PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

【学園PFCS】街の用心棒さん

 養子として押し付けられた小娘を学校にぶち込んだ。元々喋るタイプでもない。面倒なことに拒否もしない。ガキの癖に察しがいいのがたまにキズだ。
 私は元々目が見えず耳が聴こえないが、ちょっとした力で外界を把握することには困っていない。恐らく、押し付けた団体は私の介護の意味合いも含んでいたのだろう。忌々しい、いつか殺す。
 学校の手続きは自分でさせ、書類提出に同行してやった。娘は少し不安そうな顔をしたが、それが自分の身を心配したものでないことくらいは、わかってしまう関係だ。
 帰り道すがら、私は娘の頭をパシンと叩いた。力は入れなかったが、娘はうなだれていた。面倒だったから学校の近くのクレープを買って食べた。こんなもんよりウィスキーでも咥えたかったが、娘の好きな甘いものを気兼ねなく食わせるにはこちらも喰うしかない。苦い顔をしていると、クレープ屋の店主が営業スマイルで酒を出してきてなんか喋った。

 

 殺すリストにいれた。

 

 そうして娘は今、学校に通っている。厄介ごとが起きないかと気が気じゃない。私にも豚を引き摺り廻す仕事がある。何かあっては豚の数が増えちまう。それは面倒だから避けたい。
 娘は帰宅すると私の元へ来て、様々な表情を作る。私にとって報告はその程度で充分だ。悲壮の顔を浮かべた瞬間、私は豚を増やしに向かうが、そんな私の行動をすぐに察してしまうこの娘が忌々しい。
 私としては、問題がなければそれでいい。今日は何時に帰るだろうか。仕事が進まなくてムカつく。


 ━━仕事の邪魔だ。だが、さっさと帰って来い。


 私は感情を足に込めて蹴った。街の害獣駆除の仕事も楽ではないな。キリがない。

【学園PFCS】マトリカリアさん、放課後クレープデビュー

15分休み


ハサマ「マトちゃーん、放課後どっか行く?」


マトリカリア「放課後?どこも行かないかな…まっすぐ帰らないといけないから」


話しかけられるとは思わずもじもじしている


マトリカリア「放課後がどうしたの?課題のお手伝いならできるよ」


キリコ「えーマトちゃんも一緒いこーよー、なー!」


リーリス「た、たまには遊ぼ…」


ユーミン「クレープ屋のお兄さんイケメンだよ??ねっ!ねーっ!」


クシナダ「クレープ美味しいぞー!ほかほか冷たいぞー!!」


女の子たちが口々に誘ってくる。


マトリカリア「うーん…でもなあ…え、えっと…家族が心配するし…」


あたりをきょろきょろ見回す


リーリス「た、たまには…その…マトリカリアさんとも食べたいな…なんて…」


ユーミン「ほんとは行けんっしょー!行こーよ~マトっぴ~」


アンナ「数分…数分だけ…ちょっとだけだから…(恥ずかしがるマトリカリアちゃん…クフフ…もうクレープより美味しいわ……)」


クシナダ「クレープ美味しいぞ?マトれ、まり、まとカれ…マレリァ?も一緒ならもっと美味しい」


キリコ「あ、わりぃ、コイツ頭悪いから四文字以上の名前覚えらんないだけな。あたしもあんたのこともっと知りたいんだけどなー」


マトリカリア「す、数分…」


困ってるマトリカリアを見て黒ずくめの生徒が近寄ってきた。


シアーマク「…うちのおひいさまになんかあんの?」


アンナ「シママトキター!!王道!もう好き!!(あ、シアーマク君もよかったらどう…?)」


ユーミン「アンナ…逆…逆…っていうかまだ早……」


キリコ「シマ君もどう?放課後。見ての通り超期待してんだけど」


シアーマク「俺もお前らみてーにカワイー女の子と遊びてえのは山々なんだけどよー、それよりかわいいうちのひいさまがなんか困ってるんだけど?」


マトリカリア「しまちゃん、あのね」


あせあせと事情を説明するマトリカリア。


シアーマク「あー…そういうこと…シモンにちゃんと話しゃ大丈夫だろ。クレープ屋、行くぞ」


キリコ「っしゃ!♪男子もゲットゲット!っつーかいつも思ってたけどハサマとマトリカリアって性別どっちよ」


リーリス「キリちゃん…性別なんて些細なことなの…。ね、わかるでしょ…?」


キリコ「……??(汗)まぁ、どっちでもいっか!」


アンナ「思春期の女子の中に一人混じる男子…しかし本命との関係は比にならないほど堅く…二人きりの世界で食べるクレープはほろ苦くも甘美であり魅惑の香りが二人を…(ブツブツ)」


ユーミン「おっとこまえ~!ね、ね、マトっぴライン交換しよ!マー君マー君も!」


マトリカリア「ほんとに大丈夫なの?」


シアーマク「小遣いあるか?」


マトリカリア「あるけど…」


シアーマク「じゃあ大丈夫だろ」


ハサマ「クレープなら皆の分奢るよー」


『キャーハサマチャンアリガトー!』『ワリーナーイツモイツモ!』


シアーマク「おお~羽振りがいいねえお坊ちゃんよぉ~」


マトリカリア「それは悪いよ…僕たちの分は出すからさ…」


シアーマク「ま~そう言うなよ!お言葉に甘えるぜ~!」

 


~放課後~


ハサマの後ろにjkの列。マトリカリアさんは質問攻めにあいながら真ん中に。後ろからそれをシアーマクが見守って(見張って)いる。
そうこうしてるうちにクレープ屋についた。


マトリカリア「こ、これがクレープ屋さん…車だ…車の中でやるの?」


初クレープのマトリカリア。


シアーマク「んー?おれ止まってるとこしか見たことねえなあ」


マトリカリア「も、もしかして車の余熱とかで焼いたりしているの?あ、それでなくてもエンジンの熱で…?自家発電するの?」


シアーマク「…気にしないでくれ」


ユーミン「おにーさーんいつもの皆の分ー!今日二人多いよ~イチゴおまけしてよねー!」


シャムス「こりゃまた大勢で来たな。はいはいイチゴな、ちょっと待ってろ」


ハサマ「前払ーい」札束ドン


シャムス「こんなに要らねえ!!自慢かちくしょう!」

 

必要なぶんだけ抜き取る。

さりげなく端数を切って一個余分にサービスしているのは内緒。

 

シャムス「はいよ、イチゴクリームカスタード。クリームこぼれやすいから気をつけろよ。」


マトリカリア「こ、これがクレープ…!柔らかい皮の中に苺、クリーム、カスタードが…ど、どうやって食べれば…!皮は外すの?食べていいの?」


※はじめてのクレープで戸惑っている。


シアーマク「うめー」


口の周りにクリームべったり。


ハサマ「皮外したら中身出ちゃうよ」


こうやって食べるんだよ、といった感じに見せながらはむはむ食べている。


マトリカリア「そのまま食べていいんだ…」


パク…モグモグ


マトリカリア「おいしい!」


口にクリームがついてる。
しまちゃんは女の子たちといちゃいちゃ中。


ハサマ「でしょー?」


食べ終えたハサマはさりげなくティッシュでマトリカリアの口の周りに付いたクリームを取った。


マトリカリア「ありがとー、クレープってこんなに美味しいんだ…連れてきてくれてありがとうねハサマくん」


シアーマク「ごちでーす」


ハサマ「どういたしましてー」


ユーミン「マトっぴクレープ超似合うって!(笑)またこよ!」


キリコ「サラ先には気ーつけなよ、あの人、男でも女でも美形みるとクレープで釣ってくるから。今日の感じ、マトちゃんはマークされてるね、絶対」


アンナ「マトリカリアちゃん…ごちそうさまでした…(おひぃ様抱っこはまだなの…?シマ君…)」


クシナダ「美味しかったなー、まとりあー」


リーリス「クシナダちゃん惜しい…。よ、よかったらまた食べようね……」


帰りはみんなそれぞれバラバラのグループで帰った。
生活指導にと言い訳をしつつこっそりあとをつけてきていたサラ先生は、グリム先生とエリーゼ先生に補導されて職員室で説教を受けた。

新しい宝探し

「姉御、なんすかそれ…」


「ヤミタだ」


「わーい!!」


 毛先の白い黒毛の尻尾を満面の笑みでフリっフリさせているヤミタの両手首を無言で持ち上げる忌刃。意図がわからない冥烙は満足そうに腕組をしている紫電に聞いたが、問いを制止したのは金弧だった。


「わからねぇのか冥烙。馬鹿もここまでくりゃ本物だぜ」


「んだと!?オメーはわかってんのか変態野郎!!」


 今にも掴みかかりそうな冥烙を片手で止めると、金弧はやれやれと首を振った。


「単細胞が。いいか、まず姉御は見る目がある。ヤミタは犬のサターニアだ。その上野生育ちで成長も未知数と来ている。そして俺らは海賊だ、欲しいものはなんでも手に入れる。つまり…」


ほう、と感心する紫電。冥烙はその様子を見てやや焦りを感じる。


「つまり、なんだってんだよ!もったいぶってんじゃねぇよ!!」


金弧はフフ、とニヤけると冥烙の肩に手をかけて囁いた。


「目覚めちまったのさ…ケモショt」ドゴォ


「コイツを宝探しに使おうってハラだ。良い案だろーが」


金弧の顔面にねじ込むように拳を回転させてそのまま壁に埋め、膝でボディに幾度となく蹴りをぶちこみながら紫電は話し出した。


「蛾のヤローの件で色々コネが出来てな、ソラにチュリグを案内してもらった。あそこは鬼をあんまり良く思ってねぇから滅多に行ける国じゃねぇ。行けるとこ全部回ってったら、新しい博物館が建ってたんだ」


隅で短刀を研ぎながら聞いていた芦華が何かに閃き、人差し指をあげて無邪気に割って入る。


「あ、デートっすね!ソラ君マジメっぽそうだから博物館は正解っs」バゴォ


「その博物館に寄贈されていた大層値の付きそうな財宝のつまった宝箱の説明欄、良く見るとハサマ王とヤミタの名前が書いてあった」


芦華が床に犬○家のような形で埋まるほどの踵落としをしつつ、話を続ける。冥烙は未だに良くわからないといった表情をしていた。


「ソラに聞くと、ヤミタが犬と共に堀り当てたっつー話だ。今まで俺たちは『埋まった財宝』を掘り起こすってことをしなかっただろ。これからはコイツを使って埋まった宝も探すぜ!」


「埋まった財宝…良いッスねそれ…!!」


なるほど、と頷く冥烙。忌刃のアフロをわしゃわしゃして遊ぶヤミタ。ふと、疑問が残る。


「しかし姉御、目星はついてんの?いくら犬がいたっつっても、一から探すってのはしんどいっスよ」


フッフッフ、と笑みを浮かべ、紫電は胸元から巻かれた海図を取り出した。


「ここに酒場で辛気くせぇ爺から買った地図がある。」


「おお…!(姉御がなんかちょっとスケベな出し方した!)」


「どうも胡散臭ぇナ……大丈夫かヨ……」


口を挟んだ忌刃が、訝しげな顔をする。名も知らない爺に騙されているんじゃないか、という心配をしていた。


「大丈夫だ、あの爺はガーナと話してるのを見たことがある。まぁ、海図自体は焼き方やインクの劣化具合を見る限り本物だぜ」


ほほう、と一同。ついに角を弄り始めて忌刃に捕まるヤミタ。目が覚める気配のない二人。


「さっすが姉御!!早速向かおうぜ!!どこの島っすか!?」


「ドレスタニアの下にある、でっけぇ大陸だ!未開拓地のな!」


「了解!!」


舵を切ろうと部屋を出る冥烙。直前、ふと気になって紫電に聞いた。


「っていうかよぉ、姉御。俺らあそこ行ったことあったっけ…」


「?……そういやぁ無いな。行こうと思ったことすらない。何でだ?」


全員の意識から、ぽっかりとあの大陸だけが抜けていた。存在は知っていたが、なぜか行く気にならなかった。


「……まぁこれから行くんだしいいじゃねぇか!」


紫電は嫌な予感を感じながらも、それを払うように開き直ったように答えた。


あの大陸に触れようとしたものはいない。それは何故なのか。
理由は誰も知らない。

 


ただ一人、元国王を除いては…。

【学園PFCS】クレインの悪戯

昼休み。
給食後、45分間の休み時間が設けられ、生徒達は校庭や体育館、図書室などで好きなように遊ぶ。
手際の良いハサマは特に焦ることもなく速やかに食器を片付け、今日も一番早く外の空気を吸いに外に出ようとした。

その時である。


ビンッ!!


ズコー!!


教室に静寂が訪れる。
通常笑うはずの展開だが、転んだ本人は『あの』ハサマである。
注目を集めると、ハサマの右足の制服にはいつのまにかテープが巻かれていた。
器用なことに、引っ張ると締まる結び方だ。
視線は紐状のテープの先…机に突っ伏して寝ていると思われた男…


『自称・番長』のクレインの左手へと続いていた。


クレイン「………く」


クラスメイト「く?」


クレイン「…クックック……ハハハハハハハ!!コケやがったコケやがった!!ばっかじゃねーのハハハハハハハ!!!」


腹を抱えながら爆笑するクレイン。周りはひきつった顔でクレインを見ており、ハサマは倒れたまま動かない。


「ハハハ、チョーウケる。あばよ間抜け!クックック…」


そうして、ポケットに手を突っ込んだままハサマの真横を通りすぎて、体育館へと向かっていった。
クラスメイトがハサマに声をかける。


ユーミン「ハサマっち…だ、だいじょび?」


ハサマはゆっくりと起き上がって埃を払い一息つくと、クラスメイト達に振り向いて答えた。


ハサマ「大丈夫だよ。ありがと」


いつも通りの無邪気な笑顔を向けるハサマだったが、クラスメイト達はひきつっていた。


歩いていくハサマの後ろ姿が、陽炎のように歪んで見えた。

 


~体育館~

 


放課後のバスケで遊ぶクレインとその取り巻き達。一見すると和やかな光景である。


クレイン「っしゃー、ちょっと水飲んでくるわ」


爽やかに汗を拭う姿は意外にもイケメンである。中等部の女子がその姿に甘い声をあげる。いい気分で外に出ようとするクレイン。ちなみに、バスケは下手だった。


突然、クレインの目の前で体育館の扉が勢いよく開く。


クレイン「あ…?」


目の前は誰もいない。廊下が続くのみ。ドアは勝手に開いたのである。
不気味に思いつつ廊下の先に目をやると、蜃気楼に包まれた人影がゆっくりと歩いてきた。


デデンデンデデン…デデンデンデデン…(ターミネーター)


そこには、怒気を通り越して邪気を纏ったハサマがいた。


クレイン「うわっ!さ、さっきの転ばせた奴じゃねーか!!」


凄くビビるクレイン。とんでもないオーラが纏われた曲が聞こえる気もする。


ハサマ「お前か」


一言呟く。歩いているように見えるが、速度はどんどん増していき、あっという間に急接近。


クレイン 「ひぇっ!ちげぇよぉ!!」


クレイン逃げる。全速力で逃げる。
バスケですらあの程度の実力故に、周りからはただの微笑ましい鬼ごっことしか思われていない。
体育館の外に逃げ出して周りを見渡すと…休憩中のルーカス(教頭仕事しろ)、ツカイ先生(仕事しろ)、シュン、マシュー、その他様々な生徒が腰を下ろして休憩している。


クレイン 「ひぃ、助けてくれぇい皆ぁ!!」


…助けを呼んだもののまーたクレインかと自業自得の目で周りから見られている。日頃の行いが悪い。
ふと一緒にバスケをしていた取り巻き立ちを探すと、既にもぬけの殻。
不良の勘でいち早く逃げ出したと思われる。
そうしているうちにただでさえ足の速いハサマだが、風の力を使って更に加速して追いかける。


クレイン「お、おい、なんか早くなってないk」


クレインは追いつかれないよう凄い腕をふって前かがみで逃げる。周りはクレイン懲らしめろーとハサマ様を応援している。


ハサマ「今頃気付いたか、もう遅いのだがな」


むんず、と制服の首もとを鷲掴みにして止めるハサマ。


クレイン「ひぇっ」


思いっきり腰を抜かしている。息があがって動けない。


クレイン「あばば、お許しを…おい皆助けてくれるだろ!?」


日頃の行いが悪い為、皆無視して本でも読み始めたりし始める。無論、クスクスとその光景を皆楽しんでいる。
ハサマは、クレインの首をそのまま空へと投げ飛ばす。小規模の竜巻の力で中々の高さへと舞い上がる。
落ちてくるクレインの上顎に吸い付くかのような昇龍拳がキマる。


クレイン 「ぎゃっ!」


情けない声出してもろに吹き飛ぶクレイン。空中で縦に一回転。飛翔する汗に赤いしぶきが混じった。
少しアレな顔面になっているが、全ては怒らせた彼が悪いのだ。
落ちてきた頭部を踏みつけた後、頭を抱え込んでうずくまるクレインの髪を引っ張り、真後ろの地面に叩きつける。


クレイン「ぐへぁっ!」


ビターン。
適当に巻いたテープが、まさかハサマに引っかかっているなんてクレインは思っていなかった。
数日前屋上でサボっていた時、クラスメイトのあるグループがボロボロの身体で集まり、「ハサマさんだけは怒らせてはならない」と謎の誓いを立てていたことを今更思い出す。
もう懺悔しても色々遅い。
ハサマは最後にクレインの右足を無造作につかむと、壁に思い切りぶん投げてフィニッシュ。
非常口マークのような形でめり込んだ。
ハサマは手をパフパフと叩くと汗をサッと拭き、そのままスタイリッシュに去っていった。


クレイン 「(もう二度と悪戯なんてしないでおこう…)」


思いっきりズタズタにされたクレインは意識が消える中でそう誓っていた。
後で中等部の良い子達が発見し、しっかり保健室に連れていかれた。


レウカド先生「またこいつか…」


面倒くさそうに呟くと、ホースで顔に水をかけて追い出した。

 

 

放課後、ハサマは職員室に呼ばれ、グリム先生に正座させられてみっちり叱られたそうな。
相手がクレインだったので謹慎処分は免れたらしい。

モカ

レイリ「クロマ!繭は…!」


レイリは呼吸を乱しながら窓をあけて着地した。


クロマ「なんか朝から動きまくってるね!うわ激しっ!」


クロマは興奮気味に答えた。
レイリが来た途端に繭の動きが激しさを増した。


レイリ「これは……。羽化の予兆……!実際に見れることは少ない……」


息をのんでじっと見続けるレイリ。


そのまま二人で見ていると、数分ほどあらぶり続けた後に亀裂が入り始めた


クロマ「ところで羽化した後身体の弱さとかはどうなるの!?」


羽化した後落下などで怪我しないか心配なようだ


レイリ「モスサターニアは体毛や髪の毛がクッションになるから身体は平気……。だけど、長い期間で老化した繭の繊維に絡まってやわらかい羽が傷つく可能性はある……!」


レイリはそわそわしている。


クロマ「自然に待つより亀裂から無理矢理こじ開ければ少しは傷つかない!?」


興奮と焦りが入り混じる。


レイリ「何が正解かわからない……どうすれば……」


非常に心配そうな顔で冷や汗をかきながらキョロキョロしている。
モスサターニアの成体の死亡率は卵の孵化に続いて、この瞬間が最も多い。
行動しないで死んでしまったら嫌だと思い、クロマは持っていたナイフを使って亀裂の上下に切り込みを入れ、亀裂をより広くした。
レイリは吃驚して髪をぶわっと膨らませた。
不安と期待で動く心臓の高鳴りを感じる。
開いた隙間から中が見え始めると、そこには胎児のように丸まった赤子の姿があった。


レイリ「クロマ……!」


レイリはクロマの服のはしっこを掴む。笑顔とも泣き顔ともとれる顔をしている。


クロマ「………それで、ここからどうするの?」


ひとまず安心したのか冷静さをある程度ですが取り戻したクロマ。
ここからが本番だとでも言いたげな顔をしている。


レイリ「繭の中で、包まれた羽を大きく開く……。羽の膜は柔らかくても、支えている芯はかなり力強い……。大きく開いて、衝撃で燐粉を落とす……。」


興奮のせいで気づいていないが、最初の粉おとしは外敵から身を守る役目もあるため、咳やくしゃみを誘発する。
本来は羽を開くことで同時に繭を割るが、変異により未成熟のためか、通常繭を割るほどの羽の大きさがこの赤子には足りていない。
割けた隙間から高密度の燐粉が噴き出す。


クロマ「ソイヤックショイ」


クロマは鱗粉をまともに浴びてしまいくしゃみをしてしまった。
幸いすぐに別方向を向いたため幼子への被害は免れた。
代わりにモロにしぶきを受けたレイリは、気にも止めずキラキラと目を輝かせて幼子を見続ける。
燐粉が日の光を受けて輝き、素晴らしく、神々しく写る羽化の瞬間である。
少しクロマは思案すると繭の上半分を完全に切断し、羽化したての羽が乾くのを早めた。
幼子は数分後起き上がり自力でこちらに寄ってくる。


レイリ「……!!」


言葉が出ずにいるレイリ。
固唾をのんでこちらに来るのを待っている。
乳母としてこっちから行くべきではないと、なぜかその時思っていた。
幼子は薄く目を開くと、レイリの顔をじっと見て、突然笑顔で胸元まで飛び付いてきた。


レイリ「おおぉ…!……おぉ…?」


胸に埋まった頭を抱き締めるようにささえるレイリ。かなり混乱していながらにして、照れからか顔は赤面している。
幼子はこの時を待っていたかのように、何度も頬擦りをしてくる。


レイリ「まって、レイリには毒がある…、まってまって」


凄く凄く嬉しそうな顔で頭を支える。

 
レイリ「クロマ、とても元気だ…。元気だよ…。」


嬉しそうな顔のまま、ぽろぽろ泣き出す


クロマ「……元気でよかったね……」


目元を隠すように帽子のつばを下げ、微笑みながら答えた。


レイリ「あぁ…。よく頑張った……。えらい……。」


ぎゅっと抱き締めて、声に出さず肩を震わせる。
クロマはレイリの間横に立ち、幼子の頭を撫でた。
レイリは目を拭きながら幼子をそっと放した。
幼子は放された途端クロマにしがみついた。
クロマは驚きつつも抱き締めてまた撫でている


クロマ「この子の名前どうしよっか?」


レイリ「レイリは、習ったことがないから、言葉が得意じゃない…。初抱きはもらったから、クロマに決めてほしい…。」


羽化後に独りで幼虫の頃にいた両親の記憶を必死に辿って、思い出しながら言葉を勉強したレイリは、自身の片言の文や単語にコンプレックスを抱いている。
名付け親はこの子の将来のためを想い、クロマに託した。


クロマ「じゃあモカ……君にでもしておくかぁ。」


名前を呼んだ後、レイリをチラッと見て確認の為の間を含ませた。


レイリ「モカ…いい名前。モカ、明日から飛び方を教える。強くなれ。」


真剣な顔で向き直る。


レイリ「モカは一族と…………レイリの誇りだから」


モカはその言葉の意味がよくわからないようだったが、頑張る、と意気込んでるのか、元気よく羽根をばさばささせてみせた。


レイリ「そう、その調子」


クロマに振り返る。


レイリ「クロマ。あとは歯や神経が馴染むまで柔らかいもので食事を与える。他はあまり人間と変わらない。寝るときに羽を畳む癖をつけさせて。濡らしたまま寝ると痛むから、お風呂のあとは『ドライヤー』をして乾かしてほしい。」


クロマ「……ドライヤー……?うんわかった。」


柔らかい食事にして羽根畳ませればいいんだねと了承した。
ドライヤーという言葉に引っ掛かりを感じる。


あ、そうか、と訂正するレイリ。


レイリ「モスサターニアは家族が羽を動かして風を送り、子の髪や羽を乾かす。その相手の事を『ドライヤー』と呼ぶ。飛べるようになったら、ひとっとびすればすぐ乾く。」


そよそよと風を送るレイリ


クロマ「(王に頼んどこ)飛べるようになるまでは乾かせば良いんだねわかった」


レイリ「私は、これからガーナに報告に行く。もうしばらくこの国でモカに飛び方を教える。」


クロマに近づき、ハグをする。


レイリ「ありがとう。本当に、ありがとう…」


クロマ「……ん、どういたしまして。」


静かに微笑みながら二人にハグをされていた。


レイリ「モカ、レイリの飛ぶ姿を見て。モカも同じことができる。」


窓に立つとふわりと大きく羽を広げて、二人を見ながら後ろに飛んだ。


レイリ「また明日…!レイリと一緒に飛ぼう…!」


回転しつつ、あっという間に遠くまで飛んだ。
今までで一番楽しそうに、元気よく。
二人はレイリを窓の外から見送った。


クロマ「いやー綺麗だったねー」


モカは一生懸命頷いている。


クロマ「……言葉とか読み書きも教えなきゃね」


モカは首を傾げたが、頑張ると意気込んでいた。

 

 

 

 


レイリ「(父さんと母さんも……レイリを待ってくれてた……だろうか……)」


レイリはドレスタニアに向かって飛びながら考え続けた。


レイリ「(モカにも両親はいない……でも……家族がいる……)」


レイリ「(家族……ずっと欲しかった、家族……。諦めていた……家族……)」


レイリ「…モカ。」


レイリは飛び続ける。
日に照らされて輝く滴を拭い取りながら、家族のいる幸せを感じていた……。

『代理人』

 この娘は中々に使い勝手が良い。私に対しまだ一言も発していないが、娘の意思が理解できる。『これ』がこの娘の『呪詛』だろう。


 声帯を使わず、かといって脳や精神に干渉するわけでもない。テレパシー能力もないが、この娘を『感じる者』には『意思が伝わってしまう』。つまり、この娘は『伝達』の呪詛を持ち合わせるアルビダだ。これは、敵に回せば厄介なことこの上ない。その上、他者の意思も筒抜けになっている。私は隠す必要もない為気にも止めていないが、彼女は言葉という曖昧な物より遥かに高度な次元で相手の伝えたい内容を察知してしまう。


 例えば、私が喉が乾いたと思えば、振り向いてこの娘に伝える前に水を汲みに行っている。言葉で説明するのも難しい内容ですら、完璧に把握する。私が理想とする温度の水を持ってくる。そして私は娘から意思を察する。より高い次元で、だ。内容から察するに、『26%程の疲労』を感じているらしい。この26%とは、私の主観で情報を処理した際に現れた数字だ。私はこの情報を、『察知させられる』というわけだ。


 私は私が喋るときに余計なノイズが混じることを、一般的に見ても過剰なほど嫌っている。この娘はノイズをたてることはない。所有することに多大なメリットがある。この娘には死ぬまで働いてもらうことを命令した。そしてこの娘は、それをかなり高度なレベルで把握し、承諾した。

 


━━私はこの娘を『proxy』と名付けた。

【PFCT】ケモノデッキvs海賊デッキ

「私の先行だ。一枚引く。普通召喚でヤミタを召喚。フィールドスキルカードで『ベリエラの満月』をセット。場に一枚カードを伏せてターン終了。」

 

「一枚引きます。普通召喚で紫電を召喚。」

 

「レアカードじゃないか。当たったのか?羨ましい…」

 

「えぇ、海賊デッキの基盤になりました。紫電の特殊効果で、バ海賊トークンが場に三体現れます。装備スキルカード『ねこみみカチューシャ』を紫電につけ、イベント効果発動。『嵐を呼ぶライジングナックル』。相手カードへの攻撃に成功したとき、プレイヤーへ直接ダメージが入ります。」

 

「トラップスキル発動。相手の攻撃宣言時に開くことが出来る。『入れ替えの呪詛』。妖怪族への攻撃宣言は『妖怪トークン』へ対称変更させる。」

 

「あら、貴重な制限カードでヤミタ君を場に残すなんて…。ガーナ様のライフを1削ってターン終了」

 

「一枚引く。「満月」の効果によりヤミタのイベント効果発動。ヤミタはケモノ族化し、ターン終了宣言と共に強制的に追加攻撃する。バ海賊トークンを攻撃。ケモノヤミタが攻撃に成功したとき、イベント『遠吠え』発動。手札から同じケモノ族のマモノを一体召喚する。私はシュヴァルツヴェルダーを効果召喚する。」

 

「バ海賊トークンはUGにいかずチュリグ送り扱いになります。遠吠えコンボですか?実践で見るのは初めてですね…」

 

「シュヴァルツヴェルダーは条件を揃えれば二回攻撃宣言が出来るレアカードだ。「満月」はセットしてから次のターンに効果が開放される。一ターンに一度、ケモノ族のマモノのイベントを強制的に起こすことが可能だ。シュヴァルツヴェルダーの特殊効果発動、『狼騎士契約』」

 

「(ケモノデッキに負けると腹が立つと聞いたことがありますが、なるほど。長い。)」

 

「剣士族のマモノを手札から『スキルカード欄』にセットする。『ゼンロ』をセット。このカードが場に出ている限りシュヴァルツヴェルダー二回攻撃宣言が行える。シュヴァルツヴェルダーへの攻撃はスキルカード欄のマモノが受ける。そして『狼騎士契約』は自分のターンの度に使うことができる。バ海賊トークンを攻撃宣言。」

 

紫電だけになりましたね…。ターン終了ですか?」

 

「あぁ。ターン終了」
 
「それでは一枚…」

 

「待った。終了宣言時のケモノヤミタの追加効果を忘れるな」

 

「忘れてました…。紫電をUGに送ります。カードを一枚引いて、、、一枚伏せてターン終了します、、、」

 

「一枚引く。まず、マモノ召喚『イナゴ豚』。」

 

「うわ」

 

「イナゴ豚は攻撃に成功することでそのターンの相手の伏せカードの対象を自身に固定する。ライフを1削る。」

 

「あぁ、シュヴァルツヴェルダー対策が…。伏せカード発動、『アンティノメル収容所』。場のマモノを一枚チュリグ送りにします」

 

「イナゴ豚だな。チェックメイトだ。」

 

「ヤミタとシュヴァルツヴェルダーはかなり厄介ですね…」

 

「満月を出した状態で一ターン待つんだ、仕方ない。ケモノ族はコスト低いカードは使い物にならんし、一ターン耐えるにしてもコストの高いケモノ族でなくては厳しい。今のところ壊れ性能はシュヴァルツヴェルダーくらいしかいないが、コストが2な上に制限カードで一枚しか入れられないので山札から引ける可能性は低い。ヤミタはイベントでケモノヤミタになるまでは妖怪族だ。限定的なスキルカードばかりのケモノデッキでは生き残りにくい。更に、シュヴァルツヴェルダーへつけられるマモノは剣士族。剣士族は総じてコストが高く、種族不一致の為活かすこともできない。デッキも相当圧迫する。遠吠えコンボには相応のリスクがある。」

 

「イナゴ豚は…」

 

「ケモノデッキの要とも言える有能マモノカードだ。コイツがいなくては長期戦に持ち込むことは難しい。ビジュアルから使わない人も多いが大会参加者は間違いなく三枚入れるだろう。ただ攻撃するだけでもメリットがあるからな」

 

「なるほど…ところでガーナ様」

 

「なんだ」

 

「この前ご老人に負けたのがそんなに悔しいんですか?」

 

「アイツは私が負かすまでこの国から一歩も出さん」

 

「財力に任せて子供が買う分とか減らさないでくださいね…」

 

「立場上一店舗1日五パックって決めている…35店舗すべて回るのはさすがにキツい…箱買いしたい…」

 

「(カードゲームは怖いですね…)」