の上にとろりと垂れていった。
 ティナは小さな袋から丸くて赤いモコモコとした小さなフルーツをひとつ取り出して、氷砂糖と一緒に蜜に絡めて若葉に乗せ、トントンとほんの少し刺激を与えた。葉はその振動に反応し、最初の形に丸まり、置いた氷砂糖とフルーツをキュっと包み込んでしまった。

「はい、おしまい。次は君だよ」

二つ目の鉢に声をかけ、手をかざそうとしたその時、チリンチリン、ドアが開いたことを知らせる飾りが大きな音でティナを呼びつけた。