PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

【アイラヴ祭】ここで会ったが百年目

紫電「烈火さんのところの研究生ってどんな奴かな?」


タオナン「烈火が直々に選んだ二人なんでしょ?じゃあ、歌の才能が秀でてる子達なんじゃない?」


ひとこ「セレアさんを除いて、天帝の序列順でどの子を自分の元に呼ぶか決められるらしいから、すごく優秀だと思うよ……!研究期間は過ぎてるけど弟子入りして残ってるくらいだし、きっと熱心な子たちなんじゃないかな」


紫電「だと良いけどさ……なんとなく、烈火さんの弟子ってだけで凄いクセが強そうな気もするんだよな……」


タオナン「ま、アタシの足ひっぱらなきゃなんだっていいわ」


ひとこ「な、仲良くしようね、二人とも……」


烈火「やーやー!待たせたっかにゃ~三人ともぅ!」


ひとこ「烈火さん!お久しぶりです!」


紫電「こっちも今来たとこだぜ!」


タオナン「歌詞作り以来ね。今日はよろしく!」


烈火「うんうん、元気があってよろしい!や~、若いって素敵だねぇ~。んじゃ、早速うちの子たちを……」


しずく「……師匠!『イッコ』ってのはどいつですぅ!?」


烈火「にゃっ!?」


ひとこ「え!?え、えっと……私のことかと……」


しずく「!!やい『イッコ』!!ここであったが百年目!!師匠に気に入られてるからって調子のるなですぅ!!


ひとこ「えぇぇっ!?」


烈火「こ、こらこら!!イカちゃんいきなりなんてこと言うにゃ!!大人しくしてるって言ったじゃん!!」


しずく「いーや!!言わせてもらうですぅ!!元々私たちの合宿参加は正式に認められていたもの!!そう、確定リーチ倍付け!!それをこの三人が邪魔してきたせいで目無しのチョンボに早変わり!!あろうことか『子守り』の罰符付きだなんて納得いく筈ないんですぅ!!」


夢來「そ、そうです烈火さん……。やだ、私たち悪くない……。しずくちゃんだけでも厄介なのに子守りなんて……。私、コミュ力自信ない方の鬼なんです……」


タオナン「な、なんですって!?罰符!?冗談じゃないわ!!」


紫電「な、なんかまた良くわかんねぇけど、喧嘩売ってんのか!?」


ひとこ「ちょ、ちょっと二人とも落ち着いて……!あ、挨拶くらいはちゃんとしよ!?」


しずく「あー!!あれですぅ!!そのイイコちゃんぶりっ子で師匠のこともたぶらかしたんですよ夢來ちゃんさん!!」


夢來「え、やだ、普通の良い子っぽい……しずくちゃんカオス……」


ひとこ「え、えぇ……!?あ、あの……私、その、あなたに何かしましたか……?す、すみません……全然心当たりなくて……」


しずく「私は騙されないですよぉ!見え見えの罠に振り込む雀士がいますか!!捨て牌みたらネタは開けてるんですぅ!『イッパツ』は駄目!!『イッパツ』はっ!!前半リーチは慎重に……うっ!?」ガシッ!


烈火「……イカちゃん。おねーさん、怒るよー?」


しずく「ひ……は……はひ……」


夢來「や、やだっ、ついに怒らせた……しずくちゃんグッバイ……」


紫電「(な、なんなんだ……?いきなり……)」


ひとこ「……あ、あのぅ……」


烈火「あー、ごめんね。この子、よく練習サボるんだけど、この前ちょっとやる気出させるためにひとこを私の後継者に誘ったこと話してから君に対抗心燃やしちゃったみたいでさ……。良く言っとくから、許してぴょん」


ひとこ「わ、私は別に……で、でも、お互いのこと良く知らずに仲違いしちゃうのは、ちょっと嫌かなって……」


しずく「……でも、私のリーチ……親っパネしたんですぅ……」


夢來「しずくちゃん、あの、言いにくいんだけど……元々あの合宿、私達のレベルに見合ってないと思うの……やだ、不釣り合い……」


烈火「その通り。あたしだって本当なら止めてる合宿なんだから文句言わないの、イカちゃん」


しずく「でもぉ……」


タオナン「(……なるほどね。ちょっと紫電、ひとこ、ついでにあんたも耳を貸しなさい)」


ひとこ「(な、何……?どうしたの……?)」


紫電「(なんだなんだ……?)」


夢來「(やだ、私もですか……?)」


タオナン「(いい?あのしずくって子を……ごにょごにょ……)」


ひとこ「(!!う、うん、やってみる!)」


夢來「(やだ、面白そう……!)」


紫電「(そういうことか!わかった!)」


ひとこ「……凄いです!」


しずく「……へ?」


ひとこ「しずくちゃん、凄いです!あのみんな怖がる合宿に、本当に真正面から挑もうとされていたんですね!!」


紫電「そっか、考えてみればすげー根性あるよな。俺達はユニットだからって気楽に考えてたけど、しずくは本気だったんだな!アイドルとしての格が違うぜ!」


タオナン「流石は烈火の弟子よね。アタシも人数が増えてラッキーくらいの気持ちだったけど、ホンモノのアイドルを志す子ならアタシたち幸運だわ」


しずく「……」


夢來「やだ、しずくちゃん、みんなから頼りにされてる……流石しずくちゃん素敵……」


しずく「……そ、そーですか?ま、まぁ、本当はチェンジからのソロでコールのつもりでしたけど、そこまで言うなら今回だけはレイズを認めてやっても良いですぅ……」


ひとこ「わぁ~!良かったぁ!!色々教えてくださいね、『しずく先輩』!」


紫電「頼りになるなぁ~!俺、改めて自信湧いてきたぜ!よろしくな、『しずく先輩』!」


夢來「やだ、しずくちゃん風格出てる……流石しずくちゃんカッコいい……」


しずく「ふ……ふふー!!しょうがないですぅ!合宿はしずくに任せるですよぉ!!……ちょっと着替えてくるですから、待ってるですぅ!!

 

 


ひとこ「……タオちゃんの言った通りになったね」


紫電「面白い子だったな!」


夢來「やだ、こんなにチョロかったなんて……」


タオナン「扱いやすい子で良かったわね。実際要領良さそうだし、合宿ではいっぱい頼りにさせてもらうわ」


烈火「うっわー……こんなに早くあの子の弱点に気づくなんてね……流石セレアっちゃんチーム……恐ろしいにゃ……」


ひとこ「『あの子はとにかく褒めれば攻略できるわ』って言ってたけど、タオちゃんはどうしてわかったの?」


紫電「弱点ってのも知りたいぜ」


タオナン「簡単なことよ。あの子、凄い背低いでしょ?」


夢來「やだ、それ禁句……」


タオナン「それにすぐアツくなるし、やきもちやき。あと、色々運が凄くいいから恐れ知らずで調子にのる癖があるわ。つまり褒められたいわけ」


紫電「気にしぃなんだな……」


ひとこ「ちょっと親近感湧くかも……」


タオナン「あの子多分『賭け事凄く弱い』わね」


夢來「やだ、全部バレてる……」


烈火「運は良いんだけどねぇ……『運だけ』は……」

【アイラヴ祭】本当の天才

まお「えぇ~?まおまお、合宿なんてつまんなーい。どーせやることも同じなんでしょぉ?」


岸辺P「いやいや、そんなことないよまおちゃん。この合宿はドレプロが主催している、アイドルの登竜門。あらゆるアイドル達が本格的なアイドルを目指すためにここを受ける」


まお「ドレプロ……?なにそれー、まおまお知らなぁい」


岸辺P「あらら、ドレプロも知らないか……」


まお「だって興味ないんだもーん。プロダクションなんて、所詮アイドルを引き立てるだけの便利屋さんみたいなものだし~」


岸辺P「あながち間違いではないね。それじゃあ、こう言い直そうか。これはあの『天帝』が主催の合同合宿だよ」


まお「え……?てんてい?あの、ちせさんのいる天帝!?」


岸辺P「うん、ドレプロは君の尊敬する天帝セブン、『楠千都世』が所属している業界最大手プロダクションだよ。その会社が、毎年開いているレベルの高い合宿がこの、『合同強化合宿』なんだ。もちろん、千都世も過去に何度もこの合宿に参加してるよ」


まお「絶対応募して!!まおまお、やりたぁい!!」


岸辺P「ははは、うん、任せて。良かった、君なら必ず参加してくれると思ってた」


まお「参加はするけど、でもまおまお、もう十分有名人だし、効果ないと思う~」


岸辺P「……そう、君は既にドレプロをしのぐ程の注目アイドル。成長曲線も計算を上回って伸び続けてる天才アイドルだよ。だから、この合宿の目的は宣戦布告さ」


まお「せんせんふこくー?」


岸辺P「文字通りだよ。いつまでもドレプロがアイドル業界のヒエラルキーで先端に居続けるのは、アイドル界の衰退に繋がる。この世界に君は大きな亀裂を開けに行くんだ」


まお「へー。まおまお興味なぁい」


岸辺P「……まぁいい。そういうのを考える『便利屋』が僕のお仕事だからね。君はそのままでいい」


まお「……ねープロデューサー?このカリキュラムの『トップアイドルからの指導』ってあるけど、それってちせさんも観に来るのかな~?」


岸辺P「確かに天帝の誰かだとは思うけど、手の空いてる人になると思うよ。それは当日まで僕らも知らないんだ」


まお「はー、つっかえないしこの不便利屋」


岸辺P「……例えばの話だけど、もしも今回の講師が楠千都世だったとしたら、君はどうしたい?」


まお「え~?そんなの決まってるんだけどぉ。まおまおのこと、知ってもらうの」


岸辺P「……それは、なぜ?」


まお「当然、教えてあげるため~!」

 

 


まお「まおまおの方が、ちせさんよりも『超天才』なんだってね……」

【アイラヴ祭】合宿参加条件

常務「……という訳で、身の程知らずのお前達には天帝の付き人という形で参加してもらう運びとなった。質問はあるか?」


タオナン「あるわ!!大ありよ!!あたし達が合宿に来たのは自分の為なのよ!!なんで他人の、しかもお子ちゃまのお守りなんて任されなきゃならないわけ!?」


紫電「普通に断られるのは覚悟してたけどまさか子供と一緒に参加させられることになるなんてなぁ……。納得しろって方が無理じゃないか?いくら常務さんでも……」


ひとこ「天帝セブン序列四位、白玉きくりちゃん……。この子はまだジュニアアイドルだし特別枠だと思ってたんだけど、それこそこんなレベルの高そうな合宿に来て大丈夫なのかな…」


常務「まぁ、信じられない方が正常だ。何しろこの私でさえ、あの子の天帝入りには肝を冷やしたものだからな。……だが、安心しろ。きくりは間違いなく天帝としての実力を持ち合わせたわが社自慢のアイドルだ。お前達も、あの子と一緒に過ごせばすぐにわかるさ」


紫電「序列四位ってことは、あの天才のちとせさんより評価されてるってことなのか?にわかに信じがたいぜ」


タオナン「ちょっと勝手に話進めないでよ!あたし、子供の扱いあんまり得意じゃないし……どう扱えっていうのよ!」


紫電「俺は結構子供の扱いには自信あるぜ。親戚いっぱいいるからなぁ。ひーちゃんは?」


ひとこ「子供は大好きだよ!近所の小学校の学童会にはたまに遊びに行ってたし!でも体力ないから、元気な子と遊ぶとヘトヘトになっちゃうよ」


タオナン「そもそもどうやったら子供があんなバケモノアイドル達に勝てるっていうのよ。これまで意外な展開を散々見てきたけど、今回は話だけじゃ納得いかないわ。それなのに子供でも天帝だから下っ端はお守り役だなんて扱い、まっぴらよ!」


常務「一つ口を挟むが、お前達は勘違いしている。天帝の序列はファンの投票によるものだ。我がドレプロはお客が楽しんでもらうために皆最大の努力をしている。順位という形は勝ち負けではなく『現在の需要の差』がものをいうんだ。本来、ひじきのような対バン形式でなければ直接相手を上回ろうとすること自体間違っている」


紫電「……?えーっと、天帝の順位ってのは勝ち負けじゃないってことか?んー……ずっと競い合ってるのを見てきたからよくわかんないぜ。それなら天帝ってのはそもそも必要ないんじゃないのか?」


タオナン「あるわよ。悔しいけど、私達新人アイドルはみんな天帝の姿を最終的に意識してきた。お陰で自分の足りないところとか、長所だって見つかったじゃない。目標となる存在って意味で、分かりやすいシンボルは必要よ。そもそもアイドルって言葉の意味は『偶像』で、それはみんなの憧れの象徴よ。だからこそトップアイドルは決めるべきなのよ」


常務「その通りだ。くく、お前は本当に面白い子だな。一般常識は乏しいが一般人が理解するには難しい物事に対して鋭い考察力がある。説明が早くてとても助かる」


タオナン「ちょっと、それ褒めてるのか貶してるのかどっちよ!」


常務「もちろん褒めているとも。お前の説明通り、アイドルとはつまり大衆にとっての理想の象徴だ。憧れの素晴らしい人、好きになりたい人、そういった理想をもってお客はアイドルを心から応援している。だが、理想は人によって違う。お前たちが持つ『理想のアイドル像』も、今の天帝とは違うものである筈だ。どんなに憧れが近しくとも、決してその理想は誰かと同じにはならないんだよ。もちろん、ファンからしてもそうだ」


ひとこ「一人一人が違う理想を持つ……あ、そっか……だから順位と実力は関係ないんだ……」


紫電「うー……ごめん、俺には何が何だかさっぱりわかんないぜ……みんなより凄いから一位とかになれるんじゃないのか?」


タオナン「競い合いをしたってファンの心は変わらないってこと。つまり『あんたはうどん』『私はたこ焼き』が好きで、うどんより美味しいたこ焼きを意識して作ったってあんたはうどんよりたこ焼きが好きになったりしないでしょ」


紫電「あ!!そういうことか!!つまり、順位ってのはファンの奪い合いじゃないんだな!!」


ひとこ「タオちゃんわかりやすい!!すごい!!」


タオナン「競争しているのは間違いないけど、天帝の誰かより優れているとか、劣っているとか、そういう話じゃないってことね。烈火を超えたいからって歌唱力をつければいいってわけじゃない。烈火は歌でアイドルの頂点に上り詰めて、沢山のファンがついた。そのファンにとっては、他のどのアイドルと比べても烈火が一番の理想像で、順位は『そう思ってくれるファンの数』で決まってるだけ。だから足りない実力を磨くだけじゃ順位は変わらないって、そういう話よ」


常務「うどんとたこ焼きは斬新な例えだがまさにその通りだ。要するにアイドルの序列というのは、『いかに自分を理想としてくれるファンを増やせるか』という話になる。他のアイドルに対抗するのではなく、沢山のお客をどれだけ魅了してきたかが全てだ。ファンの心は、そうそう誰かに浮気したりなどしないものだからな。ここまで聞けばきくりの順位が何を意味しているかはわかるだろう?」


ひとこ「誰かを意識したわけじゃなく、きくりちゃんはみんなに好かれるアイドルなんだってことですね。すごいなぁ、どんな子なんだろう……はやく会ってみたいです!」


紫電「でも、だからってこの皆が本気になる合宿に子守り役なんてつけて参加するのはなんつーか、ちょっとズルっ子なんじゃないのか」


タオナン「そうよ!子供だからって世話係つけて楽するのは、他のアイドルに迷惑じゃない!参加するなら甘えてないで一人で参加しなさいよ!」


ひとこ「ユニット参加する自分を完全に棚に上げてる……!」


常務「あぁ、お前の言う通り子供であっても参加する以上は一人のアイドルだ。だが、別にきくりを心配して子守りをつけている訳じゃない。むしろ私が心配なのは、『他社のアイドル』の方だ。天帝がこの合宿に講師以外で参加するのは稀な事例だからな。特に、きくりは加減を知らない」


ひとこ「……え?」


常務「お前たちは『ストッパー』なんだ。我々が天帝を合宿に参加させない理由は余裕を見せている訳ではなく、みなあまりにも卓越した『鬼才』達だからだよ。大事なアイドル達の心に傷をつける訳にはいかん。そして、当然ながらきくりは『天帝一のとある才能』を持っている」


紫電「て、天帝一の才能……!?こんなまだ小さな子がか……!?い、一体どんな才能なんだよ……」


常務「会えばわかるさ。それにな、この合宿だって、本当の意味で『アイドル界の発展の為』に行っているものだ。会社同士のいがみ合いは世の常だが、アイドルにそんな下らんことを背負わせる気は一切無い。アイドルはアイドル同士、プロダクションなど気にせずお互い高めあってもらいたいと願っているんだよ。だから今回のお前たちはオマケでついていく訳ではなく、これはドレプロからの『重大な依頼』だ。当然報酬は出るぞ」


ひとこ「え!?お金払うんじゃなくて、貰えるんですか!?」


紫電「やったー!!いくらくれるんだ!?トレステ4買えるかな!?」


タオナン「まぁ大手が金で黙らせるのは基本よね。でも甘いわよ!お父様だったら会社ごと買収くらいは当然……」


常務「はぁ……お前たちなぁ……。いや、モチベーションが上がるならそれでいい。当日は体力も使うだろう、今からよく休んでおくといい。しずくと夢來は同期のアイドルだ。喧嘩しないようにな、紫電、タオナン」


タオナン「ちょ、そんな名指しで言わなくてもしないわよ!!当たり前でしょ!!(向こうがおとなしくしてればね)」


紫電「当然だ!同じアイドルなんだからな!(売られたら買うけど)」


ひとこ「だ、大丈夫ですよ、私たちも仲良しですし……きっと仲良しになれますよ……!(多分……)」


常務「そ、そうか……(不安だ……)」

【アイラヴ祭】花ちゃん、けっぱる!

三ノ宮P「花ちゃん、合宿参加リストが配られましたよ」


花子「あ、ありがとうござんすー、プロデューサーさん」


三ノ宮P「『ござんすー』ではありません、『ございます』です。もう一度、言い直してください」


花子「ひゃあ~!またやっただー!まことすまなか……」


三ノ宮P「『ごめんなさい』!


花子「ひえぇごめんなさい!!


三ノ宮P「良いですか、あなたは今や知る人ぞ知るCMガール!あんまり歌は売れてないけれど割りと巷でブームになるくらいのれっきとしたアイドルです!せっかく有名になってきたんですから、標準語くらい覚えてください」


花子「わかってますけんどもあのぅ……反射的に出よるもんでどげんこつしたもんかと……」


三ノ宮P「はぁ……。まぁ良いです。でもね花ちゃん、人は誰しも初めからはできません。大事なのは『意志』ですよ。あなたはこの一年間で随分変わりました。ですから、方言もきっとクリアできます。ですので諦めないで」


花子「は、はい、頑張りん…………ます!!」


三ノ宮P「そう!その意気です!さて、本題の合宿参加者リストですが、とりあえず目を通してみてください」


花子「はいな!……じゃない、はい!えっと……あんれ~!『アキラ』ちゃんに『まおまお』ちゃん~!?ほぇ~、でら豪華……」


三ノ宮P「方言駄々もれ……まぁいいわ。花ちゃん、何も恥ずかしがることはないんですよ。あなたもこのリストに並べたって充分互角のアイドルなんですから」


花子「い、いやぁ、とんでもないことです……私なんかとても……」


三ノ宮P「謙遜しないの!前にも言いましたよ、謙遜はあなたを応援してくれるファンにとっては嫌みにもなるんです。それだけのファンがあなたにも居ることを忘れないで」


花子「そ、そうでしょうかぁ……まだ実感わきませんです……」


三ノ宮P「まぁ、その自信をつけてもらうためにこの合宿に行くのですから、肩肘張らないこと。それに、問題は彼女たちじゃないわ。下を見てごらんなさい」


花子「下……?えー、美水しずく……霜月ひとこ……えっと~、すまなかぁ、勉強不足で誰だか……」


三ノ宮P「ちゃうわ!!そこやない!!もーちょい下みてみぃ下ァ!!


花子「はうぅ!!方言出ただぁ!!え、えと……し、白玉きく……へぅ!!??ききききくりってその、えひぃ!?


三ノ宮P「せや……その『きくり』や……。ドレプロの『きくり』ゆぅたらあの子以外おらへん……。あの地獄の合宿にしては珍しくあまりに無名過ぎる子達ばかりやないのって思っとったらドエラいモンスター出してきよったわほんま……。えぇか花ちゃん、こないな話題性ごっつ溢れる合宿、もう二度とあらへんよ!!この際結果はどーでもえぇ!とにかく顔覚えられるよう、めっちゃ自分出してき!!えぇな!!」


花子「もんげぇ……」


三ノ宮P「……花ちゃん、ウチな、自分やっぱり持つもの持っとると思うねん。あの日、アイドルのオーディションで失敗して泣いとった花ちゃんの姿を生放送中のウチの番組が写してしもて、ノリでそのままインタビューしたら若者の間で話題になり、そのままアイドルデビューした大逆転劇は忘れへんよ。覚えとき、花ちゃん!アイドルはな、『運』なんや!!」


花子「う、運だか…!?」


三ノ宮P「せや!……こほん。昔から言うでしょう、運も実力のうち、と。ほら、もっと自信を持ってください」


花子「運……あの……でもそげな曖昧なものでアイドルが成り立つんで……?私……」


三ノ宮P「成り立ちますよ。幸運は誰にでもやってきます。でもその幸運は、勉強や努力をした人にしか理解できないの。それこそ、私が花ちゃんという金の成る木……やなくて、磨けば光る宝石に出会えたのは幸運だけど、花ちゃんにアイドルの素質があることを見抜いたのは私の『目利き』だもの。そして、花ちゃんは努力をしてきたからこうしてアイドルになれているのでしょう?それにウチだってこの通り地方の出や、都会に出稼ぎするってことがどれだけ大変か、ようわかってる。花ちゃんは立派やで!」


花子「う、うぅ……プロデューサーさん……。私……けっぱ……が、頑張りますぅ!」


三ノ宮P「その意気です!だから、この合宿も頑張りましょうね!さ、まずは標準語の練習から!」


花子「は、はいぃ!わがったです!!」


三ノ宮P「『わかりました』やゆーとるやろ!!なんべん言わすねんもう一回!!


花子「ひえぇわがりましただあぁ!!


 

塩の砂漠

「塩の砂漠?」


「えぇ、戦争中は海の潮が退いて出来た湖だったようですが、なんらかの原因によって干からびて、急速に付近の植物が汚染されて砂漠と化した場所です」


「ふむ……戦争の爪痕か。木々は燃え、動物も狩り、戦場はあまりにも荒れていた。環境に変化があってもおかしくはないが……」


「まだ戦争の影響とまでは決まっていません。というより、不可解な点が多くてこれが人為的な物なのか自然発生したものなのか、精霊たちでもわからないのだそうです」


「報告をみる限り、これはただの砂漠化ではなく『侵食』だとのことだが、調査に出たのは誰だ?」


「ハニータさんです。自然補佐監理局の……」


「む……生物学の専門家か。誇張抜きの緊急事態だな。その『侵食する塩』とやらの調査が必要か……。それで、場所はどの辺りだ」


「ブルギニオンの東部です。調査はある程度戦力が必要かもしれません。あそこはあまり好き好んで通る人は居ませんから……」


「あぁ、戦時中もあの辺りは傭兵の物資補給拠点……つまり武器の密輸の取引場だったな。……さすがにもう行われていないと思いたいが……」


「……まぁ、現状我々も自国に手一杯で触れていない土地というだけで、危険度の高さは紫電さん達に任せられる程生ぬるくないですね」


「うーむ、となると、聖騎士団に頼る他ないか」


「乗り気じゃなさそうですね、その顔は……」


「だってなぁ……あいつら命令聞かないからな……」


「王様でしょう……しっかりしてくださいな……」


「元だ元。ときどき忘れそうになるが」


「仕事増えてますもんね……。あ、でしたらショコラ陛下に相談させては?」


「いや、ダメだ。聖騎士団の連中は頭もよく回る有能ばかりだからな、気づかないうちに言いくるめられるのはショコラの方だろう」


「一筋縄ではいきませんねぇ……。やはり私から直談判しますか?」


「……実は気になることもあってな。この件は私が直に当たってみよう。期待はしていないがもしかするとこの塩の侵食……奴に関係あるかもしれん」


「奴、と言いますと?」


「切り込み隊長、カリソン卿だ」

強肉弱食

ルマンドさん、あなたにとって騎士道とは、どのようなものでしょう」


「こいつぁ雨が降るんじゃあねーですかい?あのお気楽のんびりお優しーい殿下のぼっちゃんが、馬鹿に哲学をお聞きなさる。騎士道ってもんがこの俺にあると思いますかい?」


 あぁ、茶化しましたよ。なんたって俺は貴族っつーもんが一番嫌いですからね。おべんきょーの時間は昼寝に限る。起こしやがったらぶっ飛ばす。そんくらいよぉ、いくらおたくでも、ちょっと考えりゃわかるもんなんじゃねーの?下らねぇ質問に答えてる暇があったら、小銭でも数えてたいもんでしょ。おたくらの言う、下賎の民っつーもんは所詮そんな奴等ばっかりだ。


ルマンドさんは、聖騎士ですから」


 ……それなのにこのガキんちょは、皮肉も受け取らねーときた。どうも噛み合わねーわ。やっぱ頭でごちゃごちゃと思考する凡人の王様の方が、よっぽど話やすい。俺は馬鹿だけど、ここまで間抜けじゃねーですよ。今のが俺に対する侮辱になってるっつーことも、わかってねぇんでしょーねぇ。
 聖騎士様、ね。へーへー、念推ししなくともわかってますって。俺はおたくらに負けたんでしょ、徹底的に。だからこんな場所にいる。ようはそういうことですよ。ですからねぇ……


「……騎士道なんてもんは知りませんけどね、弱ぇもんは喰われる。そいつが俺の信念ですよぼっちゃん。そこに罪悪感なんてありますかい?つえぇ奴が生き残る。弱ぇ奴が死ぬんでしょーよ。そりゃ、寝しょんべん垂れの赤んぼうだって知ってますし、俺はそのクソガキ程度のことしか知りませんよ」


 弱肉強食って奴だ。どんなに泣き言喚こうが、所詮はそれに尽きちまう。抗えねぇ摂理であり……世間様に虐げられた俺たちの、唯一の美学なんですわ。
 そうだろ。勝てば好きに出来るんだぜ。残酷とか言わねーでくれよ、俺たちは産まれながらにお前ら貴族の犬。負け犬だ。好き放題に虐げられる負け犬なんだよ。勝ちとらなきゃ、永遠にな。そいつを教えてくれたのは、他でもねぇ、おたくら貴族のみなさんだ。
 その唯一残された俺たちクズの生き方を、残酷だとか言える奴ぁ、世界で一番残酷な野郎だよ。


「わかりました?だから俺みてーなただの賊に、騎士道なんつー立派なもんは……」


「それならルマンドさんは、やっぱりお強いのですね」


「……おい、あんた一体何を聞いてたんです?どうしてそうなる?」


「貴方は生きていますから」


 ……困った。
 こんときの俺は心底困った。冗談抜きで固まっちまった。寒い冗談飛ばされたからじゃあねぇ。その時の殿下の目を見ちまったんだよ。

 なんつー、死んだ目をしてやがる。

 

「───!!おい、あんた……」


「良いお話が出来ました。参考にしたいと思います」


 殿下のぼっちゃんは、それで充分だってな感じで背中を向けたよ。その鎧も着てねぇ薄っぺらい服だけの弱そうな背中を、他でもないこの俺に対して向けた。心臓丸出しの位置でだ。
 そうだ。おたくも思った通りな、無様でも生き残りゃそいつは強者。どれほど格好つけようが、死んじまえば弱者。


 俺はなぁ、ぼっちゃん。弱ぇ仲間を切り捨ててきた頭領だ。あんたらのような大義名分なんてありゃしねぇ、足手まといの仲間を容赦なく捨てた個人主義のならず者なんですぜ。
 あんた、罪もなんもねぇ仲間を殺した経験はあるかよ。俺は、それが出来るから生きてこれた。こーやってな。
 そういう奴に背中を向けて良いんですかい、なぁ、『貴族様』よ。


 俺は、手に持ったナイフを、殿下の背中に向けて───

 

 

 


 ───床に放り投げた。

 

 


「やっぱり、貴方は強い人です」


 直感的に感じる。俺は恐らくたった今……弱者にならずに済んだ。
 どんな世界で生きてきたのか、あのぼっちゃん……既に死に慣れてやがる。
 ありゃ、闇討ち程度じゃ殺せないんでしょーねぇ。ま、一緒にいりゃ俺も死ぬことないわけで。


 へーへー、わかってるって。それで充分。俺は満足ですよ、ショコラ殿下。

地獄の中の騎士

「カリソンさん、今日もお手合わせ願えますか?」


 無邪気に笑う殿下は、我々聖騎士団においても要となりえる存在だ。このように幼い顔を見せて、その上華奢な体つきで、女性でも振るえるような細く短い剣を使いながらも、豪腕で知られる俺やサクリス卿の剣をいとも容易く捌ききる。包み隠さず白状すれば、我々聖騎士団はこのお方に手加減をされることが我慢ならなかった。
 腕自慢の集まりが、なぜ子供などに翻弄される。納得いくはずもない。もしも殿下が王族でなければ、憤慨するは必然だったろう。


「御意に。ショコラ殿下」


 俺は貴族として当然の誇りがある。主君には仕えるが正義を感じなければ迷うことなく反逆するだろう。俺の剣が従う者は人ではなく正義だ。故に、赤髪の卑劣な蛮勇などにいつまでも従う気は無かった。
 だが、謀反を起こす事は難しい。その理由が目の前にある。この時代は、ある意味力こそが正義だ。認めたくは無いが、最も強き騎士はショコラ殿下をおいて他にない。まだ年端もいかぬその若さで、この百戦錬磨の聖騎士団を何故こうも翻弄できる。
 考えなしに突撃するは我が兵法、しかしこのお方にだけはそれは通用しないのだ。


「カリソンさん、ひとつお尋ねしても良いですか?」


「は。なんなりと」


 その日、殿下は俺に問う。敵に騎士たる精神はあるのか、と。俺はその問いに、自らの意を答えた。


「騎士道を持たぬ者が戦地に赴くとすれば、その者にはこの世が地獄に思えましょう。運命に逆らうが故に剣を取る。死を前にしたのなら、騎士でなくとも戦いを選ぶ。このカリソンが信ずる騎士道とは、そのような地獄の亡者を産み出さぬよう、民に代わって死に逝く者共を制圧する、殺戮の代行者の精神でございます、殿下」


 その回答に殿下は、変わらぬいつもの表情で……そう、すなわち笑顔でお答えくださった。


「そうですか」


 その時、俺の感じた殿下の視線は、俺ではなく民に向けたものだと直感した。何故、殿下はそのようなことを聞いたのか。何故、俺の問いを笑顔で受け止めたのか、俺にはわからなかったのだ。
 俺は、殿下の思想と対照的であると、常日頃感じていた。向かってくる者は誰であれねじ伏せる、恐怖を敵国に植え付ける、執念の騎士と呼ばれるこの俺の思想だ。いかに自分が傷つこうとも、万人に救いの手を差し伸べる優しき殿下には、俺の考えなど理解できまいと、そう勝手に盲信していた。


 ただ、殿下のあの視線が持つ感情は、怒りでも蔑みでも、失望でも無いと俺は感じた。
 そうだ。あれはまるで……
 
 今更どんな感情で人を斬るべきなのか悩んでいるような、そんな目をしていた。


 誰よりも強くあり、誰からも愛されるべき心を持った、あまりに理想的な存在が、何故我らのような手を汚した者共の騎士道を見定めているのか。

 いずれにせよ、俺はその日に理解した。
 殿下は恐らく、我々聖騎士団と違い───

 


 ───たった一人、地獄の中で戦い続けているのだと。