PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

【アイラヴ祭】三匹の亀さん

セレア「お、遅すぎじゃろ!!いま何時だと思ってるのじゃ!!」


紫電「ごめん…ひーちゃんとタオは悪くないんだ、俺がみんなの目覚ましぶっ壊したりしなければ…


タオナン「モーニングはどこ?私、朝は紅茶とパンケーキなんだけど…


ひとこ「ご、ごめんなさい……緊張して寝れなくて……」


セレア「えぇいもういいっ!モーニングとってる暇はないぞ!今日は社会科見学じゃ!お主たち、どうせ種族別のライブ特性なんて知らないじゃろ?アイドルをする上で知らねばならん。そこで、今日は『天帝7』の一人である精霊アイドル『桜木烈火』の野外ライブを観に行く。早く支度するんじゃ!」


タオナン「なんでよ、DVDで良いじゃない。今日外風強くて寒いわよ?あんたはアルファで感じないかも知れないけど…ふあぁ…」


ひとこ「マイペースだよねタオちゃん…w」


紫電「まぁでもタオの言う通りだぜ。こんな悪天候の日じゃ盛り上がらなくて参考にならないだろうし、正直日を改めた方がいいと思うけどな」


セレア「ばかもの!精霊のライブの真骨頂は、悪天候じゃ。まぁ行けばわかる」


ひとこ「わかりました!あのー、ところで、なぜセレアさんは私たち三人を呼んだんですか…?」


セレア「あぁ、知らされてなかったかのう。研究生は最初のうちは、「天帝7」の元でアイドル研究をする。お主たち三人は、妾が担当することになったから、よろしくのう」


ひとこ「えぇー!?セレアさんが!?


紫電マジ!?(ひーちゃんとタオと一緒だ!やったぁ~!)


タオナン「仕方ないわね、しっかりエスコートしてよ(テイチョスの代わりの新しい使用人アルファね)


セレア「喜ぶのはまだ早いぞ。なんでお主ら三人が集められたのかわかるか?」


ひとこ「えっ、えーっと…仲よしだからですか?」


紫電!(ひーちゃんに仲良しって言われた!)


セレア「それはのう、『今年のオーディション・ワースト3』に選ばれた劣等生だからじゃ」


紫電はぁー!?俺が劣等生!?


タオナン「えぇ!?冗談じゃないわ!審査員腐ってんじゃないの!?


ひとこ「そんな!!私もワーストなんですか!?


紫電「!?」


タオナン「!?」


紫電「(『も』って言った!ひーちゃんいま『も』って言った!)」


タオナン「(お、落ち着くのよタオナン!そんな筈ないわ!き、きっと間違いよ!家庭教師にパパって読んじゃうのと一緒だわ!多分!)」


セレア「あぁ、そうじゃ。紫電、お前は基礎能力はそれなりにあるが、アイドルとしては絶望的なほどアガりやすくて、服といい選曲といいセンスが乏しい。タオナンは歌唱力とモラルがなっとらん。そしてひとこ。お主は存在感が無さすぎて、名簿に手書きで書かれとる程じゃ。目立たなくてはならんアイドル界の中で、武器がないのは致命的じゃ」


ひとこ「そ、そうですか…えへへ、ちょっぴり、ショック…(あんなに頑張ったのに、それでも最低レベルだったなんて…これがアイドルの世界なんだ…)」


紫電「ま、まぁ俺、元々アイドル志望じゃないし…妥当っちゃ妥当か…(ひーちゃんに迷惑かけてる気がする…お願い…嫌いにならないでひーちゃん…)」


タオナン「改めて冷静に言われると…堪えるわね…(そういえばテイチョスも言ってたわ…みんな私の歌のレベルが高すぎて正しく認識できないんだって…私がこの腐ってしまった世の中を変えなきゃ…パパみたいに…)」


セレア「(…ひとこは実質中の上じゃが、逆境耐性やメンタルが弱い。妾が無理して組ませたんじゃが、やはり正解だったのう。本番のヤジやアンチファンは、もっと酷いぞ)」


セレア「だからこそ、じゃ。あぐらをかいてるウサギ達に負けないよう、人一倍勉強するんじゃ!落ち込んでる暇はない!ライブに行くぞ!」


ひとこ「はい!!よろしくお願いします!!


紫電俺も頑張るぜ!(頑張って汚名返上しなきゃ!)」


タオナン「いまにみてなさいよ!(新世界の神になるわ!!)」


セレア「よーし、その意気じゃ!!」

 


***

 

妖怪研究生「烈火さん~っ!無理です!風で音飛んじゃいます!!きゃあぁスカートもめくれ放題です!!チャンスタイムです烈火さん~!!」


鬼研究生「お、鬼の私でも、こんな日にライブなんて無茶だと思いますっ!!やだ、雨もふってきた!!」


烈火「あっははー!!だっらしないなぁ~!!おっ前達ぃ!!それでもアイドルなっのか~!!?


妖怪研究生「だってぇ~!!きゃあぁ胸も揺れ放題です!!烈火さんジャックポッドですぅ~!!」


鬼研究生「ひぃっ!やだ、雷鳴ってます烈火さん!あたし雷ダメな方の鬼なんです!!


烈火「しっかたないな~!!じゃーおっ前たちはそっちで見てんだよ~!精霊の真骨頂『野外ライブ』…。見っせてあげるから覚悟しなっさーい!!」

 


烈火「見てらっしゃいよセレア…。最っ高のアイドルはこの『バーニングストー』こと『桜木烈火』だってこと、今度っこそ教えてあげるよ!!あっははー!!

【アイラヴ祭】『天帝7』セレアの挨拶

紫電「社長の演説なげーなぁ…」


タオナン「セコいシステム作って業界シメたからってセレブきどってんじゃないわよ」


ひとこ「ちょ、ちょっと…それは聴こえたら流石にまずいよ…」


紫電「お、『天帝7(てんていセブン)』の現覇者、セレアの挨拶だってよ」


ひとこ「えー!?生セレア様!?わぁー!私うしろの方からしか観たことないんだぁ!」


タオナン「(セブン…?セレア…?何それ、庶民のマイナーな自動車メーカーか何か?)」

 

 

『(キャー!!セレア様ー!!)(こんな近くで見れるなんて素敵ー!!)』


セレア「あー、てすてす。……皆さん、まずは合格おめでとう。ここに集まったのは、プロが見つけた原石じゃ。胸をはるがよい」


『(本物だー!!)(美しいー!!)(こっち向いてー!!)』


セレア「…………」


『(あとでサインくださいー!!)(憧れてアイドルになりましたー!!)』


セレア「……黙れ」


『(…え?)(セレア様?)』


セレア「いつまでユーザーのつもりじゃ、そなた達。アイドルになったのじゃぞ!?」パァンッッ!!!


『(……!!)(ひぃっ…!)』


セレア「よいか、研究生。アイドルを目指すということは、ファンを味方につけるということに他ならん。なぜファンが一個人だけの味方になるかわかるか?……勝たせるためじゃ。すなわち、他のメンバーに勝つため、勝ち上がらせ、『天帝7』の座を奪う為じゃ…!勝つためには、周りをねじ伏せ、自らが上であると見せつけなくてはならん!!ドレプロ入りを果たした以上、見上げるのは辞めじゃ!!これからは敵同士!!妾の座を狙う敵となれ!以上!!」


『(ざわ…ざわ…)(セレア様が……敵……?)(激励じゃないの…?)(せっかく、近づけたと思ったのに……)』


セレア「(……今年も、ダメそうじゃのう……。)」

 


???「……待ちやがれ!」

 


セレア「……!」


紫電「待てっつってんだよ、ロボチビ!!故障でもしてんのか!?」


ひとこ「(紫電ちゃんーーー!!??!!??)


セレア「あぁ、ちょっとメンテナンス不足じゃったかの?もう一度言ってくれんか?研究生?」


紫電「研究生じゃねぇ!紫電だ!!紫電!!難しいことはよくわかんねーけど喧嘩売ってるってことだけはわかったぜ!売られたら買うぜ俺は!!好き勝手言いやがって、のじゃのじゃうるせぇんだロリババァ!!なめんなよてめー!!ばーかばーか!!偉そうなこと言ったってゲーセンの格ゲーならお前なんてハイスラでボコボコなんだよ!!ウチのシマじゃノーカンだから!!誰だよこいつを天帝とか言った奴出てこいよ!!そういうゲームじゃねーからアレ!!


セレア「な…なっ、なん…じゃとぉ…!?」


タオナン「私もピキーンってきたわ!ピッッキーンッ!!って!!セレアだかセレナだか日産だか知らないけどね、島国のちっこいメーカーで成功してたからって世界を敵に回すもんじゃないわ!!本場じゃATなんか通用しないんだから!こちとらそんなぬるい会社より断然GM !!なんといっても60~70年代を代表するマッスルカー、シボレーのマリブSSのパワーは最高にワルね!!天帝7?何それ?お高くとまってても私のエンジンの前では紙屑同然!「V8」「V8」!!車検なんて知らないわ!!最初から左ハンドルしか認めてないんだからね!!」


セレア「な、なんの話をしとるんじゃ一体!!」


ひとこ「(ひゃああぁぁぁっ……だ、駄目だよぅ二人ともーー!!)


セレア「(こやつ……アイドルの生命線とも言える顔に大きな傷……ゆるゆるの頭……。そうかこやつが、パフォーマンス部門と間違えてオーディションにうけたものの持ち前のずぶとさといざ誉められれば逆境の中でもノせられる騙されやすさで半ば実験的に最終候補に選ばれた、と噂される問題児の鬼か)」


セレア「(そして、こっちは名家中の名家、バックにつくは怖いもの知らずの黒服達…逆の意味で天井知らずの歌唱力を自信満々で審査員に披露し、「プロ確定でしょ!よろしくね!」と自己アピール、解散の合図も無視して即帰宅した強靭なメンタルをもつ人間、タオナン。どちらも尖っているが、なるほど……『大物』じゃな。じゃが…)」


セレア「お前達、わかっておるんじゃろうな?威勢が良いのは結構じゃが、大前提として実力世界。ここは、意外性だけで生き残れる業界じゃない。そして、メディアにおける『天帝7』への待遇は、お前達の居場所を無くすことくらい妾の一声で可能なのじゃぞ?」


紫電ぐぬぬ…(難しい単語ばっかで何言ってるのか良くわからない……)


タオナン「うむむ…(もしかしてこれ車の話じゃなかったのかもしれない……)

 


ひとこ「す、すとっぷ!すとっぷです!三人とも!!」


セレア「…む?(誰じゃ、こやつは)」


紫電「ひーちゃん!?(し、しまった、ひーちゃんに迷惑かけちまったか…?)」


タオナン「ひとこ!?(し、しまった、コアすぎて引いちゃった…?)」


ひとこ「すいません、セレアさん!二人ともたぶん、勘違いしてるだけなんです…けど、私、セレアさんも言い過ぎだと思います!楽屋裏でも、アイドルはアイドルだって、あなたの2014年『蘭☆蘭』12・1月特別合併号64ページ三段目の右から8行目『あなたにとってのアイドルの心とはなんですか』という編集部・坂津さんのインタビューで答えてました…!嘘つきはアイドル失格なんですよね!


セレア「ぬ、ぬぅ…!!(アルファの妾だからこそわかるこの正確さ…確かに、いつどこでもアイドルであることを忘れず、ファンに応えることじゃ。いやいや、嘘じゃないぞ☆嘘つきはアイドルじゃないからのう!と答えたが…に、人間の記憶力じゃない…何者じゃ一体こやつは…)」


ひとこ「君たちも、言い過ぎだよっ!アイドルは笑顔をあげるお仕事なんだから、笑顔笑顔!ね?仲直りしよ?」


紫電「あ、あぁ…ごめん、セレア。アツくなっちゃって……。悪かった……」


タオナン「私も、ごめんね…。別に国内車が嫌いな訳じゃないんだ…この国じゃ規制がきついから肩身せまくて…」


セレア「え、あ、そうじゃな…良くわからんが言い過ぎじゃったな……(まとまりおった……)」


ひとこ「うん、よしよし!みんな仲良くね!それと、セレアさん、お忙しい中の演説、とても身にしみました…!みんなを代表してお礼いたします。しばらくは研究生として、お近くで勉強させていただきたいと思います!これからよろしくお願いします!!」


『(ざわ…ざわ…)(誰、あの子…)(しめちゃったけどいいの…?)』


セレア「……えーっと、すまん、なぜお主が代表するのじゃ…?」


ひとこ「え、だって、一応私研究生代表に選ばれたので……」


セレア「…!!(そうかこやつ……!オーディションでオール平均値、愛想も悪くなく、そつなく歌も躍りもなんでもこなし、ビジュアルもそこそこ、受けた評価は『これはこれで綺麗だしなんかもう磨く必要ないんじゃないかな的な普通すぎる原石』……あまりにも目立たないが成績は普通に良かったというドノーマルアイドルの……)」


セレア「お主、名はなんという」


ひとこ「霜月ひとこ。です。これからよろしくお願いします!」


セレア「……ふふふ、覚えておく。皆の者!!明日からの練習、厳しく行うので覚悟すること!!そして改めて歓迎する!!ようこそドレプロへ!!お主達の成長を期待しておるぞ!!


『(ワー!!セレア様ー!!)(よろしくお願いしますー!!)(頑張りますー!!)』


紫電「ひーちゃんごめんな!挨拶かっこよかったぜ!」


タオナン「ごめーん!今度お菓子作ったげるから、許してっ!」


ひとこ「もぉー、心臓ばくばくだよぉ~…。まとまって良かったぁ~…」

 

 

セレア「紫電…タオナン…そして、ヒトコ、か。ふふふ、今年は荒れそうじゃのう……。本当に、楽しみにしておるぞ?ふっふっふ…」

【アイラヴ祭】三っつのたまご

紫電「受かっちゃった」


ひとこ「おめでとうー!!研究生からだけど、夢見たドレプロ入りだね!寮の部屋も一緒になれたらいいね!」


紫電「あ!ひーちゃんも受かったんだ!おめでとうー!これからも頑張ろーな!」


ひとこ「うん!よろしくね!」

 


『ちょっとちょっと!!寮なんて聞いてないわ!!イヤよ私、テイチョスも来てよ!!』

 


紫電「…な、なんだ?喧嘩か…?」

ひとこ「あ、あの子、私の後にオーディション受けた子だよ。受かったんだ!」

 


『納得いかないわ!寮なんてイヤ!』

 

『……よく聞きなさい、タオナン。君はまず私に申込用紙の注意事項を確認させ、私はそれを『君にもわかりやすい言葉』を用いて説明したと記憶メモリに残されている。君からの返事は、『わかったわ!とにかく受かればいいのね!』だ。私の推測が正しければあの時点で君は私の言葉に耳を傾けず、後先を考えずに練習を始めただろう?。そのおかげでもあり、審査員の目に止まることができた。そして、この寮生活はドレプロでの正式ドラフトメンバーに入る上では必須となる。これを耐えなくては君は100%アイドルにはなれない。』

 

『わからないわ!オーディションに受かったらアイドルなんじゃないの!?私はもうアイドルだもん!寮なんて行かない!行ーかーなーいー!!』

 


紫電「何話してるのかわからないけど、修羅場っていうのは伝わるな。あ、おい!」


ひとこ「君も受かったんだ!おめでとう!よかったぁ、同じくらいの年齢の子だったから、仲良くしたかったんだ!私、ひとこ。霜月ひとこって言います。よろしく!」


タオナン「えっ?あ、あぁ、あの鬼の子と話してた…えーっと…」


テイチョス「…私の推測が正しければ、彼女は98%の確率で君に好意的なコンタクトをとっている。この場合、挨拶を返すのが正しい対応だ」


ひとこ「…?」


タオナン「え、えぇ、よろしく…ひと、こ…?えっと…あ、私、タオナン。」


紫電「お、俺っ!え、えっと……あの……」


ひとこ「よろしくね、タオナンちゃん!この子はオーディションでお友だちになった紫電ちゃん!」


タオナン「え、えぇ、よろしくね紫電…」


紫電「あ、あぁ、よろしくな、タオナン!」


タオナン「えっと…?」


テイチョス「幸先がいいじゃないか。君も寮で友達に学ぶべきだ。世間をあまり知らないが、彼女をよろしくお願いしたい。」


ひとこ「はい!こちらこそ、よろしくお願いします!」


紫電「っと、ひーちゃん、そろそろドレプロ研究生歓迎演説が始まるぜ。たっ、タオナンも、その、一緒にいこーぜっ…!」


タオナン「あっ、うん……えっとー…て、テイチョス!」


テイチョス「あぁ、いってらっしゃい。楽しんでくるといい」


タオナン「……うん。わかった!ありがとうテイチョス!行ってきます!!」


ひとこ「いけないっ!結構ギリギリだよー!二人とも!早く早く!」


紫電「えっあ!俺の時計10分遅れてるんだった!!ごめーん!!」


タオナン「あ、ちょっと!待ちなさいよー!私道わかんないわ!!置いてかないでよっ!!待ってー!!」

 

 

 

テイチョス「……さて、ご主人様への報告はどうしたものか。60%以上の確率で解雇…少なくとも減給は確実だろう。オーディション合格率はかなり低かった筈なのだが……やれやれ、私としたことが、彼女を見くびっていた……」

【アイラヴ祭】オーディションの日

紫電「お、おいっ!……な、名前、何て言うんだ、お前…」

 

ひとこ「え、わ、私っ?あ、霜月ひとこです……(き、綺麗だけど怖そうな人だなぁ…)」

 

紫電「そ、そうか……よろしくな……お、俺その、あんまり自信なくてさ……みんな綺麗だな……」

 

ひとこ「あはは…そうだよね、あがっちゃうよね……私もさっきから落ち着かなくて……あ、えっと…」

 

紫電「あ、ご、ごめん!俺、紫電!鬼だから名字ないんだ」

 

ひとこ「よろしくね、紫電ちゃん!オーディション頑張ろうね…(思ってたよりいい人そうだぁ、良かった~!)」

 

紫電「あぁ、ステージにさえあがっちまえばどうにかなるよな…!集中すればいいだけだし…」

 

ひとこ「本当、この待ち時間が一番辛いよー…。紫電ちゃん鬼の子なのにアイドル志望なのって珍しいよね、今日は何歌うの?」

 

紫電「……えっ?何、歌……?」

 

ひとこ「うん、オーディションの歌。鬼の子ってパフォーマンス部門が殆どだから、アイドル部門をうけるのって珍しいなーって」

 

紫電「………………………………………えっ」

 

ひとこ「紫電ちゃん?ど、どうしたの…?」

 

紫電「待って、ねぇ待って待って、パフォーマンス部門じゃないのここ…えっ、えっ、えっ?だってだって、二次審査ってここだってこの紙に…」

 

ひとこ「え、えぇっ!?し、紫電ちゃん、一次審査から間違えちゃってるよっ…!これ、アイドル部門の申し込み書だよ~!」

 

紫電「えぇっ!ど、どどどどうしよう、ねぇ、どうすればいいの?やっちゃった、やっちゃったぁーっ!どうしようーっ!!」

 

ひとこ「まって、まって、落ち着いてっ!と、とにかく今日のりきるしかないよぅ…!申し込み書の歌える曲の欄に書いたのが今日歌う曲だよ!」

 

紫電「えっと、えっと、確か…」

 

 

『いとまきまきの歌』

 

 

紫電「………………………」

 

ひとこ「………………………」

 

紫電「………良かったぁ歌える!!助かったぁー!!

 

ひとこ「す、すごいポジティブだぁーっ!!!!

氷漬けの王様2

「あ、そこの方!お願いがあります!」


 旅人は声の方向に振り向いた。
 夕日が黄昏色に寂しく照らすドレスタニア国立公園、中央の噴水広場の中心に、大きな両手剣に手を添えたガーナ王の像。その前にちょこまかと動き回る青いマントの童顔の男性は、信じたくはないがこの国の現国王ショコラ。盲目の旅人にはその顔は写らなかったが、誰であるかはすぐに気づいた。


「何です?」


 この時間は、本来ならば公園の門を閉めている時間帯だが、ショコラは知りつつも些細な問題として気に止めない。それよりも、何やら四角い箱のようなものを持ちながら変にうろちょろしている。旅人はそれを若干鬱陶しく感じるも、手に持つ杖をカツカツと動かしてわざとらしく近づいた。


「お声かけしてすみません、写真をとっていただけないかと思いまして」


「……『写真』とは、なんのことです?」


「風景を絵に変える魔法の箱なんです!僕に向けてこのボタンを押すと、僕の絵が出てくるんですよ!」


「魔法の箱、ですか…!なんと素晴らしい…。それくらいならよろこんで…と言いたいところなんですけどねぇ…。あいにくと私、盲目でして。」


 ショコラはハッと驚きながら、非常に申し訳なさそうな顔をしたが、旅人にはその様子は伝わらない。沈黙を恐れたショコラが慌てて謝罪をする。


「それは…すみませんでした…。無礼なお声かけをお許しください」


 見えないことを承知の上で深く頭を下げる。旅人はあまり気にすることなく、王の前にいることに気づかないふりをしたまま訪ねた。


「王の像、夕日をバックに観るとさぞや美しいんでしょうねぇ。かの王は猛火の如く戦場を駆けたそうじゃないですか」


「そうなんですよ!ガーナ王の像はこの時間が最も輝いてみえます。国民の皆様にもそれを伝えたいのです」


「ご自分で絵にすればいいじゃないですか、その魔法の箱で。一緒に描かれたいのでしたら、誰かをお連れすれば良いでしょう」


「はっ!その手がありましたか!気がつきませんでした!早速明日にでもメリッサを呼びましょう!」


 喜びの舞を踊るショコラ。その姿は目に写らなくても、鬱陶しいということだけは変わらなかった。王のくせにこの頭の悪さと、要領の悪さ…堂々と不法侵入者を前にしてこの緩さ。旅人は少しだけ退屈しのぎのつもりで、不適な笑みを作った。


「それより、現国王様の像はお作りにならないのです?ショコラ陛下」


 王として呼ばれたことを不思議に思うこともなく、ごく自然に答える。


「僕の像ですか?それは、確かにあったら嬉しいですが…。生憎、そのようなものに割くお金は我が国にはありませんから…」


 寂しそうな声と、少しのため息をもらすショコラに、旅人のイタズラ心に徐々に火がつき始めていく。少々アホらしいことでもこの王ならば騙せる、と、半ば棒倒しの遊びのような気分になっていった。まずは大幅に、大胆に砂を掘っていく。


「良い方法がありますよ。お金も使わず、時間も浪費しない素晴らしい方法が。」


「そんな方法があるんですか!?」


 ショコラは目を輝かせ、食いついた。ここからは慎重に砂を少しずつ払っていく作業だ。旅人はショコラの手を引くと、少しずつ歩いて噴水の前辺りに誘導した。


***


「もっとだ!日光から逃げるな!!熱く燃えて、我が国で太陽を燃やし尽くすんだ!!負けるな負けるな!!重りを増やせ!!汗を撒き散らせろ!!こんなんじゃあ足りんぞ!!私に続けええぇぇ!!うおおおぉぉぉ!!」


 ドレスタニア城門前、門番の二人が胸に手を当てておじぎした。中庭から怨嗟の呻き声と聞くに耐えない暑苦しい雄叫びが聴こえてくる。火を操るナツメですらも、この中に入るのは遠慮しておきたい空気だった。左の門番が前に出て問いかける。


「ご苦労さまであります!!我が国は現在、朝の軍事教練の最中であり、ご用がありましたら裏庭からの入城を推奨致します!!急ぎの用件でありますれば、私共にお申し付けくださいませ!!」


「入れないの?」


「はっ!!現在、ある諸事情により兵士の一斉強化期間中であります!!本日は体力、精神力の強化の為、臨時教官としてエルギス講師をお招きしており、中庭の気温は炎天下のこの場所より更に20度は高く、おまけに極めて不快な異臭を放っております!!特に斬り込み隊長、アーモンド軍曹は一際公害レベルが高く、エリーゼ外交官殿のご命令により間違っても一般市民をお通ししてはならないと仰せつかっております!!」


 より一層強く中庭から兵士達の大声が聞こえ、門の隙間から現れる湯気と蜃気楼を見てナツメはやや顔を逸らした。猛暑には慣れていたがドレスタニアの石畳はチュリグの地より固く、足に疲れが出てきている。このまま食堂に向かうよりも、城の道すがら見つけたカフェに立ち寄ってココアが飲みたかったので、用件だけ兵士に訪ねる。


「急ぎじゃないけど。…エ…外交官さんいる?」


エリーゼ外交官殿は現在ガーナ元国王陛下と共に見回りをしております!!先程伝令がございましたところ、本日の帰還予定時刻は未定とのこと!!お手数お掛け致しますが、お尋ねの場合はドレスタニア国立公園へ向かうと良いでしょう!!」


「わかった。ありがと。」


「痛み入ります!!どうぞよい一日を!!」


 深々と胸に手を当ててお辞儀をする門番。ナツメは機械的に振り向くと、トテトテと音をたてながら城を後にした。

紫電の両親と女海賊煙慈

煙慈「鳴雷め、アタシを舐めたらどうなるか忘れたわけじゃあないだろうね…。」

 

紫電「てめー!なにすんだよー!はなせー!!」

 

煙慈「大人しくしてりゃなんもしやしないよ。いい子だからじっとしてておくれよ」

 

紫電「な、なめんなよ!俺は海賊の子だぞ!!おまえなんてぶっとばしてやる!はなせー!!」

 

煙慈「ちょっとちょっと、危ないったらさ、やめとくれ…!ここの岩は、転んだら痛いよ…!」

 

紫電「はーなーせー!!あっ!!」ズルッッ!ドゴォ!!

 

煙慈「紫電ーー!!!!!!!!わぁー!!!!!!!!血が、血がーー!!!!!!!!!」

 

 

***

 

 

鳴雷「拐ったのはまた別の話としてだ、わしの馬鹿娘が派手にこけよったのはヌシのせいばかりではないじゃろ…」

 

煙慈「すまないッ…!アタシはなんてことをッッ!!す"ま"な"い"!!」(号泣)

 

鳴雷「せめて服着て服…頼むから下だけでも…」

 

 

 ***

 


紫電「乗せてくれるってほんとか!」

 

煙慈「あぁ!アタシの船は鳴雷のよりデカイんだ!引退した馬鹿の代わりに世界をみせてやるよ!」

 

紫電「やったぁ!海だ!」

 

煙慈「(…海を教えるのがアタシでいいのかい、鳴雷…)」

 

 

 ***

 


煙慈「なんだい、こんなとこでコソコソしてさ」

 

紫電「う、うわ!!見るんじゃねぇよ!!」

 

煙慈「へぇ、いいドレスじゃないか。どこで見っけたんだい」

 

紫電「……遺品みたいな宝を、この前停泊した村のだったから返したら、フィアンセだって人がくれた。こ、こんなもん俺はいらねーけどさ!」

 

煙慈「ははーん、あんたモノの価値ってもんがわかんないんだねぇ。これは二つとない代物さ。よくご覧、上等なシルクと中々お目にかかることのないアルビダの純血の染色だよ。呪詛を込めて染め上げるから、無理矢理には作れないんだ。ざっと見積もっても豪邸が建つね」

 

紫電「えぇ!?嘘だろ!?」

 

煙慈「アタシの審美眼を舐めんじゃないよ!!金銀財宝、富も名誉もごちそうも、万物はみな持つべき人の元へと受け継がれるのさ。そのドレスはあんたを選んだってことだよ。大事にしな」

 

紫電「あ、あぁ…でも…」

 

煙慈「…着てみたいんだろ?こっちおいで。着付けてやるよ」

 

紫電「そ、そんなんじゃ…!」

 

煙慈「女同士なんだ、隠さなくていいさ。アタシもね、昔、こっそり可愛い服や化粧をしたんだよ。いつか振り向かせてやりたい相手もいたし」

 

紫電「え、煙慈も、こ、恋とかしたのか……?」

 

煙慈「何言ってんだい、今だってしてるさ。海賊が乙女を夢見ちゃいけないなんて決まりはないだろ?」

 

紫電「だ、誰!?教えて!知りたい!」

 

煙慈「だーめ。そんなの、恥ずかしいじゃないか。いつか紫電が良い男を捕まえたら教えてあげるよ」

 

紫電「ず、ずるい!なんだよそれー!」

 

煙慈「(……あたしの子じゃないのに。なんでこんな気持ちになる……。紫翠……怒ってるだろうな……)」

 

 

 ***

 


鳴雷「紫電、お前に知らせんといかんことがある。紫翠のことじゃ」

 

紫電「母ちゃんの…?なんだよ……」

 

鳴雷「事故で死んだと伝えていたが、紫翠はあの日、煙慈の船に乗っちょった。船に乗ると泣き止むお前をあやそうとしてな」

 

紫電「な、なんだと!?」

 

鳴雷「あの日の嵐は、異常気候じゃった。長年航海していたワシも、ワシより優れた探検家だった煙慈すらも、あの嵐は読めなんだ。」

 

紫電「……」

 

鳴雷「船は沈み、煙慈と紫翠はお前を乗せたボロ板にしがみついて嵐がすぎるのを待った。じゃが、紫翠はお前を産んだばかりで衰弱していたんじゃ。嵐が止み、海の真ん中に残された煙慈は、動かなくなった紫翠を抱えたまま板を押して、五日かけて戻ってきた」

 

紫電「……母ちゃんは俺のせいで……」

 

鳴雷「同じことを、あれ以来煙慈もずっと思っちょる。ワシは、あやつを許してる。紫翠も、煙慈とは親友じゃ。許してると思う。後はお前じゃ。」

 

紫電「……そんなこと。煙慈は、俺の……俺のもう一人の、大好きな母さんだ……。」

 

鳴雷「……そうじゃな。安心した。何故この話をしたか、わかるな?」

 

紫電「……あぁ。」

 

鳴雷「海賊が泣くな。ワシら鬼は、名に恥じない生き方を志す。ワシは轟音を鳴らし空を裂く、海を守る雷。煙慈は海を包む大きな雲となり、慈愛を授ける空の母となった。そして紫翠は、宝石の如く澄んだ綺麗な心でもって、人を繋げるゆかりをお前に託した。お前は、雷の元を離れて雲を渡り、自由に生きて縁を結べ。」

 

紫電「……」

 

鳴雷「(泣き顔は、紫翠そっくりじゃなぁ…。)」

氷漬けの王様1

「何やったらこんなことになるんだ……」

 

ドレスタニアの国立公園にできる人だかり、騒ぎを聞き駆けつけたガーナが目にしたのは、ガーナの像の真横にいい感じの決めポーズで凍結したショコラだった。あまりにも完璧すぎて新しい国王の像かと思っていた国民は記念写真まで撮っている。そのクオリティの高さに、付き人のメリッサどころか外交官のエリーゼまでもが感心したほどのスタチューっぷりだった為、発見が十日も遅れてしまったのである。笑顔のままの凍結は、多分能力者だとしても難しいだろう。


「なんで溶けないのですか……もうそろそろ夏の気候ですよ……」


エリーゼは珍しくテンパっている。当たり前だが、こんな状況で十日も放置とあっては、普通に考えて死ぬからである。


「間違いない……。この馬鹿はなぜか知らんが自分で凍っている……。セイカの氷は並大抵の事では溶けんぞ……」


ガーナがナイフでコツコツ数回叩くとすぐに霜がつき、5秒とたたない間にキンキンに冷えた。金属でなくても1分で凍りつく冷たさだ。たまたま国民が自主的に柵を作り近づけないようにしていたが、ショコラの像の周囲はとても涼しく、何も知らない者たちは今も笑顔でレジャーシートを広げてピクニックを楽しんでいる。


「迅速に溶かさなくてはいかん……。熔鉱炉レベルの火力が求められるが……」


「あのご老人に任せてみては?」


エリーゼが提案をすると、国立図書館の窓から満面の笑みの老人がヌッと顔を覗かせた。


「いや、アイツはぼったくるから駄目だな」


ガーナが返答すると、窓の老人は寂しそうな顔をしながらスーっと消えた。


「お前のジュエルはどうだ」


「割りと高いので……」


駄目か、と首を降る。念のため再度説明するが、今は一国の王の命に関わる危機的状況である。


「レーヴァテインはどうです?」


「大陸ごと1000日くらい燃え続けるが構わんか?」


「駄目です」


「誰かいないのか……超火力を制御できる程の火の使い手は……」


頭を抱えるガーナ。火の加護をもった精霊だとしても、セイカの凍結を溶かすレベルを長時間維持し続けるとなるとそれはもう位の高い信仰が求められる上、扱える程度では自分すらも巻き込みかねない。明確に『専門家』でなくてはこの状況を打破することは敵わないだろう。
誰か居ないかと二人はショコラの前で立ち往生していた。


***


チュリグとドレスタニアを繋ぐ旅客船が、汽笛を鳴らしながら港についた。ぞろぞろと出てきたお客の中に、ゴシックな黒と赤の服を着て、綺麗な金色の髪をふわふわと揺らす、お人形のような女の子が一人。チュリグ国王ハサマの従者、ナツメである。
ナツメは過去に何度か目にしたドレスタニアの港の街並みを眺め、ほんの少しだけ心がおどった。しかし、すぐに王からの指名を思いだし、真剣な面持ちで封のされている手紙を取り出した。


「あっちについてから読むといいよ」


ハサマ王はそう言ってこの命令書を包んだ。忠実なしもべのナツメは意味深なハサマの指示にも決して逆らわず、言葉通りきっちりと両足で国の土を踏んでから、即座に手紙を開封した。


『頑張ってるから休暇あげる。おみやげよろしくね~ ※追伸 夜中は外出歩かない方がいいよ ハサマ』


1分程硬直するナツメ。封の中には、わざわざドレスタニアドル札に立て替えた結構な額のお金と、明日の夕方の乗船券が一枚。念のための街の地図と、赤線で引かれた王宮までの道のり。どこから仕入れたのか、王宮食堂の献立表も同封されていた。


「………………。」


考えても始まらないと悟ったのか、非常にシンプルな革財布を取りだして札を移すと、とりあえず地図をたよりにドレスタニア城へ友人を訪ねることにした。
少しだけ不機嫌な顔を作ったが、内心は安堵と期待に胸を膨らませ、大きめのブーツをコツコツと心地よく鳴らしながら歩き出した。