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PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

外交官エリーゼ、チュリグでショッピング

エリーゼ「チュリグにつきましたね。かわいい洋服かなにかのお土産が欲しいところですが…。」


ナツメ「…………観光?」


エリーゼ「おや、あなたは…どこかでお会いしましたでしょうか。チュリグにお洋服を買いに来たのです。貴女もとても可愛い服を着ていますね。」


ナツメ「会ってはいない、と思う。……洋服屋、あっち」


袖を引っ張って連れて行こうとする


エリーゼ「あら、連れて行ってくれるのですね。ありがとうございます。」


とても楽しそうにニコニコ笑っている。


ナツメ「……どういたしまして。」


ナツメは少しだけ笑った。
やがて二人は洋服屋に到着する。


エリーゼ「チュリグの洋服屋って、独特の雰囲気がありますね。オススメのブランドなどはありますか?」


帽子などを見ている。エリーゼ自体はそこそこの歳だが、洋服選びはこどもの時と変わらず目をキラキラさせている。


ナツメ「………ブランド?何それ?」


ナツメはブランドという言葉を、初めて聞いたかのように聞き返す。見ると、洋服屋のお客や店員までもが、とても不思議そうな顔で聞いていた。
チュリグの洋服屋は暇をもてあました精霊の職人達が、ハサマ王の提案により、皆なんとなくの気持ちで経営しているのである。


エリーゼ「おや?ブランドという概念がありませんでしたか?こんな素敵な服を作る職人さんがいるのだから、名前が知りたくなっちゃいますね。その名前をブランドって言うのです。どれも細かくていい質ですね、何色の服を買おうかしら…」


ナツメ「……作った精霊の名前がブランド?……?????」


首傾げながら考えるナツメ。腑に落ちない表情をしている。
店員らしき人間が、ナツメに少し震えた声で「怒って燃やさないで下さいね」と釘を刺した。


エリーゼ「この帽子は、お店の名前がブランドのお名前に使われています」


つけているつばひろ帽子を外してナツメに見せる。縁に小さくシャルルと印字されている。


エリーゼ「よその貴族の方に自慢するのです。シャルルの最新作、いいでしょ?って」


『自慢して何があるの?』と店内の人達が一体となって質問した。
その表情は、まるで小さな子供のように純粋で、心から不思議そうな顔をしていた。


エリーゼ「それはもちろん…あらあら、困りましたね」


少し考えてから答える。


エリーゼ「小うるさいおばさんがムキになって、お洋服屋さんが儲かります。」


ニコっと笑う。


「小うるさいおばさん」「小うるさいおばさん」
「儲かるのかぁ」「この店も王に言われて始めたしなぁ」
「まあ暇だし」「私も職人やってみようかな」
「とりあえずやってみるだけ損はないかなぁ」
「競争心はないから」「たまに自慢?しとくかぁ」


それぞれが口々に反応した。よほど珍しいものを目にしたのだろう。まんざらでも無さそうに、店内にわずかな活気が生まれた。


エリーゼ「ふふふ、だから私は貴女の服をみて、お財布を軽くしてしまうのです。」


黒と赤のドレス、それと、お花の飾りのカチューシャを手に取り、お会計のところに持っていく。


エリーゼ「私はエリーゼ。貴女のお名前は?」


ナツメに振りかえり、胸に手を当てて一礼し、自己紹介をする。向き直ると、まるで少女のように優しい笑顔でナツメの名前を訪ねた。


ナツメ「…………ナツメ」


返事は、質問をそのまま返した、とばかりに、淡々と答えた。


エリーゼ「ナツメさんのお洋服、綺麗な肌と似合っていてとてもお洒落ね。貴女がドレスタニアに来たら、みんな大急ぎでチュリグに来ちゃいますよ。次は私が案内しますから、是非一度ドレスタニアにいらしてね」


エリーゼは紙袋を抱えて無邪気に笑った。


ナツメ「ん、分かった。ありがと。(犯罪者来たら焼くけど)」


エリーゼの提案を、不思議そうに承諾するナツメ。


エリーゼ「それでは、これを。ドレスタニアの貴婦人は、お話したら最後にお礼をお渡しします。」


ナツメの金の髪の毛に良く似合う、小さなルビーのネックレスをナツメの首に掛ける(肌には触れないように、優しく。)


エリーゼ「また会うことを楽しみに。ごきげんよう。」


ルンルンとお店を後にした。


「………後で王にお返し考えてもらおうかな……」
小さくそんなことを言って見送った。

 

 

afterエリーゼ


エリーゼ様、その服は…?」「生地がエ、エレガントですわ!」「ちょっと、意地悪せずに教えてくださいまし!どこのブランドですの!?」


エリーゼ「ふふふ、それはそれは素敵な国の、素敵な女の子のオススメですの。ブランドなんて無粋なもの…ありませんよ。残念ですこと」


最上級ドレスタニア貴族によるパーティーにて、エリーゼは質問攻めにあっていた。貴婦人たちの、毎度行われるギスギスした抜き打ちドレスチェックで、今回はエリーゼが満場一致の勝利を納めていた。


「なんて方なの!違いがわかる方ですわ!」「目の付け所が、シャープですのね……」「アヴァンギャルドですわ」


エリーゼはその光景を意地悪く楽しんでいたが、ひとしきり自慢したあと、ひとり窓の外に出て、夜風にため息をついた。


「あんなお人形さんみたいな綺麗な子を前にしたら、嫉妬しない方がおかしいわね…。ドレスタニアに来てくれるかしら。」


月を見上げるその顔には、ため息とは裏腹に、うっとりとした笑みがこぼれていた。

 

 

afterナツメ


「あれナツメちゃん。顔赤いけどどーしたの?」


「そのネックレスは誰から貰ったのですか?」


「ご機嫌だね。どうかしたの?」


ナツメ「エリーゼ」「お返し」「どうしよ」


「外交官のメイドさん?貰い物か良かったね。」


ナツメ「光栄でございます我が王よ」


「「(落ち(まし)たねこれ)」」


「ネックレス貰ったのかあ。時計とかブレスレットにしたら?」


ナツメ「分かりました王よそうします」


「(指輪だといきなりゴールだからね)」


「(確かにそれだと愛が重いですね)」

アンティノメル襲撃、エアリス対ソラ

アンティノメルにあるとある町に、数ヵ所同時に爆発が起きた。無差別に街中を破壊していく『敵』に対してシュン、ルーカスは立ち向かったが、敵の放つガトリングガンによってなぎ倒されてしまった。


ソラ「……!!ルーカス様!シュン!!
…ルーカス様?シュン…!!ひどい怪我だ…!『僕は』…僕は…!!」


ソラはぐったりとした二人を見て、とてつもなく強い感情に襲われていた。シュンとルーカスを傷つけた相手は許さない。ソラの目に、光が宿る。


エアリス「公平な子はいい子。不公平な子は悪い子。種族差別が行われているのにそれを対策できぬような国に、存在する資格はない」


ウェディングドレスを来た銀髪の少女だった。背中に(現代で言うステルス戦闘機型の)物体がついており、宙に浮いている。


ソラ「君がルーカス様を…シュンを…傷つけたのか!?」


ソラの目に、光が宿った。ドレスの少女を睨みつけている。


エアリス「なんじゃ?そのちっぽけなナイフでわらわに立ち向かうのか?お主も消し炭にしてやろう」


両手をガトリングガンに変形させソラに向かって掃射した。アスファルトに無数の小穴が開く


ソラ「!!」


ソラはなんとかガトリングを避ける。


ソラ「僕がナイフだけじゃ不満足かい…?ルーカス様…日本刀、借りさせてもらいます!」


ソラはルーカスの日本刀を手にし、地面に刺した。地面が割れるほど強い力が発揮されている


『敵』は空中を浮遊しながらさらにガトリングガンを乱射する。


エアリス「どうした?地面を割ったところで空中にいるわらわには勝てんぞ?」


ソラ「…っでぇい!!」


割った地面をえぐり、敵に攻撃する。ガトリングが身体に当たり、かはっ、と声を出した。『痛い』ソラは今すぐトラウマを思い出すこの状況から逃げ出したくなったが、シュンとルーカスを考えると逃げられない。
巨大な質量を持った土の塊が『敵』の頭に激突する。幼い顔は容赦なく石によって押し潰された。
だが、ガトリングガンは依然として放たれている。確かに首はもげたはずなのに、胴体だけで動いている。


ソラ「バケモノなの…!?きみは…!!なんで胴体だけで動けているの…こうなったら…!」


ソラは常人だと目で追えない速さで、敵に向かう。攻撃がソラにあたる。ソラは逃げたかった。逃げたかったがシュンの事を考えて逃げなかった。
ソラが投げた地面の下から銀色の液体が飛び出した。液体はまっすぐ少女の頭があった場所に向い、数秒で彼女の頭は再生した。
向かってきたソラを両手を剣に変形させて迎え撃つ。片腕だけでも達人と渡り合える太刀筋だ。


ソラ「うぐっ…!バケモノじゃないか!まだだ!僕は戦うんだ!信頼できるあの方のため!愛のために!」


ソラは日本刀で何とか剣を防ぐ。そしてソラはナイフを少女に投げた。


ソラ「僕は信頼できるあの方と愛する彼のために戦う…!」


エアリス「無駄だ。わらわの肉体に物理攻撃は効かん」


倒れていたルーカスが決死の思いで叫んだ。


ルーカス「奴に効くのは急激な温度変化で再生能力を失わせるか、粒子レベルまで頭部を破壊することだ!ハサマ王が一度倒している!」


ソラ「急な温度変化…!?ルーカス様、ありがとうございます!…おらぁぁっ!!」


ソラは『黎明』の力を解き放ち、一気に刀を凍らせる。
ソラ「なるべく解放したくないけど…」


ソラは刀に触れたものを凍らせる程、強い力をどこからか召喚した。


ルーカス「そうだ!あとは強烈に熱せられれば奴の再生能力はダウンする。その状態で首を切れば下半身は蒸発する!」


『敵』は感情のこもっていない、ひどく冷淡な声でいい放つ。


エアリス「ふん。この程度の冷却。わらわには効かぬ。このまま切られて死んでしまえ!」


ソラ「……はぁあっ!!」


ソラは、思いっきり日本刀に熱の力、冷却の力を込めて敵を攻撃する。その攻撃はここいっぺんの街を壊滅させられるほどの力。黎明となったソラにのみ許された攻撃だった。


エアリス「ばかな!貴様!この町を消し飛ばすつもりか?!」


『敵』は町を人質にとっていた。市街地で戦うことにより、極端な大技を抑止していたつもりだった。目に見えて敵は焦り始める。


ソラ「…街は…消しませんよ…。あなたにだけ…攻撃します…。貴方だけに一気に集中して…力を解き放つ!僕は恋人の為に…戦うようなものだ!もしダメだったら、僕を処分してくださいね、ルーカス様」


ソラはにこりとルーカスの方向を向くと刀を持ち走っていった。


エアリス「これで充分か……ハサマと言い、お主と言い、強い者が多すぎる」


『敵』は背中の三角状の物体から、先ほど町を破壊した水素ミサイルを2発発射された。


ソラ「駄目だ!!」


水素ミサイルに向かって、慌てるソラ。瞬間、水素ミサイルは謎の力により別空間の中に消えた。ソラが刀で空間を切り裂いたのだ。


ソラ「…ルーカス様…俺は…」


口調が戻る。力を一気に解放して、ソラの感情が無くなっていく。


エアリス「惜しかったな。あと少し持てば遊軍が来たであろうものを」


さらに2発のミサイルを発射する。


(….ん?空間を切り裂くじゃと?異空間に肉体が飛ばされたら、わらわは再生できるのか?)


ソラ「…うっ…く、はぁああっ…!!」


体力の限界を振り切り、ミサイルを別空間に入れる。敵の目の前でも、空間を切り裂いた。


ソラ「シュン…無事ですか…ルーカス様…俺は…俺は」


力を解放したソラはだんだんと感情が無くなっていく。
顔を消し飛ばされた『敵』は機能を停止した。体が急激に蒸発していく。頭部にある再生・肉体の制御を司る機関は液体であり、物理攻撃には強い耐性があった。だが、それをまるごと消されたためにすべての機能が失われた。


……ソラは勝ったのである。


ソラ「…シュ…ン…平気ですか…」


真っ先に、ソラはシュンの心配をする。生きていることを確認すると強くハグをした。ルーカスが笑顔でそれを見ている。そしてソラは持っていた傷薬でシュンとルーカスの怪我を治したのだった。

解剖鬼とソラ


解剖鬼「さてと、君とは初めましてかな?それとも、前にも出会ったか?」


ソラ「…前にも会いましたか?」


ソラは、目の前の人物を不思議に見つめる。


解剖鬼「(よかった。ドレスタニア経由で指名手配書が届いていたらどうなっていたことか)」


解剖鬼「いいや。私が君と会うのは初めてだ。私は外科医をしている」


そう言ってコートの中からちらりとメスを光らせた。


ソラ「(…メス?何をするんですか?)」


ソラはメスに真っ先に気づいた。気付かぬふりをしている。


ソラ「外科医ですか。はじめまして。俺は季夏空(きなつ ソラ)。」


解剖鬼「(やはりアンティノメルの……)」


解剖鬼「ソラ君か。よろしく頼む。……ん?君、怪我をしていないか?少し見せてくれ」


ペストマスクからくぐもった声が反響している。淀み暗い声である。


ソラ「…ええ。いいですよ。俺、どこか怪我をしていましたか?」


ソラは感情なく応じた。だがその顔に警戒の字が見える。最初に見たメスから警戒が解けていないようだ


解剖鬼「そうか。当然だ。こんなものを見たら誰でも警戒はする。ただ、これは私の商売道具なんでね。手に持って見てみるか?」


銀色のメスの持ち手をソラに向けた。ソラの指先がほんの少し切れているのを凝視しながら。


ソラ「…手に取ってみます。…銀色のメスですね。特に変わっていません。」


ソラ「…あ、この傷ですか?…いつ付いたんでしょう」


ソラは疑問に思う言葉を吐きながら、声のトーンは全く感情を込めていない。


傷はメスに触れた瞬間きれいさっぱり消え去った。ごくごく自然な動作で能力を発動させた。


解剖鬼「自分の体はいたわった方がいい。この世は生きているだけでも辛い。あえてこれ以上辛い道を歩む必要はない。たとえ、それがほんの些細な痛みであってもな」


ソラ「…?傷が消えましたね…痛くは、ありませんでしたよ?あえてこれ以上辛い道を歩む必要は無い?…俺は確かに、辛い道を歩んでいますが…」


ソラの言葉に微かな震えが入る。辛い道という単語に反応している。


解剖鬼「(肉体的な痛みには強い、が)」


解剖鬼「そうか。辛いか?生きるのは?永遠に楽になりたいと、思ったことはないか?」


ソラ「思った事があります…永遠に楽になりたい…俺は思った事があります。永遠に…俺を殺す俺から開放されたいですから」


ソラは感情を無しにして言う。『俺を殺す俺』は、トラウマから感情を封じ込めたソラの事である。


解剖鬼「自分を殺しているのか。辛いだろう。自分の思っていることも、したいことも何も出来ない。人が自分のことを偽れるのは限界がある。大体4年、長くて7年……。だが、今のままではやがて崩れるぞ?それまでに自分を受け入れられる自信はあるか?」


ソラ「…いずれ崩れる…俺は俺を偽っていない…俺は受け入れられない…俺は…俺を殺し…生きている…。」


ソラ「そう…トラウマがあるんです…過去に…過去に俺は…うっ…!!」


ソラはトラウマを話そうとすると頭を抱える。解剖鬼の言葉に感情が現れ始めた。


解剖鬼「お前はそこまでして生きたいのか?このまま過去のトラウマに苦しみ続けるのか?見えない未来に怯え続けても生きていたいのか?」

 

 

 

「それが嫌なのなら……私がこの世から解放してあげようか?」

 

 


まるで神父のように優しい口調でペストマスクはいった。


ソラ「…そこまでして…ですって?このまま…生き続け…この世から開放…されたいですが…『僕』は…」


ソラは躊躇った口調で話した。ソラの感情が見える。開放されたいが、もしかしたら殺されるかもしれない。ソラは戸惑った。


解剖鬼「なぜ君は死ぬことが恐ろしいと決めつける?死んだこともないのに?人はなぜ生きなければならないのだろうか。死んではいけないと誰が決めた?」


解剖鬼「生きるのはとても辛いことだ。安らかに死ぬことは決して罪ではないし、誰も君を咎めることはない……君次第だ」


ソラ「……死ぬのは…『恐ろしい』!『僕』は生きる…。トラウマを背負ってでも…俺は…生きる意味があります。…愛するあの人…ルーカス様…この国……。安らかには…なりたい。けれども俺は…。」


ソラは死ぬ事を何より恐れている。自身が消えたら恋人は…?と。

 

 


「伝えたい人に伝えていないことがある?大丈夫。一般に、死は突然訪れる。伝えたいことを伝えて死ぬ人の方が少ない。」

 

 


「悲しむ人がいる?大丈夫。その人の悲しみは時間が癒してくれる。」

 

 


「死は最大の『救い』だ。今感じているその恐怖からも、開放されるんだぞ?」

 

 


ソラ「……。救われない……俺は…救われない…死んでも。シュン、彼の為に生きる…俺は生きる…。」


ソラ「この恐怖から…開放される代わりに死ぬなら…開放されないで、トラウマに怯えながら、生きた方がマシです。」

 


「恋人に…伝えたい事、たくさん…あります、から。」

 


解剖鬼「素晴らしい!君は大した人だ!恋人を大切にしてやれ」


手に持っているメスが震えていた。まるで何者かが乗り移ったかのように。


解剖鬼「どうしても辛くなったら、私に依頼して欲しい。楽で安らかで、幸せな夢を永遠に見せてあげよう」


ソラ「…?」


ソラはメスを見つめた。


ソラ「俺は、辛いです。辛いですが。恋人のために生きます。彼の為に…彼の為に生きます。


ソラ「…彼の為に」


ソラが彼と言う度に、安心しきった優しい笑顔が見える。本人は気づいていない。


解剖鬼「そうか。なら、ひとつだけ言っておく。相方よりも先に死ぬな。辛くなったとしても必ず二人で来い。ただでさえ生きるのが苦痛な世界に、一人取り残されたら、それこそ地獄だ」


一瞬メスから妖怪特有の呪詛が漏れ出た。


ソラ「…彼の為に、生きます…彼を悲しませる訳にはいかない…それこそ…俺は『悲しい』」


ソラ(…?呪詛…?)


ソラ「…俺が彼女、ではなく、彼、と言っているのは、気にしないでください。恋人は、男ですが、愛していますから」


解剖鬼「そうか。」


メスを指差してペストマスクはいった。


ソラ「所で、そろそろお帰りなのですか?俺に色々と言ってくださりありがとうございました。俺は苦しんでも、恋人のために生きることを考えています…」


ソラ「俺が俺を殺していたとしても…俺は、生きる…。」


ソラ「…彼を愛していますから」


解剖鬼「ああ。もう時間だ。君なら変われる。絶対にな。私はとてつもない人数の『変われなかった人』をみてきたが、君はその人たちとは違う。自信を持てよ、ソラ君」


そう言って黒いコートを翻すとソラに背を向けた。
後ろに手を降りながら。

【ifSS】終焉神

ダンテ「…来たか…俺の元へ」


ダンテはいつもの姿では無く、体の殆どが龍に侵食されている姿で、姿をあらわした。


「無理に干渉し過ぎたからそうなったのー?」


気配はするが肝心の姿はどこにも見えない。空は日の光が広がる綺麗な白夜であった。


ダンテ「Grrrr…ダレダ…?誰がそこにいる?
俺は…!!」


ダンテは急に空間に向かって手の爪で切り裂いた。スカだ。ダンテは今は何も考えらず衝動のまま動く。


「それともなりかけ進行しちゃったー?」


白夜の空に、未だノイズがかった声が響く。


ダンテ「誰だ誰だ!!うおおお!!!俺は誰だ!!お前は誰だ!!貴様は!」


ダンテは口から火を吐き出し白夜の空間を燃やし尽くす事を試みるものの、空間は燃えなかった。


「そんなに言うなら姿くらいは見せておこうかー?」


ダンテ「見せろ見せろ…俺は俺はァアア!!うおお…ソラに殺される運命なんて信じない…誰だ!!」


ダンテは力を制御できずに頭を抱えながら暴れている。


「少しは落ち着いてよ全くもー」


いつの間にかダンテの目の前に白いコートの人物が現れた。
腕が8本生えていて目深にフードを被っている。
コートの人物はすぐに、戻すの忘れてたと言って6本の腕を消した。


ダンテ「誰だ。知らない。誰だお前は。見たことがある気がする、だが見たことが無い。お前は誰だ?」


ダンテは早口で言った。白コートの腕には驚いていない。目をギロリと輝かせている。ダンテの意思は今の彼は無い。


「はてさて誰だろーねー?」


ダンテ「ハサマか?観測者か?分からない、分からないぞ、俺は貴様を倒さないといけない気がする」


ダンテは一気に白コートに向かって突撃した。龍の力でかなり速く動けている。そして龍の力により身体にひどくダメージが入っているが本人は気づかない


「んー。どっちでもあるしそうでもないんだよねー。まあ倒せないんだけど☆」


ダンテの突撃はコートの人物の手前で、目に見えない透明な障壁に阻まれ、思いきり衝突した。


ダンテ「ぐはっ!!壁!?お前はハサマか!ハサマ!!俺は全て殺す!殺してやる!!うがぁぁああ!!!」


ダンテは暴走している。目の前の者が倒せない苛立ちのせいで冷静さを失っている。龍になりかけていることも原因の一つだろう。


ハサマ(?)「一応当ったりー☆まあ王様ではない方のハサマなんだけどね!」


不可視の壁をダンテは認識できていない。荒れ狂う竜は、同じ壁に幾度となく突撃を繰り返した。


ダンテ「王じゃない?お前は王者じゃないのか?壁をどかしやがれ!壁を消しやがれソラを殺す殺す殺されたくなければ大人しくしていろ…」


支離滅裂な言葉を繰り返すダンテ。殺意に飲まれ、自身を見失っている。


ハサマ(?)「私は殺せませんしソラ君も殺せませーん。何故なら君を消すという宿命を背負ってるからでーす。そこは私にもナナシにも干渉できない領域、つまり諦めろなのでーす☆」


ハサマと名乗る人物から垣間見える目は、焦点が合っていない。最初からダンテを視る気はなく、わざと空を見つめているようだ。
いつの間にか見えない障壁はダンテを取り囲み、身動きが封じられる。


ダンテ「……殺せない……チッ。俺を消す?俺を消すのか?やめろやめろ!!俺はソラを殺すまで死なない消えない消えたくない俺は運命通りになりたくない!!」


ダンテは消すという言葉に過激に反応して更に興奮している。ダンテもまた、過度な興奮状態によりハサマの目を視る余裕はなかった。


ハサマ(?)「君は主役に倒される悪役に過ぎないのでーす。消すことは一生全身全霊でも叶わないのでーす。今まで散々干渉しまくったんだからそれのツケなのです☆まあ諦めろという一言に集約されるんだけどね!」


あはは、と笑っているのは、ハサマか、それとも観測者か。その正体はわからない。


ダンテ「あああ!!!俺は消えない殺されたくないあああ!!!この世を書き換えてやる!!この世を書き換えてやる!!!俺は消えない消えない消えない助けて…怖い…消えない消えない」


ダンテはずっと、消えないと言っている。「観測者」を強く睨んでいるようだ。


ハサマ(?)「そんなに言っても睨んでも私は消せないし運命も変えられないのでーす☆ところでそろそろ来るかもしれないよ?」

ダンテ「何がだ、何が来るのだ!答えろ!俺はああ、俺は消えたくない…運命を変える力!!俺は運命を!!変えるんだ!!」


ダンテは壁の中でジタバタと暴れている。自身の力の制御が出来ていない。


ダンテ「返せよ…元の世界に…ソラをぶっ潰す…!」


息を荒らげて「観測者」を睨む。


ハサマ(?)「返さなくても来る者は来るのでーす☆」


ハサマはダンテの真後ろを指差す。


ダンテ「……くる?…後ろ…??後ろに何がいるんだ!!」


ダンテは後ろに素早く振り向いた。
するとそこにはソラがいた。覚醒し黎明神となったソラ。その視線は、まるで逃がすことを許さぬように、強くダンテに向けられていた。


ハサマ(?)「見られちゃったしそろそろ私帰るね!せいぜい無様に足掻いて私達を楽しませてね悪役さん!」


ハサマとは一言、「じゃーねー」と残し、新たに出した計8本もの手を振り、台風を起こして去っていった。


ダンテ「どういう事だ!なぜソラがいる!ソラ!ソラ!俺は貴様を殺す!!」


ソラ「…何かあったと思ったら君か。とりあえず僕に倒されたいのかな…?」


ダンテ「…??俺は何をしていた?いい、ソラを殺せるなら!」


瞬間、ダンテからハサマと名乗る人物の記憶が消え去った。今までの出来事が思い出せない。しかし、今のダンテには些細なことだ。目の前のソラを視界に写し、ダンテは笑みを浮かべる。


終焉と黎明の対峙。二人は出会ってしまった。間もなく始まるであろう最期の時。気づけばいつの間にかその空は、真っ黒な雲が覆い尽くしてた。

 


まるでこの世界から、二人だけを隠すかのように…。

【ifSS】王の葬式

※これはIFのお話です。

 

 グリムです。突然ですが、王が死にました。
原因は王宮内で一人寝ていたところの滅多刺しです。

 

 やらかした不届き者は王の抵抗で既に死亡しており、既に存在していない国の生き残りでした。

 

 あれから観測者も全く姿を見せておりません。

 

 葬式は全国民が黒服で参列し装飾品の類は一切身につけておらず、誰も涙を見せずに数十分程王に感謝と安息の黙祷を捧げ、ナツメが玉座に載せられた棺を一気に蒼炎で焼き尽くし、事前に用意された遺言書に私とクロマが次期国王に指名されました。

 

 終わるまで皆さんは凛とした表情でした。

 

 初代の激務を改めて思い知りこの為に二人指名されたのだなと納得し、今でも私達は激務に励んでおります。

 

 願わくばどうか、初代に安らかな休息を。

 

 

 

 

 その様子を白黒の影が楽しそうに見ていた。

 

 白影はたまには私が死ぬルートもいいねと笑顔で言い、黒影はそれを見て成長したなと無感情に褒めていました。


まあその様子は当事者以外誰も知らないのですが。

チュリグとエルドスト、親交を深める。

チュリグの王ハサマは台風に乗ってエルドストの広い大地へと降り立った。
辺りを見回すと人の気配はほとんどしない。ハサマは悠々と徒歩で歩き出した。台風を偶然観ていた少年、カマルは、台風上陸地点にいるハサマを見て驚いた。


カマル「うわっ、何だあんた…………今、何?飛んできた??」


ハサマ「うんー。飛んできたよー!」

カマル「すげえ……(キラキラした目で見る)
所でここらになんか用でも?特に何もない田舎だけど」


ハサマ「んー旅行?ところで君サムサールでしょ。」


カマル「えっ、あ、うん。さむさーる?って種族らしいぜ。よく知らないけど」


ハサマ「ふーん。(身体の傷を見て)随分困ってるみたいだから使えなくしようか?目。」


カマル「えっ。使えなく??……って、どういうことだ?(なんか怖いなこの人……)」


ハサマ「文字通りの意味だけどそれがどうかしたの?あんま痛くしないし処置もするけど」

カマル「あんまりって事はちょっとは痛いようなことするつもりだったのかよ!?処置って何だ!!?…………別に今はそんなに困ってないから、遠慮しとく……。あんまり物騒な事言うなよにいちゃん。」


ハサマ「んー?そんなに困ってないならいいかー」


先程から指先にパリパリと雷を迸らせていたがやめた


ハサマ「ところでここの統治者的な人知ってる?ちょっと話したいんだけど。」


カマル「とーちしゃ???……聞いた事ないな…………」


ハサマ「んー……ここのまとめ役とかそういうの」


カマル「まとめ役?なら村長の事か??変なことしないなら案内するのは構わねえけど……。ほんとに物騒な事するなよ?
えーっと、ハサマ?だっけ。あっ、そういえば俺の名前言い忘れてたな。俺はカマルって言うんだ!」


ハサマ「大丈夫大丈夫ー何か変なこと言わないならだけど。カマルっていうのかーよろしくね。」


カマル「変な事……?と、とりあえず危ないことしたらにいちゃん連れてった俺が困るんだから、大人しくしといてくれよ?」


ハサマ「わかったー。」


ニコニコと笑っている。


カマル「(本当にわかってんのか……?)……わかったなら別にいいけど……。じゃあ行こうか。村長の家はこっちだぜ」


ハサマの手を掴んで歩き始めるカマル。とことこついてくるハサマ。二人はまもなく村長宅に到着した。


カマル「村長ー!!(ドンドン)なんかお客さん!!!(ドンドンドン)」


カマルがめっちゃドア叩きながら大声で呼ぶ


ハサマ「(お家壊れない?)」


f:id:nagatakatsuki:20170315111532j:image

村長「(ガチャ)うるさいぞカマル。ドアが壊れるだろう。
……で、お客様というのは、……その御仁か。」


村長は少し考えこむような仕草をする。


村長「どうぞ、お入りください」


ハサマ「はいはーい、お邪魔しまーす!」


村長「……カマルは先生のところにでも行ってきなさい」


カマル「はーい」


村長「で、貴方は━━チュリグの国王様ですよね。何故こんな所へ?」


ハサマ「…………あれ、バレてた?あはははは
。友好的な関係築けるといいなと思ってね」


村長「いえ、私は若い頃少々世界を回ったことがありまして、その折にチュリグにもお邪魔したことがあっただけですから。と、失礼。お茶を淹れましょう。」


ハサマ「ん、ありがと。のどかで和む所だねー」


村長「ええ、全くもってのどかです。種族柄警戒心の強い私が最終的にここに落ち着けたのも、こののどかさあってのことですからね」


村長はどこか誇らしげな顔だ。


ハサマ「随分と嬉しそうな顔してるねー。いいねー。とりあえず親交でも深めるー?」

村長「ええ、そうですね。出来ることなら親睦を深めたい所です。が、先程も言いましたが私は少々警戒心が強いものでしてね。……具体的にはどの様な関係をお望みかお聞かせ願いたいのですが。」


ハサマ「?薬草とか送ったり栽培の技術伝えるとかそんな感じかな?」


村長「それではそちらの利が無いですが。……ここで育つ草の中で珍しいものの苗をいくつかそちらに譲りましょう。そちらの国の気候でも育てられるかどうかまでは保証できませんが、これで貸し借りはなしです」


ハサマ「分かったよー。ありがとね。」


村長「いえ……こちらこそ」


なんとか話し合いができてホッとする村長。あくまでも村長風情なので国王相手に内心めちゃくちゃ緊張してたりする。


ハサマ「別にそんな緊張しなくてもいいんだよ?統治者同士であってそこに上下はないからね」


村長「村長と国王じゃ大違いだと思いますが……。それに私は別に統治者でもなんでもありません。ただ村人の話を聞いてああしたらこうしたらと意見を言っていつのまにか村長と呼ばれていただけの者ですから」


ハサマ「ハサマも大体そんな感じだから大丈夫ー」


かなり遠い昔のことでよく覚えていないが嘘ではない


村長「そうですか……。畑でも見て行きますか?というかそれ以外何も無い様な所なんですが」


ハサマ「これから作るか畑増やせばいいんじゃない?行く。」


村長「そんなに大きい村じゃ無いので、あまり畑を増やしても耕せる人手が足りなくなるんですよ。他に何か作ると言っても外の人があまりこない上に住人のほとんどが農民ばかりなので、あまり娯楽に興じる余裕が無いのもここらに何も無い要因ですね」


家から出て畑に向かう


ハサマ「何人か側近でも連れてこようか?村のことを伝えて人を呼び込むという方法もあるが」


さぁどうする?という顔で着いていくハサマ。ほんの少し空気が変わったように感じ取れる。


村長「いえ、そこまでしてもらう訳には……。それに、発展することは喜ばしいですが、それによって人が増えて、今ののどかさが失われてしまうのは少し……と思ってしまう自分もいるのですよ。外から来た方にはつまらなくても私は今のままのここが好きなので」


ハサマ「住めば良さが分かる、ということかそれはそれで面白いな、ははは」

村長「そうですね。……つきました」


畑に到着。
川から用水路が引かれ、土は黒々とした良い畑が広がっている。
育てているのは薬草だけでは無く、野菜などもある様だ。


村長「どれか食べて見ますか?ここは私の畑なので、いくつか取るぶんには構いませんよ」


ハサマ「取って持ち帰って栽培するかな!全部一個ずつね!」


村長「個人用に持って帰るのは構いませんが大規模に栽培して売る様なことはやめてくださいね。私たちの大切な収入源ですから。」


ちょっと釘をさす村長。


ハサマ「あ、そうなの?大体は品種改良とかして売るのはあまりやらないけど、持ち帰りはいいかな。毒草以外は」


村長「毒草ですか……?毒にしかならない様なものはさすがに育てて居ませんが……確か処理の仕方を変えると毒になる草が……どれだったかな、……これか」


村長が一本の草を引き抜いて渡す。


ハサマ「これ普通だとどんな効果があるの?」


村長「少量の葉を茶葉に混ぜて飲めばお通じ改善の便秘薬、これ単体で煎じれば下剤、大量の葉を煮詰めて濃縮したものは下痢と嘔吐、痙攣などの症状が出て最悪死ぬ毒になります。葉っぱを一枚齧った程度なら数日便が緩くなる程度なので毒というほどのものでは無いのですがね」


ハサマ「結構多岐なんだね。これも持ち帰るよ」


村長「同じ効果でも濃度によって結果に差が出ますからね。毒変為薬とも言いますし、その逆もまた然りですね。では根が痛まない様に数種用意しますね。少々お待ちを」


ハサマ「分かったー」待ってる


一本一本土がついた状態で丁寧に布で包まれたものが五つ村長からハサマ王に渡された。


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村長「はい、出来ました。なるべく潰さない様にしてくださいね。あと出来たらすぐ植え替えてやってください」


農家らしく色々と注文が多い。


ハサマ「分かったー!植え替えなかったらどうなるの?」


村長「この状態って結構草にかかるストレスが大きいので、枯れますよ。これは少しの土をつけたまま布で包んだだけですから。さすがに五つも植木鉢渡す訳にもいきませんし」


納得したように頷いていた


ハサマ「分かったーハサマそろそろ帰るねー」


村長「あ、はい。お気をつけて」


ハサマはじゃーねと笑顔で
持ちかえる植物を台風で巻き上げ
そのまま自身も帰っていった。
その光景は多分一生忘れないだろう


村長「台風……あの人そのものが台風みたいなもんだなアレは…………。はーーー、緊張して疲れた……家帰って寝よう……」


あたりは既に夕日で赤く染まっていた

吟遊詩人と女海賊

紫電「野郎共!島が見えてきたぜ!」


(流石姉御だぁ!コンパス無しでも余裕だぜ!!)


紫電「お頭って呼べ!!」


船はベリエラから東のラビリンスに向かっていたが、ここエルドストは西である。


吟遊詩人のシャムスは浜辺を何となく散歩中。


シャムス「フンフンフーン♪、っと。お??なんかやたらとでかい船が……海賊船?」


紫電「よーし、俺が先に見に行ってくる。お前らはそこで船停めな!」


(えー!姉御ばっかずりーよー!遊びてーよー!!)


紫電「遊びに来てんじゃねーったら!!」


紫電「…マズったな。明らかにラビリンスじゃねぇ…どう言い訳すっか…」


頭を抱えつつ上陸

 
シャムス「ありゃ、誰か来るな?……危なそうだし、正直あんま関わりたく無いんだがなぁ……。明らかにこっちに来てるし……」


紫電「(あ、イケメンがいる…)おいお前!お前だ黒いの!!俺は泣く子も更に泣く海賊紫電!シバかれたくなけりゃ身ぐるみ剥いでうさぎ跳で帰るか、この島の案内をするか、どっちか選べ!」


口許はチャンスとばかりに笑っている。


シャムス「(あーあ。やっぱり話しかけられたか……って、よく見たら女だな……これは、イケるか?)おや、私の事ですかな?はじめましてお嬢さん。私はしがない吟遊詩人のシャムスと申します。この島の案内をお望みですか?私などで宜しければご案内しますが」


紫電「なっ!!お、おおおお嬢様じゃねぇよ!!(汗)海賊だぞ!!うわー!とか許してー!とか、もっとこう、色々あんだろバカヤロー!!///」


顔を真っ赤にしながら身ぶり手振りで否定する紫電


シャムス「(えっ、……何だこいつチョロすぎねえか??すぐ変な男に引っかかりそうだな、って俺だな)いやいや、海賊とは言え女性は女性ですからね。それに、案内すれば見逃してくれると言ったのは貴女ですよ紫電さん?(ここでイケメンスマイル炸裂)」


紫電「(ドッキイイイイイイィィィ❗❗❗)(何コレ何コレやだ、よく見たらスゴいイケメン…)」


顔を真っ赤にして完璧に硬直する紫電。一目惚れは初体験である。話はまったく聞いていない。


シャムス「(ウブか!?ものすごいウブか!???)……どうされました?
私の顔に何か付いていますか?(口元に手をやる)(あまりにもチョロすぎてちょっと笑えてきた)」


紫電「(⁉⁉)見てないっ❗❗おお、お、お前の顔なんて見てない❗❗知らない❗❗」


両手で顔を覆ってよくわからない動きで振り向き、逃げようとしたところで波が足元をさらって、盛大に浅瀬にダイブした。


シャムス「(おまけにドジだーーーッ!!!!!!)っく、ふふ……。大丈夫ですか?急に浜辺で走り出したりしたら砂に足を取られて危ないですよ。……立てますか?足は捻っていませんか?(手をさし出す)」


紫電「ち、違う…❗これは…違うぅぅ…(見られた見られた見られた見られた死にたい死にたい死にたい死にたい)」


シクシクと泣き出す紫電。顔はものすごく真っ赤で、ぷるぷるしながら小さくなっている。


シャムス「(何が違うんだろう……)ほら、早く立たないと波でもっと濡れてしまいますよ」


ちょっと強引に腕を引っ張って立てせるとポケットからハンカチを出して紫電の涙を拭う


「着替えないと風邪をひいてしまいますね……まずは服屋に行きましょうか(至近距離スマイル)」


紫電「ひゃい⁉えっ❗あっ、え❗」


シャムス、自分の胸元(スケスケ)、シャムスという順番で見る。


紫電「わあああぁぁぁぁぁ❗❗❗❗」


パニックになった紫電は鬼の全力の突き飛ばし攻撃をシャムスへとみまう。通常の人間なら15mは空中を舞うほどの威力


シャムス「うわあっ!?(ドボン)」


思いっきり海に吹っ飛んだシャムス。
紫電はそのまま鼻血をだしてコミカルに気絶し、背中から海にひっくり返った。


(姉御おぉぉぉ!!)


事態に気づいた鬼の海賊達は猛ダッシュでこちらに向かってきた。

シャムス「(ゲッなんかきた!!)」


なんとか泳いで陸に上がるも、頭に違和感を感じて手をやるとバンダナが吹っ飛んだ衝撃でどこかに行ってしまった模様。


紫電は必死の思いで鬼の肩を借りて起き上がると、シャムスの呪詛の目を見た。しかし、特に何も反応は無かった。だが、視線はその額の目に釘付けで、そのままキラキラと憧れの目をむけてシャムスを見つめ続けると、やがて血圧の上昇により失神した。素晴らしい笑顔だった。


「あ、姉御おおぉ!!」


他の鬼は気づいていない。


シャムス「(とどめを刺してしまった感が物凄い)」


とりあえず野郎と目が合うのは最悪なので手で覆い隠しながら


シャムス「……気絶しちゃいましたね……そのままだと色々まずいと思うので、私の泊まっている宿からタオルを借りてきましょう。ついでに何か羽織れるものも持ってきます」


忌刃(キバ)「おい待ちなニイチャン…」


デカアアァァァイ身長280cmはあるかという巨体に筋骨隆々なトライバルタトゥーのアフロ鬼がドスのきいた声で呼び止める。

シャムス「はい?何でしょう」


シャムスは額を片手で覆ったままである。


忌刃「名前を名乗りな」


(芦華!)(冥烙!!)(金弧!!)


忌刃「忌刃!…って、お前らじゃねぇよ馬鹿…殺されたく無けりゃとっととお前とこの島の名前を言いな…」


シャムス「ああ、はい。私はシャムスと申します。しがない吟遊詩人ですね。この島はエルドスト。辺境のど田舎ですよ。(でっけえ……バケモンかこいつ)」


忌刃「エルドストのシャムスか…。顔覚えたぜ…。テメェらズラかるぞ…。」


(うーい!!)


忌刃「次にくるときは姉御にゆっくりと島を案内してやってくれや…。今日の姉御は勝負服じゃねぇんだ…。優しくしてやってくれよな…」


忌刃はそういうと三人の鬼をぶん殴って、気絶した紫電を担いで船へ戻った。


シャムス「は、はあ……(ポカン)(なんだったんだあいつら……)」

 

船はホラ貝の大きな音と共に帆を広げ、上陸することなくドレスタニアへ帰っていった…