PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

アイス珈琲

 商店街の長い坂道を上がると喫茶店があった。


 人混み溢れる賑やかなこの一本道に、静かで落ち着いた気持ちの良いスペースがあるのは嬉しい。客がいなければ店も常に綺麗で清潔だし、珈琲一杯で10時間は粘ることもできる。私にはこういうお店が好みだ。


 氷がカランと音をたてる。気がつけば珈琲の飲み口に透明な層が出来ていた。綺麗なグラデーションがかかる。あまり濃いのは好きじゃないから、今が丁度飲みごろだ。ストローで一、二、三とかき混ぜる。紅色の水は窓から差し込む日の光で美しく輝いた。


 今書いているのは、男女の恋愛の話。恋愛下手な男の子が、幼馴染みの女の子に紹介してもらった他校の子を好きになり、良い関係になっていく。交際していくうちに男の子が成長して良い男になっていくのだけれど、幼馴染みはそれを素直に喜べない。ダメダメだった男の子が好きだったことに今さら気づいてしまうのだ。


 話はもう佳境に入っている。このままプロット通りに作っても良いだろうけれど、物書きとしてはどうにも納得がいかない。ここが悩みどころだ。


 不思議なことに、自分が『良い』と思うアドリブを入れると、小説自体のクオリティが上がるのに、読者が減る。しかしプロット通りに仕上げれば思ったよりも陳腐になるくせに、読者のウケはとても良い。趣味で書く文ならば好きなように変えるのだけれど、この作品は投稿用だ。恋愛小説なんて軟派な話は、ハードボイルドを好む私には苦手分野。けれどそれでもここまで書けば愛着湧いても仕方がない。


 この話の主人公は男の子なのだけれど、最後の最後には幼馴染みの視点に変わる。読者には幼馴染みを一時的に忘れてもらうよう、立ち回りを意識してなるべく描写を減らしてきた。男の子が困った時などにラッキーな出来事が沢山起きるのだけれど、その運の良さは幼馴染みの手助けによるものだったと描写して、プロット通りにいけばなんやかんやあって男の子は幼馴染みと結ばれるのだ。


 それがわかりきった展開だからこそ、私としては幼馴染みに不幸になって貰いたいと思ってしまう。努力実らず、男の子は別の子と結ばれ、幼馴染みは独りぼっちになる展開にしたいな、と。それがリアリティだし、それが正しい流れだから。


 男の子は事あるごとに幼馴染みを頼ってきて、頭も良く容姿も良いこの子は、頼られることに充実感を抱いていた。何でも出来るからこそ尊敬されていた。そして、男の子は幼馴染みにいつも感謝していた。時が経てば経つほど幼馴染みの色は薄くなり、カランと音がたって気づいてみれば、このアイス珈琲のように魅力が落ちている。


 そんな幼馴染みが、私は好きになってしまった。


 味が濃く、美味しかった頃の幼馴染みには特に注目する事は無かった。なにもしなくても美味しいし、ガムシロップやミルクがあった。でも、作者の私はこの子にあえて味付けをせず、ただ薄くなるのを待った。そして、私の中で『カラン』と音がたったとき、この子は私の中で完成した。


 飲みごろの魅力的な幼馴染みを、再び味付けしなくてはならないのが嫌で、頭を悩ませる。作家の卵としての意志を尊重すべきか、読者の為を思ってこのまま当初の予定通り進めるべきか。この選択に頭を悩ませない作家は殆どいないだろう。読者と作家は、相容れるものではないのだから。


 私はアイス珈琲にやっと手を伸ばした。汗を拭うように、一気にそれを飲み干した。集中しすぎて乾いた喉を一気に潤すように、味わうことなく飲み干してしまった。


 そう、読者はきっとこのこだわりを気にせず飲み干すだけだろう。それが結局真理。どうせあまり気にされないなら、書き手は書くことを好きに楽しめばいい。


 長い執筆が終わってから、私はホットココアを頼むことにした。

Curse of Misfortunes

 きっかけはほんの少しの好奇心だった。


 私はあのとき、ひとときの間でも愛し続けてくれていた母親ではなく、仕事にかまけてばかりで口も殆どきかない父親の手を握った。私には、選べるチャンスがあったから。

 

 それが、母との別れになるなんて知っていたら結果は変わっていたと思う。だからきっと、母は『あえて』沈黙を選んだのだ。


 そして私も、父を選んだ。


 母は優しかった。この上なく大好きだった。母も私が好きだった筈だ。嘘偽りなく、私たちは愛で繋がっていた。父が殆ど構ってくれない分、母は私に二人分の愛をくれていたのだろう。

 

 母は、同時に父の事も愛していた。父も、母をきっと愛していないわけではないと思う。

 


 私が父を選んだ理由。それは、謎が多い父をもっと知りたかったから。

 

 それに、私といるとみんな不幸になるらしい。母を不幸にしたくはなかった。


 それからの父との生活は、とても質素で淡白だった。食事や会話は最低限といった風で、私も結局一人で過ごすことが多かった。

 

 私は本や絵を繰り返しみて、寂しさを乗り越えようとした。


 物語の主人公は、騎士は、王子さまは、いったいどんな気持ちなのかと妄想に耽った。毎夜毎夜と空想に語りかけた。その度に、素敵な登場人物に惚れ込んだ。

 

 私はやがて、キャラクターの思考をリアリティーをもって考えられるようになってきた。


 あるとき、ふと、思った。父は何を考えているのだろう。私は気になり、父の部屋に初めて入った。


 そこには沢山の形のランプが山のようにおかれていた。

 

 綺麗だと、思った。寝息をたてる父の顔は、まるで世界を救いたいとはしゃぐ少年のようだ。

 

 父は、ランプが好きなのだと知った。生まれつきとても濃い隈をコシコシとこすりながら、ぼそぼそと何かを呟いた。なんだろう、とよく聞いてみると、人の名前のようだった。

 

 私は俄然興味が湧いた。この薄情な大人の少年は、あろうことか母や私ではなく『男性名』を口にしたのだ。

 

 それに、一人じゃない。父が起きるまでに約10時間、とっかえひっかえのべ8人。更に、時折父は『愛してる』と呟いた。

 

 母にも、私にも一度も言わなかった、私たちがもっとも期待した言葉。それを父は8人の男性名に対して言った。


 興奮した。虚無の具現化のようなあの父から、バイオレンスな香りが立ち込めてきたのだ。


 私は睡眠をも忘れ、一心不乱に筆を走らせ日記帳を父の考察の為3冊埋めた。あらんかぎりの可能性を、めくるめくラブロマンスを、禁断の果実をけたたましい鉛筆音で演奏し続けた。


 書いては読み、書いては読み、読むたびに膨らむ父の本性の妄想。現実よりも濃密なリアリティーとおとぎ話よりも嘘っぽいファンタジーとで渦を巻きながら過去十数年を振り返った。


 出てくる出てくる父の謎。生まれる生まれる疑似真実。日記のあちこちに鼻血がついてしまったけれど、動悸と呼吸は荒ぶり続けた。


 しかし、そんな私の期待はすぐに裏切られた。父が個展をひらいたのだ。


 言われるがままについていくと、高そうな服を着飾ったドレスタニアの貴族が優雅でおしとやかに父に対し挨拶をしにくる。


 いつものボロ服バサ髪を捨てて、綺麗な紳士服と艶々の整髪剤で固めたオールバックに変わってしまった父の姿は嘘のように優雅で、気品に溢れ饒舌だった。


 父は私に『長年の最高傑作だ』と目を輝かせて語った。会場に並べられた父の作品、綺麗で特徴的なランプの数々が、か細い火によって光を放つ。


 まるで小さな命がランプに宿り、ダンスを踊るかのごとく。


 『君に見せたかった。母さんがいたらきっと完成しなかったから』と涙をためて言う父。みてごらん、と一つ一つ作品を紹介されていく度に、楽しそうな父を横目に私は幻滅していった。


 なぜならランプの名前に、見覚えがあったからだ。そう、あの8人の名前は、なんのことはない、『自分の作品名』だったのだ。


 私は自分の妄想が期待はずれだったことに憤りを感じ、ふと思い立って父に向けて呪詛を放ってみた。すると、父の周りに沢山の人だかりができて、元より本来コミュ障である父はお祝いの酒の誘いを断りきれず、連れていかれてしまった。


 次の日私は、父が酔いつぶれて寝ている間に、ランプを質に入れた。たくさんのお金に変わった。


 家に帰ると、必死な顔をしてキョロキョロする父がそこにいた。普段の冷静さは消え、半泣きになりながら私にランプのありかを聞いた。


 私がお金を父に渡すと、父はしばらくの沈黙の後、情けなくわんわんと泣きはじめた。


 愛する恋人との突然の別れ。突きつけられる厳しい現実、悲劇に変わるこの物語の主人公は、このあとどんな行動をとるのだろう。無駄とわかっていても恋人を追うのだろうか?それとも、違う恋人を作ってしまうのだろうか?


 そんなおいしい選択を迫られた父に、興味本意で呪詛をかけてみた。

 

 すると、いいタイミングで母がライスランドの旅行から暫くぶりに帰ってきた。父は悲鳴をあげた。

 

 母はキョトンとした顔で『どうしたの?』と私に聞いた。私は、父の不倫相手が8人いたこと、8人とも男性だったこと、そして、その8人を今お金に換えてきたことを告げた。


 すると、父は取り乱したかのように誤解をとこうと必死になって、その様子を私たちはときめきながら楽しんだ。


 母はお腹を押さえて笑いながら私に言った。


『最高よアンナ!!カオス!!私のイタズラとはレベルが違うわ!!やっぱりアンナは私の子ね!!アンナなら何かやってくれると期待していたわ!!』

 


 そう。私の名前はアンナ。ランプ職人でランプフェチなアスラーンの父と、カオスな展開が大好きなアルビダの母をもつ、アンナ。

 

『人をちょっぴり不幸にする呪詛』をもつアルビダの可憐な乙女。

 

 この呪詛を『おいしいな』と思ったのは、これが初めてのことだった。

気付かれバクセラ

 ドレスタニアの庭で昼寝をしていた私に声をかけた者は、元国王の若造だった。てっきりあの夜のことを思いだし指名が来たものかと思ったが何を考えているのか若造はあの『フリカッセ』についてこいと言い出した。
 歳のいった妖怪ならばあの国は誰でも知っていよう。狂気に満ちた爺が目をつけた幼い妖怪を囲い、服従させ管理しているあの頭のおかしい国だろう?今さらあんな国の名を聞くとはな、時代の流れは存外に早い。
 火をつけてしまった煙草を最後まで楽しむまでは返事もできんものだ。渋っていた訳ではないが忙しい私は娯楽に集中していると、突然見慣れない女が前に立ち、この私に対しそそるような礼をした。馬車で泥を跳ねかせ愉快に笑いながら町を汚して回る豚のような太った貴族が、庶民の何倍も高い金を悔し顔でテーブルに叩きつけ、身分違いの娼婦に為す術もなく震え喘ぐようないかにも滑稽な姿だ。愛らしくて仕方がない。
 欲望に忠実な姿は悪くない。妖怪は元より正直な種族だ。頭を垂れて恥を捨てれば何でも叶うと思っている人間風情に施しをしてやりたいと考えるのは極々当たり前の事だろう。サービスしてやるさ、可愛い子豚には特別優しくな。
 重い腰をあげるには杖が必要だ。息切れするほどに衰えたつもりは毛頭無いが、なに、使ってみれば中々どうして具合が良い。良いものは使う。私は無くした鉛筆や消ゴムに諦めがつかない神経質なタイプでな、一度私のものにしたら最後まで、最期まで使うさ。ボロボロになり、途中で折れ、埃にまみれ墨だらけに変わり果て血で滲みカビが湧き異臭を放ち毒を撒き散らし始めても遣い潰す。そんな杖が、旅には必要だと最近思うんだ。
 私の杖が、カツカツカツと音を立ててやって来る。おっと、どうしたことかね、少し痩せたか?器用な奴だ、『骨から痩せる』とは。瞬きの回数も一段と少ないじゃないか、それにフラフラとやかましい振動がする。そのような服を許可した覚えはない。また長い髪をパラパラと、耳障りにも程がある。
 さて、私は学こそ無いがね、嘘を見抜く力はあるんだ。覚えた顔は忘れない。覚えた『振動』も忘れない。私の所有物に『色』をつけた愚か者も、必ず捜し出して礼をするんだ。そこで問題だ、お前をそんな風にしたのは誰だ?あぁ、言わなくても良い。『お前は』知らないだろうが、私は私以外が発する音が嫌いなんだ。だから私が『自分で聞こう』じゃないか。
 空を見上げても日が射さない。人間共の鼓動は少し早い。耳障りなガキもいない。なるほど私にとっての理想の世界だ。実に落ち着く。そして、実に『つまらない』。
 煩わしさがない。鬱陶しさがない。怒りが湧かない。悲しみが起きない。呆れる対象がいない。苦しみが存在しない。何一つ、『面倒臭くない世界』だ。これが私にとっての『理想』とはな、不愉快極まる。苛つく隙もあったもんじゃない。『穏やかな気分』など求めていないんだ。


──お前ならばわかるだろう?私の淀み淀んだ価値観が。なぁ、『バクセラとやら』。


 私の『代理』の代理など、貴様にはできるまいよ。今日は『不快』なほど『愉快』な日だ。私に悪夢以外を楽しませた無礼は、この私の杖を真似た健気な考えに免じて一度だけ許してやろう。『一度だけ』な。

 

***


 この者の夢は安定。理性良好。精神的歪みは常軌を逸しているが正気は失っていない。夢の世界の中で自我を保ち長く維持している。混乱は見られない。脅威となり得る可能性は濃厚。対処可能。目的意識の一貫性を確認。他二人、アルビダの娘は過去に依存性あり。将来性不安定。矯正可能。欲の深層心理に父親の特殊性癖との関連性を確認。理性不安定。目的意識安定。自己理解確定。サターニアの乙浪、過去との決別の意志を確認。将来性未定。母性の発達を観測。目的意識は希望。恐怖、不安、困惑を強い精神力で対処可能。行動理由に息子の存在を確認。安全性良好。対象三名、敵意無しと断定。『ロクショウ・ヴィルヘルム・フリカッセ』『トリコデルマ・ブロックマルツ』『アルテルナリア・ベーレンアウスレーゼ』『アスペルギルス・ヴルストヒェン』および『バクセラ・ヴァッサメローネ』との接触を許可する。

【アイラヴ祭】花子デビュー前【外伝】

はなこ「散髪お願いしますだ~!」


スタイリストあーや「あら、はなちゃん。どうしたの?前予約より早いけど」


はなこ「それがぁ、今度都会に仕事さ行くことになりまして……」


あーや「えー!!はなちゃん引っ越しちゃうの!!随分急な話ね!!何のお仕事するの?」


はなこ「『あいどる』っていうのをやりたいと思ってんです」


あーや「アイドル!?はなちゃんアイドルデビューするのね!!凄いじゃなーい!!」


はなこ「いんやぁそれほどでもぉ~……。だけんど、この村の格好のまま都会さ行くのダメだってんで、都会から来たすたいりすとのあーやさんにお任せしたいんです。向こうでも恥ずかしくないかっこにしてほしいのですん!」


あーや「えっ!!いいの!?やっちゃっても!!」


はなこ「はいぃ、私じゃわからないもんで……全部お任せします~!」


あーや「(狙ってたはなちゃんを魔改造できる日が本当に来るなんて…くひひひ、アイドル顔負けにしてあげるわ……)」


はなこ「あーやさん~?」


あーや「あ、ごめんね!どこまでやっていいのかしら?どうせなら染めちゃう?おでこは可愛いから隠さないで見せちゃおうね!はなちゃんは輪郭がキュートだから後ろはお団子にして天然シルエットだそっか!眉もしっかり整えて、素材は活かす!都会でもびっくりされるわよ、可愛いってね!」


はなこ「よ、よくわかりませんがぁ……あーやさんの言うことなら信じられますから安心です~。何時間でも待ってますん~!」


八時間後


あーや「出来た……凄いの出来た……て、天才……どっからみてもアイドル間違いなし……!!」


はなこ「ふぇ、終わりましたでしょうかぁ……。ふあぁ……」


あーや「うん!!ほれ、鏡をみんさーい!!どーだ!!」


はなこ「んー……。んん!!??う、うひゃあ!!なんねこれ!!えぇ~!!知らない人だべ!!は!!『どっきり』さね!!てれびで観たことあるけん!!」


あーや「ふふふ、どっきりじゃないんだなぁこれが……。どっからどう見てもばりばりアイドルよ!みんなすれ違い様に振り向くでしょうね!」


はなこ「はわわぁ~!!偉いことになっただぁ……。都会って凄い……」


あーや「何言ってんの、アイドルになるんでしょ!いつまでも都会に憧れてちゃいけないわよ!アイドルは都会の『トップ』なんだから!若者の憧れになるのははなちゃんなのよ!」


はなこ「えぇ~!!とと、都会のトップ!?わたしそんな、そんなつもりじゃあ~!!『あいどる』は『みんなを笑顔にする仕事』ってだけじゃないんですかぁ~!!」


あーや「この際言うわ……。はなちゃん、あなたはその美貌、安産体型で胸も大きく肌もツヤツヤ!お目目もぱっちりで髪質も全女性の憧れレベルと言ったって構わないくらいの『奇跡の女の子』でありながら、老若男女問わずあげく野生の動物でさえも魅了する高く綺麗なその歌声を持ち、それでいてまるで『聖女』の如く献身的で優しい心を持ち合わせた『圧倒的☆女神』なの。アイドルはあなたのような本当に清らかで可愛い子にしか出来ない、限られた人の仕事なのよ!!」


はなこ「い、いんやぁわたし……そこまで言われる程じゃ……」


あーや「わかってないわね。はなちゃん、みんなははなちゃんを待ってるのよ。はなちゃんが、みんなに笑顔を与えられる希少な人間であるのなら、それははなちゃんの使命とも言える大事な事なの。いい?はなちゃんがこうやっていつも可愛くあることで、沢山の人に笑顔が現れるんだから、はなちゃんは可愛くなきゃだめよ!都会でみんなが待ってるわ!行ってきなさい、アイドルの世界へ!!」


はなこ「わたしにしか出来ない仕事……人に笑顔を与えられる仕事……。わ、わかりましたぁ……!!わたし、頑張ってみますけん!!都会さ行って、『あいどる』になります!!あーやさん、本当にどうもありがとうございます~!!」


あーや「ファイト!はなちゃん!ずっとずっと応援するからね!!向こうに行ってもがんばだよ!!」


はなこ「はいぃ!!頑張りますだ!!」


あーや「違うわはなちゃん!!手はこう!!そしてクルっとターンして、ウインクしながら『応援よろしくね☆』!」


はなこ「は、はぃ!っとと……お、応援よろしくね☆」パチッ


あーや「かんぺええぇぇぇぇぇきはなちゃんカワイイやったあああぁぁぁぁぁぁ!!!」


はなこ「な、なんね!!いきなりぃ!!」

【アイラヴ祭】はるると駒込、博物館デート【外伝】

ギャル男「大人二枚でェ~」


館長「かしこまりました。お会計、3200円でございます」


ギャル女「ちょっとオバサンさァ、あたい達みてわっかんないわけェ?」


ギャル男「これこれェ、カップル割引、忘れてるっしょ。大丈夫?(笑)」


館長「はぁ……。それでは、カップルである証明をお願いします。度合いが高いほど値引き致しますので」


ギャル女「なにそれ?そんなんあんの?マジ?うける(笑)」


ギャル男「俺たち試されてる?(笑)しかたねーべ、ゆっこ、ちゅーするか(笑)」


ギャル女「オバサン嫉妬とかやめてよ(笑)ゆーくん、ンチュー♥」


館長「……(はー、でたでた。こーいうの)」


ギャル男「これはいったっしょ(笑)(笑)(笑)全額値引きっちゃう??」


ギャル女「あたいらイチバンじゃね??(笑)うける(笑)」


館長「3150円になります」


ギャル男「は?」


館長「3150円になります」


ギャル男「ちょっとまてよ、なめてんの?超カップルじゃん。超ムカついたわ、ゆっこ帰るべ」


ギャル女「何キドってんの?ダサいよオバサン。むかつき」


館長「ありがとうございましたー」

 


受付嬢「ちょ、ちょっとぉ館長ぉ!めっちゃ酷くないですか今のぉ!」


館長「酷い?酷いのは向こうでしょ。カップルなめてる残念なキッズに『愛の結晶展』の価値なんかわかるわけないの。ここは神聖な博物館よ。見る目がない子は帰ってもらうわ」


受付嬢「でも、キスするほどのカップルですよ?五十円だなんて……」


館長「はぁ……あんた、愛ってものをぜんっぜんわかってないわね。あんなカップル、どうせミスって子供作って男が逃げて破綻するコースよ。そこに愛なんてないわ」


受付嬢「うわぁ偏見に満ち溢れてる!!流石、四回も男に逃げられて愛に飢えてる若くない若奥様!!」


館長「言葉を慎みなさい、五回よ」


受付嬢「訂正していいんですかそこ!!」


館長「おっと!お客様よ!仕事に戻りなさい!」

 

 

***

 


はるる「博物館の空気って、ど、ドキドキしますよねっ!特別な空間といいますかどうですか……(は、博物館ってこんな静かなところなんだ……。お、落ち着かない……)」


駒込「俺は静かで落ち着くなぁ。でも誰かと来たのは初めてかもしれないな」


はるる「は、初めてですかっ!!そうですかっ!!やりましたね!!(初博物館デートゲットぉ!)」


駒込「中に入ったらあんまり声出しちゃ駄目だからな?どれどれ、今日の展示は……おっ、『愛の結晶展』だそうだ。はるるらしいなぁ」


はるる「『愛の結晶展』!?(ななな、なんですかそれはっ!!展示品まで見てませんでした!!)」


駒込「とりあえず一周してみよう。受け付け済ませるぞ」


はるる「あ、愛の結晶……。駒込さんと……愛の結晶……無言で……」ドッキドッキ


館長「ようこそおいでくださいました。本日はどちらのご予定で?」


駒込「『愛の結晶展』で。大人二枚お願いします」


はるる「かしこまりました……。3200円でございます」


駒込「はい」


はるる「はっ!?こ、駒込さん!!タンマ!!タンマですっ!!」


駒込「ん、どうした?トイレか?」


はるる「違いますっ!!その、えと、か、かっ!!かっぷるっ!!あの!!」


駒込「あぁ、すまんすまん、忘れてた。ホームページ見たんですけど、『カップル割引』っていうのやってます?」


館長「!」キュピーン


受付嬢「(館長の顔つきが変わった!?)」


館長「ホームページをご覧いただいたのですね。こちらは当館オリジナルの『申告型サービス』でございまして、お教えいただいた男女ペアの『恋人同士』のお客様が対象でございます。失礼ながら、お二人は恋人の関係でお間違いないでしょうか?」


駒込「ん?いやまぁ、正確に言えば違……」


はるる「わぁーっ!!」バタバタ


駒込「うおっ!!なんだなんだ!?」


はるる「(恋人って設定じゃないと無効になっちゃうんです!!ここ、恋人のフリを全力でお願いしますっ!!できるだけ迫真に!!一生のお願いですっ!!)」


駒込「おぉ、なるほど」


館長「お客様……?まさか恋人同士ではないと……」ジロッ


はるる「恋人ですっ!!ラブラブなんですっ!!愛してますっ!!本気です!!ねっ!!駒込さん!!私のこと大好きって言ってください!!」


駒込「あぁ。大好きだよはるる」


はるる「ああぁっっっっっ!!!!!(ああぁぁぁぁっっっ!!!!)」


受付嬢「(むむ!?館長!!この二人嘘くさいですっ!!)」


館長「今いいところなんだから邪魔しないで!」


受付嬢「(!?)」


駒込「割引使えそうですか?」


館長「申し訳ございません。カップル割引をご利用のお客様には『恋人である証明』をしていただくことになっております。お見せいただけますか?」


はるる「しょ、しょーめいっ!?(そそ、それってどういう……)」


駒込「恋人の証明かぁ」


館長「恋人同士でしたら、勿論証明できますね?」ジロッ


はるる「(こ、駒込さんっ!!恋人ってどうやって証明するものなんでしょうかっ!!はるるわかりませんっ!!)」


駒込「うーん、恋人なら、そうだな……」


ニギっ


駒込「これでいい?」


はるる「ひゃあぅ!?!?!?」


受付嬢「(こ、これは!!指と指を絡ませ合う『恋人繋ぎ』!!)」


館長「……それが証明ですか?」ジロッ


駒込「一応そのつもりなんですけど、やっぱ駄目です?」


館長「そうですね、手を繋ぐ事が証明だとするのは理由として些か弱いかと思われますので、『館内にいる間』も繋いでいただきますがよろしいでしょうか」


駒込「なるほど確かに。わかりました、繋いでまわります」


はるる「え、ええぇぇ!?!?あのっ!?ええぇぇ!?!?」


駒込「ロケ連れてくときも繋いでたことあるだろ?数十分繋ぐくらいなら我慢しよう」


はるる「いやあのっ!!つな、繋ぎ方があの、全っ然違うといいますかっ、えっ?あの、えっ??」


駒込「ということでそれで。ちなみにいくらくらい割引してくれるんです?」


館長「……(この子……!)」


駒込「あのー」


館長「……『全額』よ」


受付嬢「(は?)」


館長「お二人は正に『愛の結晶そのもの』でございますわ!当館はあなた方を全額値引きいたします!どうぞ、お二人で心行くまで愛を育んでくださいませ!!」


はるる「あ、ああ、愛を育む!?!?ひゃぅっ!!」ニギッ


駒込「へぇ、面白いなぁ。愛の結晶だって。よかったなはるる」


はるる「はうっ!!い、今名前を呼ばないでくださいっっ!!し、心臓を落ち着かせていますのでっ!!」ドキドキドキドキドキ


駒込「?」ニギッ


はるる「ひぃん!!(こ、この繋ぎ方ぁ……!握ってる感触が一々伝わってきて……あぅっ!!)」ニギッ

 

 

***

 

 

受付嬢「館長ぉ!!あの二人絶対エセカップルですよぉ!!」


館長「はぁ……。あなた、本当に愛ってものを全くわかってないのね。本物と偽物の区別もつかないの?」


受付嬢「いや、だって男の方超興味無さそうだったじゃないですかぁ!!どうみてもカップルじゃ……」


館長「馬鹿ね。二人がカップルじゃないことくらい、話しかけられる前から気づいていたわよ」


受付嬢「えぇ!?それならなんで……」


館長「あの子……。あんな難易度高そうな男をデートに誘ったのよ。男は気づいてないようだけど……女の子の方は紛れもなく本命……。『愛に努力してる子』を応援しないで、何が『愛の結晶展』だって話よ」


受付嬢「た、確かに相当男慣れしてない感じでしたもんね……」


館長「あぁ、たまらないわ。これはキてる。それじゃ、後はお願いね」


受付嬢「は……!?」


館長「帰ってネームきらなきゃ。こんな良いネタ枯れさせるわけにいかないもの!」


受付嬢「そんなんだから男が逃げるんですよぉ!!」

【アイラヴ祭】紫電の歌詞作り前編

紫電「ひーちゃんもタオも歌詞できたし、あとは俺だけなんだよなぁ……。はぁ、いつも宿題追い詰められてからやる気になるのって、みっともないよな」


タオナン「ちょっと紫電!お風呂長くない!?ご飯冷めちゃうじゃない!」


紫電「わわ!わるいわるい!考え事してたぜ!今上がるー!」


タオナン「ちょっと大丈夫なの?あんまり長風呂してると良くないわよ」


紫電「あぁ、鬼は丈夫だから平気だ!俺のかーちゃんなんて2時間入るからな!」


タオナン「鬼って凄いわね……。でも、あんまり心配かけないでよね。あたしはともかく、ひとこはただでさえ心配性なんだから」


紫電「う……ひーちゃんには迷惑かけたくないぜ……。はぁ、俺もやっぱ天帝にアドバイス貰おっかなぁ」


タオナン「やっぱり歌詞で悩んでんのね。でも、天帝には鬼はいないわよ。違う人種のアドバイスもらってどうにかなるわけ?」


紫電「ぐぐー、痛いところついてくるぜ……」


タオナン「当たり前でしょ。デビューなんだから妥協なんて許されないわ。例え期日が遅れても、納得いくものをつくらなきゃ意味がない。頑張りは努力じゃないわ。焦らずじっくり考えなさい」


紫電「タオ……。はは、なんだか、二人とも俺のことなんでもお見通しなんだなぁ。俺、二人といれて嬉しいよ」


タオナン「何よ、あんたもあたしたちのこと何でも知ってるじゃない。みんなで一つだって言ったでしょ?逃げようったって無駄よ!」


紫電「うん。俺は、俺なりに良い詞を書く!みんなでデビューするんだもんな!」


タオナン「そうよ。とりあえずご飯食べて明日また考えなさい!」


紫電「ところでタオ、今日はひーちゃん出掛けてるのか?珍しいなぁ」


タオナン「出掛けてるというかね……。まぁ、止めても無駄だったっていうか……意外と頑固なのよね……」


紫電「?よくわからないけど……」


タオナン「まぁ、そろそろ帰ってくるんじゃない?」


ガチャ


ひとこ「ただいまぁ……」


紫電「ドンピシャだな……。おかえり!どこ行ってたんだひーちゃん?」


タオナン「ご飯出来てるわよ。収穫はあったの?」


ひとこ「うぅん……。プロデューサーさんに忙しいからダメだって言われちゃった……」


紫電「プロデューサー?テイチョスさんのことか?」


タオナン「違うわよ、今朝からある人を訪ねてて、やっと居場所がわかったの。で、どこにいるの?場所はわかったんでしょ?」


ひとこ「うん。でも、あっちいったりこっちいったりって沢山移動してて、まず捕まらないって烈火さんが……」


タオナン「ふぅん。伊達にトップじゃないわね……。まぁ、ひとこも焦らないでいいわよ。疲れが貯まるだけよ?」


ひとこ「そうだよね。でも、もうちょっとだったのになぁ……」


紫電「なぁ、隠さないで教えてくれよー!いじわるだぜ二人とも!誰の話してるんだ?」


タオナン「誰って、決まってるじゃない。天帝の……」

 

ドカアァン!!

 

紫電「!?な、なんだ今の音!!」


ひとこ「びっくりしたぁ!!外から聞こえてきたよ!?」


タオナン「な、何よ!!舌噛んじゃったじゃない!!」


???『いたた……着地失敗したのじゃ……』


紫電「ん……?なんか聞き覚えのある声がするぞ?」


ひとこ「ま、まさか!!」ガチャ


セレア「こんばんわなのじゃ……。いたた……」


紫電「せ、セレア!!」


ひとこ「セレアさん!!来てくれたんですね!!」


タオナン「久しぶりね!お仕事忙しそうじゃない、元気してた?」


セレア「うむ。タニカワのやつが失礼したのう。心配性なんじゃあいつは……。今日の仕事は早く終わったから、直接飛行してきたのじゃ。何か聞きたいことがあるんじゃろ?」


紫電「ひーちゃんが訪ねてた人って、セレアだったのか!?どうしてまた……」


タオナン「あんたの為よ紫電。ひとこ、ここ最近ずっと心配してたんだから」


紫電「お、俺のため……?」


ひとこ「うん。隠しててごめんね、紫電ちゃん。紫電ちゃんはアイドルとしても希少な鬼の子だから、私たちみたいに天帝からアドバイスもらうのも難しいと思ったんだ。それで……」


セレア「なるほどのう。唯一異色の種族であるわらわなら、何か教えられることが出来ると思ったわけじゃな」


紫電「そうだったのか……。ごめん、ひーちゃん!ありがとうな!!そして、セレア!俺にアイドルのこと、アドバイスしてほしい。お願いします!」


セレア「もちろんじゃ!!その為に急いで飛んできたのじゃからのう!!みんな抜け駆けしおって、他の天帝にばかり良いかっこさせるわけにはいかないのじゃー!」


タオナン「なんだかんだ負けず嫌いなのね、あんた……」

【アイラヴ祭】晶まどかのスカウト【外伝】

まどか「♪『掻き鳴らせよっ心の奥底♪俺のさっけーびはっ天にささるゥ!!』♪」ギャンギャンギャン

 

戸田P「(こいつぁクレイジーな娘っ子だな……。とんでもねぇ激しいピッキングで脳髄にギンギン来やがる……極めつけは……)」

 

まどか「♪『Wow wow うぉーぉう!!ひっびーけ!おっれーの!!ライトニングッ ハーッ!!』♪」ギャオォォンギギィィ

 

戸田P「(この高音域の超萌えボイス……。なんでロックに行っちまったんだこいつは……。もったいねぇ、アイドルやらせりゃ化けるぜこりゃあ……!)」

 

まどか「センキュー!最高だったぜ!!また一緒にグルーヴ奏でようぜみんな!!あばよー!!」

 

戸田P「まちなねぇちゃん!!」

 

まどか「あん!?なんだてめー!許可ならとったぜ!散々サツに怒られて来たけどやっと申請の仕方がわかったからおれはもう合法でやってんだっ!!文句言われる筋合いはねー!!」

 

戸田P「んな野暮な話じゃねぇよ、落ち着きな!俺はスカウトのモンだ……。おら、名刺だ。プロダクション名は音楽やってんならお前でも聞いたことくらいはあんだろ」

 

まどか「す、スカウトっ!?マジかおめー!!(ついにきたかーっ!!やったぜ!!待ってたぜこの時を!!)」

 

戸田P「だがな、残念だがミュージシャンの勧誘じゃあねぇんだ。俺の担当はアイドルのプロデュースだ。お前、やってみる気はねーか?」

 

まどか「あ、あ、アイドルだぁー!?!?なんだこのやろー馬鹿にしてんじゃねーや!!このエレキが見えねぇのかてめー!!クソっ!!ぬか喜びかよチキショー色目で見やがって!おとといきやがれってんだばっきゃろー!!」

 

戸田P「あんだよ、ねぇちゃんアイドル嫌いか?(かかった!!コイツ、釣れるっ!!ラッキーだぜ!!)」

 

まどか「あたりきしゃりきさんしょの木だよ!あんな魂の腑抜けたオンナ達なんかソウルにビートしねー!ママんとこにでも帰んなべいべー!」

 

戸田P「尚更好都合だぜそいつぁよ!俺もアイドルなんてクソ嫌いなんだよ。だけどロックが築き上げた世界観をぶち壊してんのはアイドルじゃねーか。ぶっ壊し返してぇんだよ、俺はよ!」

 

まどか「え……?だっておめー、アイドルのスカウトなんじゃねぇのかよ……?」

 

戸田P「そうだ。だがただのスカウトじゃねぇ。俺はこの腐った音楽世界を内側から変えてぇんだよ……。人の魂にはロックはある筈だろ?本物を聴かしてやりてぇ……。目覚めさせてぇんだよ!世界をよ!!ただのミュージシャンでおめーは満足すんのか!?しねーな!!おめーはそんなタマじゃねぇのさ!!」

 

まどか「お、おれのシャウトが本物だって言うのか……!?お前はおれのロックをわかってくれるのか!?」

 

戸田P「当たり前だ。俺も何十年とロックに震えて来てんだ。本物はわかるぜ、すぐにな。……俺と世界を変えちまおうぜアキラ!!適役はお前しかいねぇ!!」

 

まどか「おれのロックが……世界を変える……!すげぇ……!!やるよ!!やらせてくれ!!アイドルなんざこのおれのハートでぶっ壊してやる!!俺の本物のビートで世界まるごとイカせてやる!!」

 

戸田P「(チョロいぜ!!大穴アイドルゲットだハッハー!!!)」