PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

【アイラヴ祭】アルファの助言

※坂津さんの記事より転載しました

「君たちを3人組のユニットとして計算し直してみよう」

 

テイチョスは額に人差し指を当て、しばらく目を閉じた。

一体何の計算なのか誰にも分からない。

 

「あ、あの・・・テイチョス、さん?」

 

ひとこが声を掛けたタイミングでテイチョスの目がパチッと開いた。

うわっと驚いた声を上げてしまったひとこに構わず、テイチョスは語り始める。

 

「求心力や歌唱力、カリスマ性、存在感、性的魅力、神々しさ、親しみやすさなど、アイドルとしてプラスになりそうな149の項目を数値化してみた。例えば君たちが敗北感に打ちのめされたという桜木烈火の数値だが・・・」

 

「いッ、言いかたッ!!」

 

歯に衣着せない露骨な表現に声を荒げたタオナン。

その話題は現在このメンバー内で最もセンシティブな内容である。

間違ってはいないが、表現がストレートすぎる。

しかし、そのタオナンを制したのは意外にも紫電だった。

 

「いや、タオ・・・黙って聞こう・・・」

 

紫電にも自覚はあった。

今の自分たちでは逆立ちしたって天帝には勝てないことを。

しかしそれは感覚的なものであり、客観的な情報はむしろ欲すべきと思った。

どんな戦いであれ、敵を知り己を知ることが基本となる。

 

「仮に彼女の数値を100としよう。そして君たち個々の数値の合計と、3人が奇跡的にうまく噛みあって得られる相乗効果も加味した上で、導かれる値は0.78だ」

 

セレアは黙ったまま腕組みをしている。

 

(確かに天と地ほどの差はあるが、この数値が正しいかどうかは眉唾モノじゃのう・・・)

 

「い・・・1にも満たないなんて・・・」

 

ひとこはヘナヘナと座り込んだ。

タオナンは唇を噛みしめている。

 

「ひとつ、聞きたい」

 

紫電が静かに切り出す。

テイチョスは顔だけ紫電に向ける。

 

「俺たちのその、相乗効果ってやつ、それは『足し算』じゃなく『掛け算』だな?」

 

(ほう、まさか紫電がそこに気付くとはのう)

 

「その通りだ。つまり・・・」

 

「つまり、俺たちの実力が上がれば上がるほど、さっきの数字は跳ね上がるッ」

 

テイチョスの言葉を遮り、紫電が力強く言い放った。

そしてひとこ、タオナンと視線を合わせ、ゆっくりと頷く。

三人の姿を見てセレアがにやりと笑った。

 

(ふむ。この三人なら、あるいは・・・)

 

「さて、この数値だが、プロモーションの仕方でほんの少しだが水増しすることができる」

 

テイチョスが淡々と続ける。

 

「君たちはスリーヒットセオリーという言葉を知っているか?ごく初歩的なセールスプロモーション用語だが、簡単に言えば『同じ広告を3回見ると、人はその商品を購入する確率が高くなる』というものだ。商品を売るのもアイドルとしてファンを獲得するのも同じだと思ってくれ。人間は3回同じものを知覚すると『最近これをよく見る』という心理状況になりやすい。これを『カラーバス効果』にまで引き上げることで、対象の中で忘れられない存在になることができる。この手法を用いれば、君たちのユニットの知名度をいくらか上げることができるだろう」

 

「ごめんテイチョス、さっぱりだわ」

 

「あ、俺も」

 

「・・・身近な存在になるってことかな?」

 

ひとこの言葉にテイチョスが頷く。

 

「その通りだ。そもそも、文字通り偶像アイドルとは『形を持った崇拝対象』に他ならない。その崇拝の方向性、種類、質において多種多様な在り方が存在しているが、心を持つ者が必ず欲する『拠り所』という意味では、アイドル業界も宗教も何ら違わない。ファンの人生の一部になることがアイドルの意義だと言える」

 

「で、結局アタシらはどうすれば良いわけ?」

 

「例えば今、窓を開けて外が嵐だったとしたら、君たちは桜木烈火のライブを思い出すだろう?雨や風という、ごくありふれた日常の現象から彼女を想起する。もちろんそれは彼女のファンたちも同様だ。これは彼女の実力によるものだが、しかし似たような現象を作りだすこともできる。仮に、君たちのユニット名を『リボン』とし、大きなリボンが目立つコスチュームでステージを行ったとする。会場に来た観客にノベルティとして装飾用のリボンを配布してもいいだろう。さて、日常生活に戻ったファンたちが何のキッカケも無しに君たちのことを思い出すだろうか?残念ながら今の君たちにそれだけの実力は無い。しかしリボンをキッカケに思い出してもらえる可能性はある。どこかの誰かの服にあしらわれたリボンを見たとき、ふと君たちのことを想起する。これを繰り返すことによってじわじわと心に浸食していくという手法だ。もちろんリボンというのはモノの例えだが、ユニット名やコスチューム、楽曲のタイトルや歌詞など、実力を補うという意味で考えればそれらを日常に即したものにするのが望ましいだろう。ここで重要なのは、君たちが今後、既に在る市場マーケットからファンを奪うのか、それとも新規の市場マーケットを開拓するのかということだ。もし後者をも視野に入れるということならば、君たちだけでなくアイドル業界全体にも有益な話となり、プロダクション側の協力を得やすくなるだろう。そうすればユニット名などの利権が絡む話もまとまりやすい」

 

「テイチョス・・・キモいわ」

 

「だめだ、俺・・・眠い・・・」

 

「す、すごいです。あの、すごいです。テイチョスさん」

 

(なんじゃこのアルファ!アイドルのプロモーションとしては異質じゃが、確かに言っておることは間違っておらん・・・もしこの手法で売り出せば、大した実力の無い奴でもそこそこの数字は作れるじゃろうな。ドレプロの水に合うかどうかは別として、恐ろしい考え方じゃ・・・)

 

「もちろん、今のは参考情報のヒトカケラだと思ってくれ。基本的には君たちがそれぞれ死ぬ気で特訓し、各々が実力をつけることが最低条件だからな」

【アイラヴ祭】序列六位『琴浦蓮』

ラン「レン、いますか……?」


レン「何?今練習中なんだけど。そんくらい観てわかんない?」


ラン「ごめんなさい、ごめんなさい……」


レン「どんくさ。うざい。何しにきたんだよ」


ラン「来週の対バンの相手、『あの』東雲ひじきさんって本当なんですか……?」


レン「そうだけど。それが何?悪いわけ?まさかとは思うけど、僕が負けると思ってるの?ラン」


ラン「ごめんなさい……そんなんじゃなくて……」


レン「あー!!イライラする!!何なんだよ!もっとはっきり言えない!?」


ラン「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……」


レン「ちっ……はぁ、悪かったよ。僕はライブ前、ナーバスになるタイプって、ランならわかってるよね……?だから一人で練習してるのにいつも君は……わかった、ちゃんと聞くよ、話して」


ラン「そ、その、私、聞いちゃったんです……。ひじきさんは『ファンを奪い取るタイプのアイドル』だって……。レンが努力で増やしてきたファン達、もしもとられちゃったらって思って……その……」


レン「……聞いたことはあるよ。別名『ネクロマンサー』。あいつは対バンしかやらない、超攻撃的な妖怪のアイドルで、あの『楠千都世』も一度ファンをごっそりもってかれて、痛い目にあったそうだね」


ラン「だからですね……その……私、心配で……」


レン「大丈夫だよ、ラン。何せ、僕は序列六位『琴浦蓮』。東雲ひじきは七位だ。僕とランは苦い思いもたくさんしたけど、人一倍の努力でここまでやって来た。真面目にアイドルする気のない格下の奴なんかに負けるもんか!」


ラン「そ、そうですよね……ごめんなさい、練習の邪魔してしまって……」


レン「……ラン、僕らは双子だけどさ、君は一応、僕の姉なんだよ?ウジウジするのやめなよ。イライラする」


ラン「ご、ごめんなさい……ごめんなさい……」


レン「ふん……とりあえず、バックを任せるから練習はしてよね。もし本番中にミスしたら、ランのせいだからね」


ラン「……ごめんなさい……」

【アイラヴ祭】タオナンの作戦

テイチョス「さて、何から話すべきか」


タオナン「難しい話はおいといて、なんで二位になれているのかが気になるわね」


紫電「アイドル好きのひーちゃんでも至近距離で気づかなかったんだろ?」


ひとこ「うん、テレビで観てたステージの上のこはねさんとは全く違ってたように見えたかも……。でも、それは烈火さんも同じだったから、生ライブで何か得意な事があるのかな……?」


セレア「いや、こはねは人間じゃ。正直に言えば、ライブに見所のあるタイプではない」


紫電「に、人間で二位になれたのかよ!?」


テイチョス「あぁ。去年の総選挙の際、最も取り乱して驚愕していた人物は、当時三位から圧倒的差をつけて二位を維持していた『桜木烈火』だったそうだ。発表の会場に居たディープなファンは、激しく動揺し声を震わせて逃げるように会場を去った烈火の姿を見て、こはねのアンチが急増する。出る杭は打たれる、という言葉通りの事が起きた」


ひとこ「そんな……」


セレア「早熟系アイドルの宿命じゃ。妾や烈火には長いキャリアと映えない時代を乗り越えてきた経験があり、それはずっと支えてくれたファンとの絆から出来上がってくる確実な人気。じゃが、今まで目立つことなく、かつ突然の準トップとなったこはねは、誰から見ても『ずる』をしたとしか見えないじゃろう」


タオナン「そうね……悪いけど、才能も突出してないし目立つこともないアイドルが、高い地位に上がるとしたら……これはもう、ドレプロを揺すったか、枕みたいなことしか考えられないわ」


ひとこ「や、やめようよ、そういうこと言うの……!」


タオナン「ひとこ、落ち着きなさい。私は冷静に見てるだけよ。もちろん疑ってなんていないわよ。だけれど、そうでもしなきゃ説明がつかないじゃない。少なくともこはねのアンチは、私と同じこと考えたわけでしょ?」


紫電「事実がどうであれ、疑われたらそれまで、か……。嫌な話だけど、それ以上にこはねに驚くぜ。今までもずっとそういうこと言われてて、なおアイドルとして立ち続けてるんだもんな」


テイチョス「彼女が近年、アンチも減って認められてきている要因に、そのメンタルの高さが挙げられる。柚木こはねは元々幼い頃に両親が他界し、小学生の間は親戚に育てられた。だが、中学からは一人暮らしを始めており、両親の遺産を利用してドレプロに入団している」


紫電「……他のアイドルとは、覚悟が違うってことか」


テイチョス「いや、覚悟と言うよりは、自分の居場所を探しているような感じじゃったかのう。弱味を見せることはなかったが、練習中は生き生きとしていてもプライベートは非常に大人しい奴じゃった。親身になったプロデューサーが、毎日彼女の食生活を心配して弁当を届けていたそうじゃ。」


タオナン「惚れてるわね、そいつ


紫電ほっとけないタイプなんだな(チョロそう)(ブーメラン)


ひとこ「あ、そういえばDLショップの新台で困ってた時も、気づいたら口出ししちゃってました……」


セレア「大雑把で天然、ちょっと小悪魔なところが男子にモテる部分ではあるじゃろう。アイドルとは別で、な」


タオナン「で、そろそろアイドルとして成功してる理由を教えてくれてもいいんじゃない?焦らしすぎよ!早く教えて!


テイチョス「タオナン、焦る気持ちはわかるが、先程から君の態度は二人から心配されている可能性がある。順を追って話そう」


紫電「俺も、今日のタオはちょっとおかしいと思うぜ。何か隠してる……。俺たち、友達だろ?」


ひとこ「タオちゃんが一緒にここに来てくれたってことは、私たちにも関係があることなんだよね……?私、ちゃんと聞きたいな」


タオナン「……ご、ごめんなさい、心配かけようと思った訳じゃないの。わかったわ。順番ね、順番」


セレア「タオナンは何か策があるんじゃな。それも、お主たち二人の協力が必要な……。うむ、話を続けよう」


テイチョス「……ひとこ。君が彼女と接触した際、何か不思議な事が起こらなかっただろうか?」


ひとこ「え?あ、えっと……不思議っていうか、ちょっと心見透かされちゃって、泣いちゃったっていうか……」


紫電な、何っ!?(ひーちゃんを泣かせた!?!?)


タオナン「泣くって、ちょっと!何されたのよ!!ことと次第によっちゃハイエースで……


ひとこ「ち、違うの!!……無理してるでしょって言われて、その……慰められて、泣いちゃった……」


紫電「ひーちゃん……(慰めるのが正解だったのか……たい焼きはミスだったかも……)」


テイチョス「やはり、彼女は『シックスセンス』を持っている可能性が高い」


タオナン「シックスセンス?お化けが見えるとかいう…あれのこと?」


セレア「それも指すがのう、いわゆる『予知能力』めいたものの事じゃ。見えないものが見える、箱の中身を当てられる、暗号を読み解ける、予知夢を見る、占うことができる…といった、人知の超えた『運』や『勘』を持つ者を指す」


テイチョス「シックスセンスは種族固有の能力ではなく、一種の「異常」だ。精霊や妖怪のように元々能力を持つものには不要な産物であり、我々アルファには現在の技術では搭載不可能である高度な技術。彼女は、私が想定するところ、『読心』のシックスセンス保有していると思われる」


タオナン「ど、読心!?」


紫電「相手の心を読めるってことか!?そ、そんなんズルいじゃんか!」


セレア「流石は名家のアルファじゃな……じゃが、シックスセンスを持っている人間には、同時に様々なデメリットが付きまとう。こはねは、恐らく全ての心を読心することができん。なんとなく察するレベルじゃろう」


テイチョス「こはねのファンは皆、『自分の事を誰よりも理解してくれている』と語る。普通は逆だと思うが、こはねはファンの気持ちがわかる、深く入り込むことができるアイドルだと予測できる。つまり、一度でも対面する機会さえあれば、『魅了』することが可能だということだ。これがこはねの人気理由だろう」


ひとこ「こはねさん……実際会うと凄いです。まるでお姉さんのような……あったかい雰囲気の方で、甘えたくなるようなきもちが湧きました……」


紫電「うーん、なるほどな。ここまで聞くと、こはねはむしろどんなアイドルよりお客の目線に立って考えてるってことだよな」


タオナン「烈火はカリスマで勝ち上がってきてるから、ファンからは憧れの目線で見られているけれど、こはねはその逆でファンとの共感でアイドルになれているのね」


テイチョス「そうだ。アイドルとして何が正解なのか、そういう決まりはない。時代が時代ならば烈火は不動の一位にもなれるだろうが、スターとオーディエンスの距離感が縮まってきた今の世代でこそこはねのようなアイドルが輝くこともある。やり方は沢山あり、君たちは君たちにしかできないやり方でアイドルに向かえば良い。」


セレア「(うーむ、このアルファ超有能じゃのう。ドレプロPに勧誘したいレベルじゃ……)」


テイチョス「そしてその方法をタオナンは、自分のため、そして君たちの為に、先程まで私と考えていた


タオナン「て、テイチョス!!

 

紫電「タオ……!俺たちの為に考えてくれてたのか……」


ひとこ「タオちゃん……!!」


タオナン「や、やめてよ、これは、その……私の為でもあるからよ……。烈火のライブを見て、私たち三人のそれぞれの欠点を見直したの。良いところが多少あったとしても、はっきり言ってそれじゃ練習したってアイドルとしてやってけない。私たち三人とも、特例で入ったようなものだから」


紫電「ま、まぁ……事実、俺はセンス皆無だし、ひーちゃんは打たれ弱いところあるし……タオは凄いもんな、


ひとこ「うん


タオナン「うるさいわね!!一般的じゃないだけよ!!でも、同時に良いところをあげれば、私はリーダーシップと勝ち気なところ、紫電は鬼としての体力や逆境根性、ひとこは安定した総合能力。これらは大きなアドバンテージであり、私たちはこの一点で選ばれたアイドルなんだから他者に遅れをとることはまずないわ!」


セレア「(恐らくテイチョスの言ったことを丸々言っておるのじゃろうが、堂々と胸を張る度胸は研究生の中では比較にならんほどのものじゃ。紫電のアホマイペースさや体力も同じく。ひとこは、目立たないというだけで総合平均の偏差値は実は首席。故に代表に選ばれている。目立たせてあげることができればこやつは……)」


タオナン「だからね、私は考えたの。でっかいことは私がやる。大変なことは紫電がやる。そして私たち二人で、ひとこの歌を盛り上げる。つまり……」


ひとこ「つ、つまり……?」


紫電「もしかして……」


タオナン「私たちは『三人ユニット』で天帝を目指す!!どう!?完っ璧でしょ!?


ひとこ・紫電「「えぇぇぇぇぇぇ!!!!????」」

 

セレア「……お、お主の入れ知恵か?(ユニットで天帝目指す者など流石に前例がない…)」


テイチョス「……タオナンはアルファの予想を軽々と上回る。常識は通用しない」

【アイラヴ外伝】握手会の天帝

東雲ひじきの場合

ファン「ひじきちゃん!昨日のライブもエキサイティングだったよ!!また魂揺さぶるライブ楽しみだよ!!もう俺、ひじきちゃんのライブやめらんねぇよ!!疼いちゃって毎日明太子食べてる!!」

 

ひじき「ふふふ、変な人ね。握手するんでしょ?手、おだしなさい?」

 

ファン「お、おぉ!!ああぁ、これがひじきちゃんの手…や、柔らかそうだ……そう、そうだ、ひじきちゃんに会いたくて俺は……手の震えを止めるためにジンジャーエールキメててさ……ダメなんだ俺は、ひじきちゃんがいないとダメなんだよ、塩分過多で糖質もヤバイ……」

 

ひじき「そう。それは良くないわね。禁断症状が起きないように、ちゃんと握手しましょう?ほら、小指からゆっくり…薬指は優しく…中指は荒々しく…人差し指は強引に……親指は…?」

 

ファン「お、お、親指は……?」ゾクゾク

 

ひじき「あなたの好きに…ね?」

 

ファン「あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!ひじきちゃあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

ひじき「警備員さん、あとはお願いね。はい、次のジャンクさんどうぞ?」

 

楠千都世の場合

ファン「ちせちゃん!!この前の新曲の衣装すごく可愛かったよ!!スカート短くしたんだね!!」

 

千都世「ちょ、ちょっと!どこ見てるのよ!!歌を聴きなさい、歌を!!ほんっとどうしようもないんだから貴方は!!恥ずかしくないの!?」

 

ファン「ウッ!タマランッ!!もっと言ってもっと!」

 

千都世「はぁ……ほんと、変な客しかいないんだから……。っていうか、貴方、腕はもう大丈夫なの?」

 

ファン「え、う、腕……?」

 

千都世「ライブでサイリウム振りすぎて後半腕おさえてたじゃない。応援は嬉しいけど、怪我するほど無理しないで。つ、次のライブ来れなくなっちゃったら、どうするのよ……全く……」

 

ファン「ち、ちせちゃん……僕のこと見ててくれたの……?」

 

千都世「ば、ばっかじゃないの!?たまたま目に付いたから覚えてただけよ!!ほら、手出しなさいよ!!」

 

ファン「ち、ちせちゃあああぁぁん!!」

 

千都世「泣かないでってば!!もう!!」

 

桜木烈火の場合

烈火「次のチャレンジャーは誰っかなー!?ほらほら、かかってきなさい!!」

 

ファン「お、お手柔らかに…(腕相撲…?)」

 

烈火「聞けない相談だにゃあ~?ライオンはウサギちゃん相手でも全力をつくすんだぞ~?こっわいんだぞ~?」

 

ファン「そ、そんなぁ~!烈火さま~!」

 

烈火「れでぃ~!ファイ!!」

 

ファン「う、うおぉ!!」ぐぐぐ…

 

烈火「きゃああぁぁ!」ベタン

 

ファン「な、よ、弱っ!?」

 

烈火「ぐ、この烈火を軽々と上回るとは……君は勇者だ!我が剣となりて、今後とも応援よろしく頼むぞよ!」ブンブン

 

ファン「ま、任せてください!!烈火さまに忠誠を誓います!!」

 

烈火「よろしい!!任務に戻られよ!!次のライブもお楽しみに!!」

 

ファン「(ま、また烈火さまの独特の世界観に呑まれてしまった……くやしい……///)」

 

柚木こはねの場合

こはね「次の方……どーぞ……」

 

ファン「こ、こはねちゃん!!また来たよ!!覚えてるかな…?」

 

こはね「……ごめんなさい、コンタクト忘れちゃって、顔がよく見えないの……。もっと近くに来て?」

 

ファン「え、あ、うん……て、ちょ、ちょ…!(ち、近い!鼻がつきそう……!)」

 

こはね「慌てないで。時間はまだあるわ……。綺麗な肌なのね……。確か貴方は……」

 

ファン「お、思い出してくれた……?」

 

こはね「ごめんなさい、忘れちゃったみたいなの……。許して……」

 

ファン「あ、い、いや、いいんだ……忙しいもんね、こはねちゃん……(があぁん!!)」

 

こはね「ふふ、嘘。ももいろハンカチの子。可愛いから、ついいじわるしちゃったの……。ごめんね……?」

 

ファン「はぅあっ!!(ズキュウウゥゥン!!)」

 

こはね「いつもありがとう……。またね」

 

ファン「う、うん!!絶対次も来るね!!絶対!!」

【アイラヴ祭】魅了の帝王

タオナン「遅かったじゃない。待ちくたびれたわ」


紫電「た、タオ!?帰省したんじゃ……って、なんで俺んち知ってるんだよ!」


タオナン「ウチの情報網を使えば例えネットの書き込み一つからでも個人情報の開示くらい、一晩でやってくれるわ。流石に悪いとは思ったけど時間がないの。特訓するわよ、二人とも!」


紫電「あ、あぁ、まぁ、タオに知られる分には別にいいけど……どんな家なんだ、タオの家系…」


タオナン「細かいことは気にしない気にしない。ところで、ひとこがさっきからお餅みたいに湯気だしてぼーっとしてるけどどうしたの?」


紫電「あぁ、さっき一緒に買い物してたんだけど、俺がたい焼き買ってる間に天帝ナンバー2に会ったみたいでさ。俺も見たかったな……」


タオナン「何それ!どんだけラッキーなのよ!!でも、ナンバー2って……なんかそれにしては印象ないわ。でも気になるわね……」


紫電「烈火さんの上に来るくらいだから、相当ハイレベルなんだろ?さっき俺もリミックス聞いてみたけど、歌の上手さはセレアも含めてもダントツで烈火さんが上手かったし、それ以外の部分で上回ってるみたいだな」


タオナン「うーん、このまんまじゃ集中力が分散しちゃうわ。テイチョスに住所割ってもらって直接聞きに行こうかしら」


テイチョス「タオナン、残念だがそれはできない」


タオナン「ちょ、テイチョス!!なんでここに!?」


紫電「あ、タオと会ったときのアルファの兄ちゃん!」


テイチョス「紫電とひとこ、だったね。タオナンと仲良くしてくれているようで感謝する。迷惑もかけてるだろうが、君たちのお陰で努力の目的を見つけたらしい。柄にもなく真面目に頑張っているんだよ」


タオナン「ちょ、ちょっとテイチョス!!変なこと言わないでよ!!」


紫電「は、はは…俺たちもタオには勇気づけられてます……(は、恥ずかしいけど、凄く嬉しい……俺、ちゃんとタオの力になれてるのかな……)」


タオナン「大体なんでここがわかったわけ!?貴方に行き先は伝えてない筈だけど!!」


テイチョス「すまない。君がつけているキャスケット帽と靴には君のお父様がGPSを計30個取り付けているのを失念していて、現在回収命令が出ている」


タオナン「う、嘘!?家を出る前に全部壊した筈じゃ……」


テイチョス「あぁ、それと別で30個だ」


タオナン「な、な……プライバシーの侵害よ!!酷いわ!!」


紫電「(タオ……俺のプライバシーは……)」


テイチョス「同じような理由で、天帝7の序列二位である『柚木こはね』の情報の開示はできない。だが、私のデータから一般的に秘匿とされていない情報と二位に上った要因の推測結果を伝えることは可能だが……」


タオナン「流石テイチョスね、話が早いわ!早く教えなさい!!」


テイチョス「了解した」


紫電「(今日のタオ、どこか焦りを感じるな。何かあったのか…?)」


タオナン「とりあえず、あんたもふわふわしてないで、そろそろシャキッとしなさい!!」


ひとこ「ふぁ……!あ、あれ!?タオちゃん、来てたの!?って、ここどこ……?あ、あなたはタオちゃんのお兄さん……!お久しぶりです!!」


紫電「ひ、ひーちゃん流石に鈍すぎるよ!!どうしたの一体!?」


セレア「そのひとこの状態こそが『柚木こはね』のナンバー2の理由なのじゃ」


タオナン「セレア!?あんたまで来たの!?」


セレア「サボってないか観に来たんじゃが、中々面白いことになってるようじゃな。妾も暇潰しに聞くとしようかのう」


紫電「(俺んち……晒されてるのかな……怖くなってきた……)」 

【アイラヴ祭】こはね

ひとこ「紫電ちゃん、ダウンロードショップ寄ってもいい?」


紫電「ん、いいよ。……ところでダウンロードショップってなんだっけ……」


ひとこ「あ、そういえば紫電ちゃんはウォーメロ持ってないよね」


紫電「あ、あぁ、実は機械とかダメで……うぉーめろ……?」


ひとこ「Walk Melodysっていうダウンロード式の音楽プレーヤーで、DLショップにある機械に差し込んで配信されている曲を持ち運べるんだよ。最近はCDよりこっちの方が主流で、一曲から選べるの」


紫電「へぇー……こんな小さいやつにたくさん入るんだ……ちょっといいかも」


ひとこ「本体はそこまで高くないし、紫電ちゃんの分もいれてあげよっか?」


紫電「ほんとか!?じゃ、じゃああれ入れてほしい!transfer the love!」


ひとこ「いいよー!……というより、私もそれが目当てだったりして……」


紫電「……正直に言うとな、実は俺……烈火さんの歌、好きかも……」


ひとこ「私も……なんだか、聴いてたら凄すぎて泣いちゃって……」


紫電「……」


ひとこ「……」


紫電「……あ、そ、そうだ!この辺に行列のできるたい焼き売ってるんだ!お、俺、ダウンロードしてる間にひーちゃんのも買ってくるよ!」


ひとこ「あっ!ご、ごめんね、じゃあ…頼んじゃおっかな!おねがい!」


紫電「任せとけ!!(俺が不安にさせちゃダメだ。しっかりしないと!)」

 

***

 

ひとこ「(あ、台が新しいやつだ。検索しやすいけど、ちょっと前より複雑になったんだよね)」


???「……」


ひとこ「(……?あの子、画面いったり来たりしてる……)」


???「……?……?」


ひとこ「あのー…ここを押すと次に進めますよ」


???「……!」


ひとこ「(あ、今月入ったばかりのドレプロのリミックスアルバム…!アイドル好きなのかな…?良く見るとこの人とっても可愛い……)」


???「ありがとう……。いつもと違う機械でわからなかったの……。」


ひとこ「困ったときはお互い様です!どれも良い選曲ですよね、このリミックス……」


???「え、えぇ……。……貴女、アイドル?」


ひとこ「え、なんでわかったんですか?……まだ研究生で」


???「わかるよ……私もアイドルだから……。でも、無理してる。何かあったのね……。」


ひとこ「え、えっと……その……その……」


???「忘れちゃ駄目。貴女の心を、ファンは観てくれるの……。貴女の心は綺麗だから、そのままの心で自信を持って。」


ひとこ「……は、い……(あれ……涙が……) 」


???「頑張ったのね……。本当に、魅力的な心……。貴女、お名前は……?」


ひとこ「し、霜月…ひとこ……です……」


???「ひとこ。ありがとう。貴女のステージを楽しみにしてるわ……。」


ひとこ「あ……あの、貴女は……」


こはね「柚木こはね。また会いましょう」


ひとこ「はい……あ、あの……本当に……ありがとう、ございました……」


こはね「いいの……気にしないで……。」

 

***

 

ひとこ「……(初めて会う人に励ましてもらっちゃった。なんだか、とても恥ずかしい……)」


ひとこ「(ゆずき…こはね……さん……どこかで聞いたような……。あ、ダウンロード終わった。何曲入ったんだろう……烈火さんの曲、何番かな……)」


ひとこ「…………あれ?この曲って…………えっ?えっ!?これって、まさか、えぇ!?

 

***

 

こはね「プロデューサーさん……勝手にいなくならないで……」


克P「ぜぇー!ぜぇー!それは、こっちの、台詞、だから!!」


こはね「人のせいにしないで……」


克P「ぐうぅ……。はぁ……なんでこう、君はステージではあんなに目立つのに、普段はこんなに影が薄いんだ……。変装もしてないのに……」


こはね「傷つくの……」


克P「あ、ごめんよ……でもね、君だからこんな堂々と歩いてるけど、『他の天帝』はみんなサングラスとかつけてるよ。アイドルが危機感捨てちゃ駄目だ。この前も、地下アイドルの娘がファンに襲われたばかりじゃないか」


こはね「ごめんなさい……」


克P「あ、謝らなくていいんだ……ごめん。けど、Pとして心配だから、今後はサイレントでいなくなるのやめてね。君は『天帝の序列2位』、次期トップアイドル候補の『柚木こはね』なんだから」


こはね「まだ早いわ……セレアさんはすごいから……」


克P「(去年もそう言って、あの『桜木烈火』を平然と越えたんだ。烈火が人間に過度なコンプレックスを抱いてるのは、君のせいだって知らないんだろうな、この子は。)」


こはね「プロデューサーさん。たい焼き食べたい。並んで。」


克P「だぁー!!駄目っ!!スケジュールつまってるの!!ただでさえ君がまたいなくなって時間ないってのに!!」


こはね「たい焼き食べなきゃ撮影しないわ。たい焼き。」


克P「ぐ、ぐ、駄目っ!!撮影終わったらケーキの店連れてったげるから、辛抱して!」


こはね「プロデューサーさん……」


克P「な、何!?譲らないぞ!?」


こはね「……かわいい。」


克P「(あああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!辛いっ!!眩しいっ!!!死んじゃううううぅぅぅぅぅ!!!)

 

【アイラヴ祭】初めての挫折

セレア「聞くまでもなさそうじゃが……一応聞いてみようかのう。どうじゃった?精霊のライブは」


ひとこ「……」


紫電「……」


タオナン「……どうもこうもないわよ、認めるしかないでしょ」


セレア「ほう、何をじゃ?(紫電とひとこは、時間がかかりそうじゃな……)」


タオナン「次元が違うって言ってるのよ。あんなの、勝てるわけないじゃない。妖怪や鬼なら得意分野もあるでしょうけど、人間のあたしやひとこじゃどうしようもないわ」


セレア「珍しく随分と弱気じゃな。言葉に勢いもない。いつもの跳ねっ返りはどうしたんじゃ?」


タオナン「……あたしだって冷静に考えてるわよ。精霊のライブはエレメンタルが味方する……。だけど、やってることは歌を『最高の形で伝達しているだけ』でしょ?つまり、『元』が違う。精霊だから凄いんじゃない、『元が凄いのに加護まである』のよ。一枚上手、どころか、10枚、20枚も上手よ、烈火は。普通のステージでも勝ち目なんてないでしょうね。私たち研究生だけじゃなく、アイドル全体の話よ」


セレア「ふむ……(思った以上に良く観ておる。となると心配なのは……)」


ひとこ「……才能が無いと、やっぱりアイドルは向いてないのかな……」


紫電「ひーちゃん……」


セレア「(他二人より総合力の高い、しかし伸び代の薄いひとこか……どうしたものかのう……)」

 

烈火「おっ邪魔っしま~っす!にゃーん!♪」

 

セレア「なっ……!烈火っ!?」


ひとこ「烈火さん!?なんでここに!」


烈火「君ったちだねー?セレアにゃんの猫ちゃん達は~!ん~、温泉卵って感じ!」


タオナン「せ、セレアにゃん……?」


セレア「初耳の呼び名じゃ……何しに来たのじゃ!」


烈火「遊びに。」


セレア「帰れ」


烈火「ひっどいにゃ~んっ!!せっかく猫ちゃんの日だにゃん……遊ぶにゃ~ん……」


セレア「やめい!勝手に髪をとかすな!!空気を読まんか!!」


ひとこ「……烈火さん、歌のコツを教えていただけませんか?お願いします……!」


烈火「にゃっ!?」


タオナン「ひとこ!?」


烈火「……へーえ。いい子狙ったねセレア。こんな目する子、アイツ以来じゃないの?」


セレア「……相変わらず聡いのう。そういうところが嫌いなんじゃ」


烈火「お互いにね。君、名前なんってーの?」


ひとこ「…え?あ、は、はい、霜月ひとこ、です……」


烈火「ひとこ、ひとこねー。うん、覚えた。呼びやすい名前だね、ひとこ。ひとこだから、アドバイスはひとつだけしたげるよ」


ひとこ「えっ!あ、ありがとうございます……(ひとこだからひとつ……?)」


烈火「朝御飯、ちゃんと食べた方がいい声出るよ。そんじゃ、またね、ひとこ。」


ひとこ「えっ?あ、あの!それだけ!?」


紫電「ひーちゃん、落ち着いて!」


タオナン「ひとこ、今の意味、わかんない?あの人、『声だけで理解した』のよ。完全な絶対音感……それよりもセレア、アイツって、一体誰のこと言ってたの……?」


セレア「それは……内緒じゃ。いずれ話すじゃろうが……」


紫電「なんだそれ、気になるじゃねーかよ……」


セレア「それよりもお主達、本格的なレッスンは一ヶ月後じゃが、次の天帝ライブは来週じゃ。次は対バンを観に行く。数日ほど空くが、その間どう過ごす?」


ひとこ「そうなんですか?うーん、どうしよう……かな……」


「ひーちゃん、良かったら俺とダンスの練習しないか…?ウチ、広い道場あるからさ……(ひーちゃんが心配だ……少しでも気分転換になれば……)」


ひとこ「えっ!いいの?やったぁ!!」


紫電「タオも一緒にやろうぜ!」


タオナン「……悪いけど、あたしはパス。ちょっと忘れ物を取りに家に帰るわ。お誘いありがと。お土産もって来るから」


紫電「タオ……」


セレア「(……まさか、一番ダメージが深いのはタオナンじゃったか……?)」

 

 


タオナン「(わかってる。このままじゃどうにもならないことくらい。こんなとき、彼ならなんて言うんだろう。テイチョス…)」