PFCS SS劇場!

パラレルファクター カルティベイトサーバーのSSをまとめるブログです。主にツイッターでのやり取りを纏めます!

反省ギルス

アスペルギルス「ぬ、ヌハハ、ブワァァーッハッハッハ!!!その程度かご婦人!!こんな脆い棒っきれなど、この身体にカサブタ一つつけることすら敵わぬわ!!ドゥワアァァーハッハッハッハ!!!やりましたぞパパ!!!このアスペルギルスがフリカッセの名誉を貫き通すことに成功しましたぞ!!ハッハッハッハァーッ!!」


ガーナ「うっそだろおい……」


エリーゼ「む、無傷ですって……!?隕石級の攻撃に溶岩のオマケつきだというのに……つ、強い……」


ロクショウ「無茶するのう全く……久々に盾を持ったわ……。支えてもらってすまんな、ガーナ君」


アスペルギルス「ガァーナ王よ!!見たであろう我が実力!!この我が自惚れ等ではなく『真なる強者』である証拠を!!認めざるを得まい!!フリカッセはドレスタニアに遅れなどとら……ぬ……ぅ……!?」


ガーナ「あぁ、認めてやろう。『身体の強さだけは』な」


アスペルギルス「う、うおぉ……!?眩暈……が……!!ぐ……ぐうぅ!!何をした!?」


ガーナ「大した奴だ、とどめを刺しきれんとはな……。だが、貴殿が回復する前により多くの攻撃を加えれば済む話。チェックメイトだアスペルギルス殿。貴様程度ならばエリーゼ一人で充分だ」


エリーゼ「言ってくれますね……流石に嫌ですよこんなスタミナお化けを一人でなんて……。『めんどくさい』です」


ロクショウ「なんと!?が、ガーナ君!!こりゃあ、どういうことじゃ!?何故外傷を負っておらんアスペルギルスが苦しんでおる!?」


ガーナ「ほう……かの大戦を防衛し続けた無敵の妖怪軍団を率いる元国王のロクショウ殿がこの程度の仕組みも理解できないとは、衰えましたな、フリカッセも」


アスペルギルス「ぐっ……き、貴様ァ……!!パパへの侮辱は……このアスペルギルスが……断じて許さんぞ……!!」


ロクショウ「口を慎まんかアスペルギルス!!……ガーナ君の言う通り。試したのはワシ達の方じゃ。敗けを認めい!」


アスペルギルス「パ、パパぁ!!な、何故……何故動けぬのだ!!」


ガーナ「アスペルギルス殿、まだわからんのか。これは貴様の失態だ。王の直属を任されたお前がフリカッセ全体に醜態を晒した。王は貴様のような自惚れの過ぎる者の責任を負う立場にある。ロクショウ殿は貴様の失態を被り、ここが戦場であれば妖怪達の未来は貴様によって脅かされることになるのだ。私は冷酷無慈悲の王として世に知られている事は知っているな?二度目は無いと思え」


アスペルギルス「は、はぅあ……!!あ、あまりにも正論っ!!反論の余地なし……不覚……。パパ、申し訳ございませぬ……不甲斐ない……」


ロクショウ「その忠義でもってわしは許そう。反省は忘れるでないぞアスペルギルス。……しかして、何故アスペルギルスは一時的に苦しんだのじゃ?この老いぼれにわかるように説明して下さらんか、ガーナ王よ……」


エリーゼ「ふふ、簡単なことです。『失血』ですよ」


ロクショウ「失血……?一体なぜ……はっ!?ま、まさか!!」


ガーナ「いかに身体が硬化しようが、人と近しい生命である以上その身体には必ず血液が流れているだろう。無論、呼吸も正常に行っている。まさか血まで鉄でできている訳ではあるまい?貴様一人を止めるだけならば、単純明快、『血液を蒸発させれば済む話』だ。私のレーヴァテインの力は火力ではなく持続力にある。その硬い身体の中で長いこと蒸し焼きにし続ければ、身体機能くらいは奪えるだろう。その上、その異常な回復力だがあんまり急激に行えば血を作るための『材料』が足りん筈だ。突然の空腹と眠気にでも襲われると予想するが」


ロクショウ「え、エグいのぉ……。っていうかお前もお前でどんだけしぶといの……」


エリーゼ「しかし……成る程、竜人用、というのは種族的な回復力を見越したものですか……。火力はレーヴァテインの0.3%と聞いていたので、物理攻撃の気休めかと思ってましたよ」


アスペルギルス「は!?ご婦人、い、今なんと!?聞き間違いではないな!?」


ガーナ「はっはっは、大陸を1000日焼く我がレーヴァテインが『こんなちっぽけな建物を吹き飛ばす程度』で済むわけがないだろう。3日分くらいにしなくては大災害もままならん。手加減するなと申されても責任を負えない。許せ、アスペルギルス殿」


アスペルギルス「ぐ、ぐぅ……。……完敗だ。成る程、たった一人の人間が国を統一したという伝承も半信半疑であったが、まさかそれすらも全力では無かったと言うことか……。例え全力の1%にも満たぬその力で負けたという事実があれども、一族の恥どころかもはや名誉にすら感じよう。……ご婦人、今一度無礼を詫びさせてはくれまいか。このアスペルギルス、ドレスタニアによる孤児院への協力は聞いた直後より惜しむつもりは無い。しかし、サターニアという種はそう単純な妖怪ではない。我とてただの私欲で国王陛下に挑んだ訳ではないのだ」


エリーゼ「謀反ともとれる態度でしたけど、悪意はありませんでしたから、敗けを認めるなら水に流します。お話聞きましょう。無礼はどうあれ、あなたの力は借りる必要があると判断したわ……」


ガーナ「物凄くムカついたが実力は誇張していない。あの矢に生身で耐えた褒美だ、言いたくは無いが気絶すらせんとは、流石に冷や汗が出た。話してみろ」


アスペルギルス「感謝致しますぞ国王陛下!!なんと寛大なお方であらせられるか……ウォッホン!!今この我の身体をお試し頂いてお分かりかと存ずるが、我は鋼の肉体を『産まれながら』に持つ種、『ガーゴイルサターニア』である。サターニアが妖怪としてこの身体に受ける呪詛はあまりにも強すぎるがゆえに、その生態系にすら影響を及ぼすことは知っているであろう?そして、我らガーゴイルの眷族はこの特徴を『防壁』として活かす事ができている。だが、サターニアの中には自身の強大な呪詛を自らコントロール出来ぬ者も多くいるのだ。ジェリー婦人の思想を叶えるならば、万が一の際に国を、民を守ることのできる者が必要である。ドレスタニアには『妖怪を制御できる妖怪』がいない。故に、国家全体の力をこの目で計っておきたかった。……暴走したサターニアを『殺さず鎮める』事が出来るかどうか、をな」


ガーナ「ふむ……サターニアの種としての問題か……。確かに、我が国にはヤミタという狼のサターニアの子がいるが、かつて大狼になり大災害を引き起こした事がある。子供であっても油断ならぬと感じたのは、その時からだな」


ロクショウ「ガーナ君、わしは人間なりに妖怪を深く理解しておる。妖怪は、自分達の呪詛に対し恐怖を抱える者が多数おるのじゃ……。そのヤミタという子も、自分の意思ではないのだろう。戦っておる。サターニアは、自分の能力に恐怖を抱くがゆえに、移動民族として各地を放浪していたんじゃ。わしもドレスタニアに安寧の地が生まれることを心から期待したい」


エリーゼ「無視できない問題ね。ここ最近になって初めてこの国にも平和が現れ始めましたけれど、二度と種族戦争を起こさないためにもあなた方妖怪の事をもっと知る必要があるわ。今日連れてきた蛾のサターニアの子も、存命の危機に見舞われているわ」


アスペルギルス「!?蛾のサターニアですと!?ま、まさか……ドレスタニアには『モスサターニア』がまだ生きておられるのか!?な、なんと……なんという奇跡……!!何故それを早く仰って頂けなかったのか!!こんなところで遊んでいる場合ではない!!直ぐに食事を共にしましょうぞ!!さぁ!!急ぐのだ!!おぉ神よ、感謝致す!!ふはは、今世紀最大のニュースである!!人生とは不思議なものよ!!日に『二度』も奇跡を味わうことができるとはな!!ヌハハハハ!!」


ロクショウ「あ、これ!!またんかアスペルギルス!!まったくあいつはいつもいつも活発過ぎてついていけん……」


ガーナ「なんで失血状態で平然と走れるのだあいつは……」


エリーゼ「私の方が倒れそうです、ガーナ様……」

お遊びバクセラ

アンナ「な……なんなのかしら……ここは……(謎の部屋に監禁シチュ……!こ、この展開!まもなく屈強な男達が部屋に押し入ってきてきっと恥ずかしい写し絵をダシにあんなことやこんなこt)」


レイリ「変わった部屋。とてもカラフル。目が痛い。でも、楽しい気がする部屋」


用心棒「……」


アンナ「王様がいないわ……ね、ねぇ、あなた起きてたわよね……?えぇっと……」


用心棒「……」チッ


アンナ「あひぃっ!!(こわいわこわいわ!この人こわいわ!!)」


レイリ「ドレスタニアの用心棒。裏庭でよく寝てる。騒音が嫌い」


アンナ「あ、そ、そう……。仕事柄無口なのね……(この人が連れてきたんじゃないよね……ヒッ!?ままま、まさか女の子が趣味っていうこともあr)」


レイリ「喋るのはレイリとアンナの勝手。気にしちゃダメ。母親は負けない」


用心棒「……クックック」ケタケタ


アンナ「だ、だってぇ……。あら……?あんなところに大きなお人形が……」


レイリ「……!そこには何もなかった筈……!近づいちゃ駄目……!」


バクセラ「─────────」


アンナ「ま、待って!お人形じゃないわ!!何か喋ってる!!」


バクセラ「─────────」


レイリ「む……わからない……とてもか細い声……」


用心棒「……」ガタッ


アンナ「ヒィッ!!」ビクンッ


用心棒「……」ムンズ


アンナ「ちょ、ちょっとやだ!なになになに!?なんで掴むの!?(やっぱりやっぱりそうなの!?どうするアンナ!まだそっちの趣味は興味はあれど未開はt)」


バクセラ「──────────」パアァ


レイリ「笑った……。何か期待してる……」


アンナ「え、えぇ……!?(この歳で!?この歳でそこまで守備範囲広いの!?何者!?)」


用心棒「……」グイッ


アンナ「あっ!痛い!!お願い、髪はやめて髪は!!(き、キタ……ついに壊されちゃうんだわ……アンナが汚されちゃう……さようなら綺麗なアンナ……さようなら純粋なアンナ……)」


バクセラ「──────────」ワクワク


レイリ「……まて。髪を整えて欲しいんだと思う。たぶん」


アンナ「うひぇぁ!あ、あたしに!?あ……み、三つ編み?(待って!!落ち着くのよアンナ!!よ、よく見ればこの子、この透き通った宝石のような髪の毛、とっても綺麗で美しくて神秘的でたまらない……。はぁ、見ているだけで唾液がとまらないわっ……!チャンス……幼女の髪を合法的になでくりまわす絶好のチャンスっ!覚悟を決めなさいアンナ!!何年この時を妄想したと思ってるのよ!!うっ……ゴクリ……もうダメよ、こ、このままにしておけない……食べ頃っ……!!ウフフ……ウフ……緊張する興奮する背徳感溢れて弾けr)」ボフン


バクセラ「──────────」パアァ


用心棒「……」ポイッ


アンナ「ハッ!?(危ない危ない……)よ、用心棒さんにはこの子の声が聴こえてるみたいね……。このブラシはそういうことでいいのね……?(合意の上ってことよね??証人もいるわよね???アリバイは完璧ってことなのね????や、やるわよぉアンナ!しっかりぃアンナ!!フーッ!フーッ!ハアァン!!)」


レイリ「成る程。ここはその子の部屋。レイリ達と遊ぶために呼んだ。そして、ここはフリカッセ城……。つまり、この子が主!法務大臣、『夢想のバクセラ』……!」


バクセラ「──」コクッ


レイリ「部屋を分けた理由がある筈。きっと。他の皆も別の部屋にいる筈」


用心棒「……」スッ


バクセラ「──」フリフリ


アンナ「とりあえず話が通じあってるらしいこの二人に従った方がいいのね。……それなら、わかった。やったげる。なんだか妹が出来た気分だわ(こ、この歳でまさか夢にまでみた『妹属性』を堪能出来るだなんて!!こ、口角が上がっちゃうっ!!イ、イヒッ!!フヒヒィ!!駄目ぇ衝動が抑えられないぃ!!)」


バクセラ「──────────」


用心棒「……」ガシッ


レイリ「む。レイリも捕まった。こ、これは!?人を投げ飛ばすモーション!!」


用心棒「……」ブォン!


レイリ「おお……!?」バサァ


バクセラ「──」パアァ


レイリ「むむ、天井に蝶の飾り……。成る程。蝶が好き。しかしレイリは蛾……」パタパタ


バクセラ「──────」モジモジ


用心棒「……クックッ。好きにしろ」


アンナ「!?(よ、用心棒さんが……)」


レイリ「喋った……!!」


用心棒「……」チッ


アンナ「あ、あれ……?なんだか……眠……く」パタン


レイリ「むむ……急に眠気……」ガクン


用心棒「クックックッ…………………………」スゥ…

 

 

 

バクセラ「───」クスクスクスクスクスクス

お試しデルマ

ジェリー「凄い音がしましたわ!?なんですの!?」


トリコデルマ「心配ないですよ。また兄さんだと思います。多分。あ、僕の勘です。違うかもしれません。違う前提でお願いしますすいません……。でもいつも兄さんは凄い音たてます……」


ユーミン「君誰?ぎゃんかわなんですけど~❗ユーミンこういう子ハグしたみあるんだよね💕」


ジェリー「そういえば、アルテルナリア様とお話ししていたら、みなさんで気絶してしまったのでしたわ!あなたが運んでくださいましたの?」


トリコデルマ「えぇ、そうです。兄さん、あ、四人衆が一人、アスペルギルスが腕試しにとガーナ陛下とエリーゼ外交官を持っていってしまったので、姉さん達と話し合ってそれぞれ会食の前にテストをしようという運びになりました……。といっても、僕のテストなんてちっぽけなものです……塵みたいなものです……姉さんたちの暇潰しのついでですから……お付き合いいただけますか?」


ユーミン「なになに?ユーミンクイズとか得意だし❗任せて任せて✨」


ジェリー「え、えぇ、構いませんことよ。でも、わたくしただの人間で、満足いただけるかどうか……」


トリコデルマ「いいえ、貴女だからこそ僕のテストを受ける意味がある。他の方には問いません。でも、貴女にだけは受けていただきたいのです。このテストは、貴女の為のテストなのですから……」


ジェリー「わ、わたくしの為の……?……もちろん、お受け致しますわ。今日のこの会食は、わたくしの我が儘ですの。わたくしだけが逃げる訳には参りませんわ……!」


ユーミンユーミンは⁉ねぇユーミンは⁉おいてけぼっち⁉」


トリコデルマ「……ユーミンさん、貴女は僕なんかよりこのテストをするに相応しいものを持っています。貴女の性格、第一印象、お話を通して感じたこと。貴女は、『陰』のサムサールでしょう」


ユーミン「いん?何それ?ユーミンユーミンだよ?」


トリコデルマ「『陰』の眼を持つサムサールには、傾向として『正』の気を纏いやすい。すなわち、明るい性格のサムサールには『負の呪詛』が宿っています。この性質は、他者に悪影響を及ぼす危険な性質です。」

 

ジェリー「なるほど……ですわ」

 

反面、『陽』の眼を持つサムサールは暗く、陰湿であり、気は『負』で満ちている。そのような性格のサムサールは『正の呪詛』を持っているもの……。これはアルビダ進化録第二版、封印の項に記されている内容で僕の憶測ではありませんので信用に足るものと思います」


ユーミン「すぴー……」


ジェリー「ユーミンさんには、少し難しいお話ですわね……。つまり、眼の能力がネガティブなサムサールさんほど、普段はポジティブになり、その反対もありえる、というお話……それと、わたくしが今から受けるテストとはどう関係がありますの?」


トリコデルマ「サムサールは非常に危険な種族です。この呪いはどちらに傾こうと、大きな悪意に満ちている。元はアルビダの禁忌から産まれてしまった種と聞きます。だけど……だけどこのサムサールが産まれた『真の理由』は僕たちの、眼を私利私欲で悪用する為なんかじゃない!!」

 

ジェリー「ど、どうしましたの……!?落ち着いて……!!わたくしは貴方の敵じゃありませんわ!!」

 

「それを今から試すんだ!!僕はこのフリカッセ国家のサムサール達を率いる四人衆が一人、『拝察のトリコデルマ』!!貴女の本質を今ここで見極めさせてもらうよ…!この『ユーミンさんの第三の眼』で!!」


ユーミン「は、はぇっ⁉もうご飯⁉」ビクッ


ジェリー「な、なんですの!?ま、まさか……やめなさい!!その眼は、ユーミンさんの眼はわたくしたちが見てしまうと……!!」


トリコデルマ「『嫉妬にまみれる』って言うんでしょ?ジェリーさん」


ユーミン「えっ⁉なにすんのちびちゃん❗ユーミンの眼は、バリヤバだよ⁉ちょ、ちょ、ちょ❗」


ジェリー「あ、あぁ……!!なんてこと……貴方……その眼を知ってて……」


トリコデルマ「大丈夫だよジェリーさん。僕だってここにいる。僕はこの眼に耐えられないと思うけど、貴女なら大丈夫だよね。この眼を視てしまったら、僕ら知的生命体には必ず内包されている『機能のひとつ』が強制的に発動してしまうだけだから。問題ないでしょ?ねぇ、嫉妬の眼は、誰に?何に?何処に?何時に?一体、どのように嫉妬するのかな。『他人が羨ましくて?』それとも、『自分が浅ましくて?』どちらも同じようでいて、全く違う。わかるよね?この眼の『本当の意味』、知ってるから来たんだよね?貴女は、ドレスタニアは、この眼を『どう解釈する』のかな?悪意が出るかな?善意を維持できるかな?『本性』はどっちかな?僕はそれをテストする……試してやる……!サムサールはお前たち人間が!!精霊が!!鬼が!!哀れみ笑うような不自由な種族なんかじゃない!!」


ジェリー「……(ユーミンさんは『嫉妬の眼』を持つサムサール……。見たものは、ユーミンさんの明るい性格やナイスバディ、声の高さ、髪の艶、年齢や性別にまで嫉妬したと言いますわ……もしわたくしがこの眼を視たとき、ユーミンさんに嫉妬してしまうのでしょうか……それとも、ユーミンさんには嫉妬しなかった場合、私が嫉妬する対象は何になるのでしょうか……わたくしの過去……境遇……今の目標……種族的な悩み……お金……?いえ、力……?わ、わたくしは……)」


トリコデルマ「サムサールの眼に理性で耐えるなんて無駄だよ。貴女が孤児を救うということは、正義感から?同情?それとも何か、企んでる?……はは、一度嫉妬してみればすぐにわかる。僕に見せてよ、『本当のジェリーさん』を……。それともやっぱり、やめておく?逃げてもいいよ。僕たちは『強い』から」


ジェリー「……いいえ、受けます。ユーミンさん、ごめんあそばせ!わたくしは貴女の眼を避けたくない。受け入れたい……!たとえ何に嫉妬しても、わたくしはそれを認めます!!トリコデルマ様!!あとで『貴方の眼』も御見せいただきますわ!!」


ユーミン「じぇりりん勇気あるぅ✨もち信用するし❗てか、パパっとクリアして絶対ご飯食べるかんね❗」


トリコデルマ「……優しいんだね。もしかしたら……貴女もパパみたいに僕を……いえ、何でもありません。それでは……失礼します!!ユーミンさん!!」


ユーミン「じゃっじゃーん‼おたちだい~✌」

 

 

 

 

ジェリー「……こ……これ……が……わたくしの……嫉妬………………」

お目覚めギルス

アスペルギルス「おぉ、お目覚めか!!間一髪であったな国王!!ヌハハ!!なぁにお気になさるな!妹アルテルナリアは我が誇り!!惚れ惚れするほどに強かったのだ!!不覚をとられたところで名誉に傷はつきますまい!!あぁ、罪深きそして美しき妹よ……元国王をも凌駕せしめるこの忌まわしき妖怪の呪詛……神よ、どうか天罰は兄であるこのアスペルギルスに与えたまえ!!しかしこの前の豪雷ごときでは我が鋼の肉体の薄皮一つ焦がすことすら敵わず!!おのれなんということだ、この天上知らずの鉄壁無敵の呪いこそが我に与えられし罰だとでも仰るのであろうか!!すまぬ我が同胞たちよ!!このアスペルギルス未だ最きょ」


ガーナ「やかましい!!気を失った者の横で騒ぐな!!」


アスペルギルス「ガーナ国王陛下!!これはこれは申し訳ございませぬ!!いやなに、いざ目の前にあらせられるとこの『鉄壁のアスペルギルス』、いささか緊張してしまいましてな?お恥ずかしながら挨拶の『予行練習』が必要かと判断し、より緊迫したシチュエーションでリアルに復唱していたところ。よろしい!!では今一度、我がサターニアの誇りにかけてこのアスペルギルス、最高にして最上の挨拶というものを是非ともご覧にいれましょうぞ!!心して聞きませい!!『おぉお目覚めk」


エリーゼ「うぅぅるっっっさい!!充分よ!!一生分堪能したわ!!それより、ここはどこか説明なさい!!」


アスペルギルス「はっはっは!!なんと気高いご婦人だ!!我が国とは既に交友関係、形式的な挨拶は無用の関係と言うわけか!!素晴らしい、正に騎士道!!それでこそ戦士の娘というものよのぉ、アマゾネスの弓兵よ!!」


エリーゼ「なっ!?ぜ、前半の意味はさっぱりわかりませんけれど、なぜ私が弓使いであることを……」


アスペルギルス「無論、ご婦人のその余念なく鍛え、完成された胸と腰と太ももよ。ほどよくしなる曲線美、細身の身体には芯があり、中々良い形の尻をして」


エリーゼ「わかりましたお見せしましょうこの矢の威力そこになおりなさい変態妖怪!!」


ガーナ「エリーゼ落ち着け!!苛立ちは痛いほど良くわかるが相手は今回の話をお聞きいただく大臣なのだ!!目的を履き違えるな!!無礼だぞ!!」


アスペルギルス「ぬぁーに心配なさるな国王陛下是非ともこの身体をお試しいただきたい!!ここは別棟にある我専用の訓練場!!いかにして暴れようが構うことはない!!このアスペルギルス、我が国最強にして鉄壁の戦士なり!!その攻撃は我にとって極上の土産であり光栄の極み!!ともすれば受けぬが無礼!!見せぬが恥!!そして凌駕せねば裏切りであろう!!一矢と言わず何千矢でも来るがいい!!一番柔らかそうなところに射るがいい!!ナァーハッハッハ!!」


エリーゼ「ぐっ……反射的に構えてしまいましたが流石に射つわけにいきませんよ……。はぁ、わたしの負けです……。ここまで自信満々の妖怪は初めて見ますよ……」


ロクショウ「いや、射ちなさい外交官殿……。わしが許可しよう……」


ガーナ「ロクショウ殿!!」


アスペルギルス「おぉ!!パパ!!ご覧くだされ、我が国の名誉にかけてご婦人の全力の矢、この身でもって凌駕しますぞ!!そして誇るのです!!パパはドレスタニアに決して負けぬ!!劣らぬ!!フリカッセ国は未だ健在であるのだと!!ハァッー!!ハッハッハ!!刮目っ!!」


ロクショウ「ガーナ君、挨拶は後にしてぇ……まぁなんだ、とりあえず射ってやってくれんか……。こやつはこうなると止められん……。人助けだと思って一思いにやってくれ……。最大火力で……」


ガーナ「は、はぁ……。なんだかわからんがロクショウ殿直々の頼みとあらば……。エリーゼ、『煉獄石』を使え」


エリーゼ「ちょっ!?正気ですか!?あれはだって『対竜人用』の……」


ガーナ「構わん。私にそこまで大口を叩いたのだ。全力で立ち向かわなければその者の誇りに傷をつけるだろう。命の保証はせんがな……万が一の時の責任はロクショウ殿にとって頂きますぞ?」


ロクショウ「はっは、お嬢さん、決してわしはガーナ君の実力を軽視している訳じゃないぞ。そやつはガーナ君の話を聞いてからというもの、今日の会食を四人の中で一番楽しみにしておったのだ。いいから、やってやりなさい」


エリーゼ「……知りませんよ。私は……」ガチャ


アスペルギルス「む……?お、おぉ!!なんと美しい……ガラスのように透き通った水晶を削り矢の形をとっているのか!!それに、芯の太さは直径20mmはある!」


ガーナ「それだけではない。あれは大理石を超える硬度でできている鉱石で、重さは約8kg。どこから取り出したかは聞くな」


ロクショウ「ほぉ……城の壁がぶっ壊せる威力が出るのう……なんてものを持ち歩いとるんだ……」


エリーゼ「『その程度』で驚かないでくださる?この石は『ガーディアンストーン』と呼ばれる『属性の加護を封印することのできる宝石』……。ただの属性を入れても充分な代物ですけど、私がここにいれた加護は……」


アスペルギルス「な、なんと!?宝石が発光している……!!おぉこの熱は!!この温度の上昇は!!明らかにただの炎ではない!!」


ロクショウ「はっ!?が、ガーナ君!!まさかとは思うがまさか君まさかまさか……!!」


ガーナ「……あぁ。その石の属性は『私』がいれた。すなわち、『煉獄』だ。耐えられるものなら耐えてみるがいい」


ロクショウ「れ、『レーヴァテイン』じゃと……!?まてアスペルギルス!!ちょっとお前でも痛いかもしれんぞそれは!!」


アスペルギルス「ハァーッハッハッハ!!嬉や!!歓喜!!誉れの極み!!こんなに滾る褒美は出会ったことがあるまいて!!射つがいい、穿つがいいぞアマゾネス!!触るだけで大火傷の巨人でしか扱えぬであろうその矢が射てるのならばなぁ!!ドゥワーッハッハッハ!!!」


エリーゼ「ご心配恐縮。でもごめんなさい?私には火なんて目じゃない『愛の加護』がついてるの。それに、射るのは私じゃありません。私が『シルフィール出身』ということ、紹介が遅れちゃったわね。この弓に『内包されている加護』を解放するわ」


ロクショウ「む……?う、うおおおぉぉぉ!!!なんじゃこの突風は!!と、飛ばされる!!」


ガーナ「真空のゲートを産み出す竜巻がアスペルギルス殿へ繋がった。これぞ必中の弓……愛を結ぶ女神『アルテミス』の弓だ!数kgなど関係ない、この風は『数千kg』でも吹き飛ばす!!」


アスペルギルス「うううおおぉぉぉぉぉぉ!!!見事!!!これほどの風はこのアスペルギルスでも受けたことがない!!フハッ!!足が震えるなど初めてのことよ!!無論、武者震いだがなぁ!!」


エリーゼ「壁に張り付けるつもりだったんですが良く耐えますねあなた……!!至近距離で射つものじゃないんですけど!!そんなに受けたいなら喰らいなさい!!『プロミネンス──

 

ガーナ「あ、エリーゼ、我々火の耐性のアイテムもってな─」

 

──ファイヤーシュートぉ!!!!!!』

 

 

 

 


アスペルギルスの別棟──大破。

お出迎えナリア

ジェリー「ここが妖怪元国家フリカッセ……とても個性的な建築物が沢山ありますわ!とても妖艶で美しい町ですのね……」


レイリ「牧場と違う暖かさがある。過ごしやすい。確信」


アンナ「町の住民の大半は妖怪だと言うわ。サターニアなら、サターニアの区域があるのね(そしてそこは美男子美少女選り取りみどりのもぎ放題で天上天下の酒池肉r)」


ユーミン「超アガるんですけど❗王様王様、ちょっち寄り道していーっしょ⁉お願い❗」


用心棒「……」(チッ)


ガーナ「会食ではご馳走が出る。早く行かねば冷めてしまうぞ?」


ユーミン「はっ⁉それ困るし❗じゃあ帰りにシクヨロ~💕」


エリーゼ「(ガーナ様ガーナ様……あ、あの……本当に連れてきて良かったんですかあの人……)」


ガーナ「抵抗が無かったわけではないが、彼女は純血なアスラーンだ。ドレスタニアの妖怪のピュアな存在としてはある意味、この中で最も適任と言えるだろう……。一応、プロキシを置いていくことも了承していただけた。能力自体は、どういう原理かわからんが索敵の呪詛で外部に害はない」


エリーゼ「(コミュニケーションがとれたんですか……。ところでプロキシ、とは?)」


ガーナ「あの、発光型のアルビダの少女の名だ。代理、という意味らしいが、あの用心棒が名付け親だからか誇らしく思っているそうだ」


エリーゼ「(代理……?また、凄い名前をつけますね……。もう驚きはしませんが、それであの娘は良いのでしょうか)」


ガーナ「意味を知っているか訪ねようとも思ったが、あの娘にその問いは愚問だったな。つけた経緯も理解した上で、気に入っているんだろう」


エリーゼ「(でも……)」


ガーナ「ちなみにいくら小声で話そうが、彼女には筒抜けだ。堂々発言するがいい」


エリーゼ「ひっ!?」


用心棒「……クックッ」


ジェリー「アスラーンは元々警戒心が強いのですわ。子供たちでさえ歩み寄るのに苦労しますもの……ですけれど、妖怪の中でも好奇心旺盛で発想力も豊かで、理解さえしてあげれば皆優しくてよ、エリーゼさん」


エリーゼ「そ、そんなこと言ったってぇ……」

 

 


「うふふ、よく理解していらっしゃいますのね……驚いて出てきてしまいました……」

 

 


エリーゼ「!?あ、貴女!!一体どこから……!!」


レイリ「おぉ……!これはまさか、ニンジャ……」


アンナ「きゃあぁぁ!!(絶世の美女が!!半裸で!!目の前に!!心の準備がっ!!)」ボフン


ユーミン「(ご飯の匂い……まぢ激ウマの予感……)」


アルテルナリア「申し遅れました。私、フリカッセ元王国四人衆が一人……『石眼のアルテルナリア』。お待ちしておりましたガーナ元国王陛下……御会いできて光栄でございます……ゴフゥッ」バタン


ガーナ「い、いきなり吐血っ!?挨拶する隙すらないとは!!」


エリーゼ「ちょ、ちょっと、しっかりなさい!!大丈夫!?無理にお迎えすることなかったのに……!!」


アルテルナリア「い、いえ……これく……らい……平気です……カハッ……」


ガーナ「!?離れろエリーゼ!!毒蛇がいるぞ!!く、不覚……気づかないうちに何者かに襲われていたのか!?」


レイリ「!!ベリエラハブマムシコブラ……!!危険……!!ドレスタニアゾウもイチコロの毒……!!」


アルテルナリア「あ、その子は私の子です。私以外噛みませんのでご安心くだs」ガブッ「ウッ!」ビクンビクンッ


エリーゼ「あ、アルテルナリアさん!!いけない死んじゃう!!しっかり!!カムバーック!!」


ガーナ「や、やむを得ん……!!攻撃して追い払うしか……な…………い……?」


エリーゼ「か……身体……が」


レイリ「お……?動かない」


アンナ「(元々気絶中)」


ユーミン「あはっ❗ハンパない❗指までガッチガチだし✨」


ジェリー「な、なん……ですの……!?これは……」


用心棒「……クックックックッ」


アルテルナリア「……す、すいません、ご無礼をお許しください……ハァハァ……平気なんです……意外と……あ……あまがみ……ですから……あぁ……」ガクガク


ジェリー「(絶対大丈夫じゃありませんわ……)」


ガーナ「な……なんという……呪詛の強さだ……。呼吸すらままならん……」


アルテルナリア「あ……なんてこと……。わたしとしたことが調整を間違えました……10%の力でも人間にはやりすぎなのね……反省いたします……ウグッ……」


エリーゼ「瀕死の……10%で……これほど……」


アルテルナリア「す……すいません……すいません……痺れがとれるまで……しばしそのままで……あ、マズ……」パタン


ガーナ「き、気絶したー!?!?せめて呪詛を解けぇー!!おぉい!!!!」


用心棒「……」ドッコイショ


エリーゼ「よ、用心棒さん……貴女平気なの……?」


用心棒「……(フゥー)」新聞バサッ


エリーゼ「一人で一服するなぁー!!」

【アイラヴ祭】普通でいいの?

常務「紹介しよう。楠千都世(くすのきちとせ)。お前達のデビュー衣装をデザインしてくれる、アイドル兼売れっ子ファッションコーディネーターだ」


ちとせ「よろしく。まぁ同じアイドルだし、特別に『ちせ』って呼んでも構わないわ」


紫電「天帝なのに兼業だなんて凄いな!よろしく頼むぜ、ちとせさん!!


ひとこ「わ、私おしゃれに疎いので、教えてください!ちとせさん!


タオナン「デザイナーのご両親にはいつも仕事でお父様がお世話になってるわ。期待してるわよちとせ!


ちとせ「ちょっと!!なんで誰も『ちせ』って呼ばないのよ!!


常務「千都世、このへっぽこトリオはお洒落に疎い、というよりお洒落という概念がそもそもない。多少骨が折れるだろうがなんとかしてやってくれ」


ちとせ「本当ならわたしのデザインは世界的に有名な人にしかあげないんだけど、常務の頼みなら仕方ないわ。特別に協力してあげる」


紫電「え!?い、いや!!いいよそこまで無茶しなくても!!身体は大事にしろよ!!


ちとせ「比喩表現だから!!そんな気軽に骨折してたまるか!!」


タオナン「で、どうやって作るの?あたしたちがしなきゃいけないことはある?」


ちとせ「そうね、まず重要なことはなんといってもコンセプト。これを決めないことには始まらないわ」


紫電「コンセプトか……どこでエントリーするんだ?俺あんまり自信ないなぁ……」


ちとせ「コンテストじゃない!!コンセプト!!


ひとこ「私、虫って全然触れなくて……」


ちとせ「それはインセクト!!間違える方が難しいでしょそれ!!」


タオナン「確かこの辺に……あったわ!!500Wでいいわね!?」


ちとせ「コンセントでもない!!コンセプトよ!!コンセプト!!あなた達わかっててやってない!?」


常務「コンセプトとは企画や広告を作る上で一貫している目的、概念のことだ。これから作る衣装は『何を意図しているのか』を決めろ、と言っている。テーマのように、自分達が歌いたいことをそのまま言ってみろ」


ちとせ「ファンに伝えたいこと、願い、自分がやりたいことを直感的に言ってみなさいよ。それでコンセプトは作れるわ」


紫電モンスターハンティングXX(ダブルクロス)がほしい?」


ちとせ「私心か!!アイドル関係ないじゃない!!勝手に買いなさいよそんなもの!!」


タオナン「金を貢げ?」


ちとせ「何様よ!!直線的すぎるわ!!」


常務「(流石千都世だ。こいつら相手にツッコミを入れ続けられるとはな……)」


ひとこ「そ、その……コンセプトって『普通のアイドル』でもいいんでしょうか……」


ちとせ「はぁ、はぁ……。ひとこって言ったかしら?やっとまともな答え出てきた……。もちろん構わないわ。普通というものも一つの要素。でもひとつ注意しなさい」


ひとこ「え、注意、ですか……?それってどういう……」


ちとせ「『普通』というテーマは『最も難しい』のよ。コンセプトとはあくまで『目的』。ここを『普通』と決めるなら、あなたは『普通という感想』をみんなに持ってもらわなきゃならないのよ」


タオナン「それはわかるけど、何が難しいのよ。普通って言えば『並み』ってことでしょ?ちゃんとやれば感動させたりするより簡単じゃないの?」


ちとせ「馬鹿ね、『だから難しい』のよ。それならタオナンに答えて貰うけど、あなたが『普通』のスカートを一つ買うなら、『お金はいくらもっていく』かしら?」


タオナン「へっ?スカート……?そうね……『六万』程度あれば普通のスカートならなんとか足りるんじゃない?」


紫電六万!?スカート一着だろ!?」


ひとこ「わわわ!そんなの買えないっ!!


タオナン「え!え!?だってスカートでしょ!?日本のそのへんの二流ブランドの平均的な相場じゃない!!あんたたちはいくらなの!?」


ひとこ「特別な時のご褒美に背伸びして二万円かな……普通のなら1万円くらい……紫電ちゃんは?」


紫電バーゲン狙って600円……


ちとせ「どう?私の言いたいことわかったでしょ?だから、普通って難しいの」


タオナン「え、なんで?意味わかんない


紫電今の話とどう関係あるんだ?


ちとせ「わかりなさいよ!!普通わかるでしょ!?流石の私でもびっくりよ!!」


ひとこ「あ!!そういうことなんだ!!ちとせさんの『普通』は、私たち一人一人が思う『普通』とは違う……ううん、普通って『みんなそれぞれ違う』んだ!!


ちとせ「わたしで気づくな!!!


テイチョス「服の平均的な相場はブランドによって異なる。一般的なブランドもまた、階級や年齢によって異なる。10代後半~20代前半におけるスカートの2017年度平均相場は女性ファッション誌の統計結果で15000から20000と決まったが、実際に店に立ち寄ってみるとセール等を頻繁に行い5000~10000円代まで下がり、またその客の好みや性格によって金額の吟味は細かくわかれてくる。更に、例えディナーに1000円や2000円をかける余裕のある者でも、牛丼チェーン店に入れば基準は一転し、100円や50円の違いを吟味することもある。つまり平均、相場、普通という感覚はいかなる場合でも変動し続ける。紫電でなくとも、バーゲンで買おうとすれば値段はできるだけ安く、それでいてしっかりしたものを、という心理が必然的に働きだす


ちとせ「ちょっとまってあんた誰!?どこから出てきたの!?


テイチョス「テイチョスだ。天井の配線調整をしていた。彼女達のプロデューサーだが今は急用でエアコン修理のアルバイトをしている。唐突なナレーションはただの趣味だ」


ちとせ「さらっと説明されても突っ込みどころが多すぎて反応に困るから!!


タオナン「ごちゃごちゃして良くわかんないけど、ひとこや紫電からしたら高いのね。蟹でよろこんでたものね……」


ひとこ「私も、普通の金額って聞かれたから一万円って答えたけどお小遣いもそんなにないし、本当はいつももう少し安いのを探してたりして……」


紫電(そもそも新しいの買うのが贅沢だなんて言えない空気……)


常務「『普通のアイドル』を売りにすることは決して悪くない決断だ。考え方次第だがな。千都世、お前の力でコイツらに『普通の衣装』を作ってやれ」


ちとせ「え?……できないことはないけど、あなた達はそれでいいの?良く考えた?」


紫電考えてないぜ?


ちとせ「即答すんな!!すこしは考えなさいよ!!」


タオナン「違うわよ、ちとせ。なんだかよくわからないけど要するに、あたし達はこれでいいってことでしょ?常務」


常務「ふっふ、こういう察しのよさはお前らしい。千都世、『このままでいい』。考える必要はない」


ちとせ「何よそれ気持ち悪いわね……。わ、わかったわよ!普通のを作るわ!!とびっきり普通の奴!!わたし知らないからね!!」


ひとこ「ありがとうございます!楽しみです!!」


ちとせ「ふ、ふん!!もう後悔しても遅いんだからね!!

 

 

***

 

ちとせ「常務、ちょっといい?」


常務「む?千都世か。こんな時間に会社へ何の用だ。今日はもう上がるぞ」


ちとせ「たまたまこの辺で撮影のロケがあったから、ちょっと寄ったの。やっぱりわたしよくわからないわよ……。本当にいいの?あの子達のデビューなんでしょ?」


常務「『普通』の件か?視点を変えれば簡単なことだ。我々はこのコンセプトを『』にする。千都世、お前『普通の対義語』はなんだと思う?」


ちとせ「普通の対義語……?えっと……『異常』…『特別』…『奇抜』あたりかしら……」


常務「ならば、あいつらを『奇抜で異常に見せる』なら、どうすればいい」


ちとせ「もう充分奇抜で異常よ!!……って……あっ!!そういうこと!?」


常務「そう。あいつらは『普通』が『一番異常』だ。だから、あいつらは自由にさせる。普通の衣装、普通の舞台、普通の金額、普通の日程。そしてライブが始まれば、ファンはきっと誰もが思うだろう。『なんて奇抜なアイドルユニットだ』とな」


ちとせ「!!なるほどね……。ふふ、湧いてきたわ。面白いじゃない、それ!!


常務「しかしお前、そんなことを聞くためにわざわざ戻ってきたのか?お前はなんだかんだでいつも優しいな」


ちとせ「えっ!!そそ、そんなんじゃないわよ!!バカじゃないの!?わたしが気持ちよく仕事したいから聞いただけ!!あいつらをちょっぴり応援したいだなんて全く微塵も思ってないわ!!勘違いしないで!!


常務「はっはっは、まぁそういうことにしておこう。送ってやるから代わりに書類を持て」


ちとせ「ふん!!持てばいいんでしょ!持てば!!

【アイラヴ祭】私はタオナン。

タオナン「自分らしく、自分らしくっと……」


紫電「お、タオも歌詞作りしてるのか?」


タオナン「そうよ!とびっきりパワフルでエレガントな歌にするわ!!」


紫電「やる気満々だな!ひーちゃんは書けたのか?」


ひとこ「えっ!?う、うん……スゴく普通なんだけど、これが一番かなって……テイチョスさんにも客観的に見てもらったよ」


タオナン「へぇ~、テイチョスに見せればいいのね!!よーっし、待ってなさいよテイチョス!!あっと言わせてやるわ!!」

 

 

***

 

 

テイチョス「あぁー……


タオナン「どう!?かんっぺきでしょ!?大ヒット間違い無しよ!!


テイチョス「ふぅ……。タオナン、よく聞くんだ。歌には『リズム』というものがある。完全に守らなくてはならないわけではないが、ある程度は必須になる。この歌詞からはそのリズムを読み解くことは難解だ。天才作曲家の烈火でも、これを見たら両手をあげるだろう」


タオナン「それほど高度な歌ってことね!!流石あたし!!


テイチョス「……次に、言葉の選び方だが、仮にも華やかなアイドルを観に来る客に対して『耳をかっぽじってよく聴きなさい』や『タコヤキ男共』、『あんた達はATM』というような言葉遣いは、君へのイメージダウンに間違いなく荷担する。もう少しオブラートに包むべきだ」


タオナン「なんでよ、アイドルオタクってあたしの歌も素直に聴けないの?呆れたわ……そこまで基準を下げないとわかってくれないのね……」


テイチョス「最後に、原稿用紙60枚は歌詞にするには多すぎる。長くても一枚半程度に収まるようにしなくては、メディアの限界を超えてしまう。……いいかいタオナン、今は私はプロデューサーとしてアドバイスを君に伝える。他人の曲をもう少し聴きなさい、細かいことはその後練れば良い」


タオナン「な、なんですって……!?つまり、その、要約すると『没』ってこと……!?」


テイチョス「あぁ、ようやく理解してくれたみたいで安心した。今度ばかりは私も全面的に協力するわけにはいかない。アイドルとしての第一歩は、君だけで考えなければ意味がないからだ。また書いたら教えてくれ、私は宣伝費用を稼ぎに炭鉱に行ってくる」


タオナン「ちょ、ちょっと待ってよ!!テイチョス!!テイチョスー!!


テイチョス「(……タオナン、これは乗り越えなきゃならない壁の一つだ。なんとか頑張ってくれ……)」


タオナン「こ、この完璧な歌詞が……没……。何日も考えたのに……」


紫電「タオ……。そそ、そうだ!!今日は寒いから鍋にするぜ……!入れてほしい具材あるか?」


タオナン「蟹……


紫電「ウッ!?(マジか……お、お金あったかな……)」


タオナン「あたしのカード持ってっていいわよ……。子供の頃に接待麻雀でエロハゲ達から巻き上げてたし、預金は沢山あるから……その代わり、食材全部ワンランク上のにして頂戴……」


紫電「いいの!?わぁい!蟹の鍋なんていつ以来かなぁ!!美味しいの作るぜ!!(どの蟹にしようかな!図鑑出してこよう!!)」


タオナン「…………」


ひとこ「た、タオちゃん、大丈夫……?あんまり考え込まない方がいいよ……」


タオナン「……だいじょばないかも……」


ひとこ「歌詞、大変だよね……。あ、そうだ!!誰かにアドバイスもらってみたらどうかな……。私の時も、ひじきさんが助けてくれたんだよ!」


タオナン「嫌よ!あ、あたしの曲なんだから自分で作る!!誰かに頼って作りたくない!!


紫電「タオは自分でやるって決めたら堅いもんな。でも、曲じゃなくて会話するだけでも何か変わるかもよ?誰か自分と近い人に、考え方を教えてもらうっていうか……(このすべすべしたお饅頭みたいな奴にしようかな……)」


タオナン「あたしと似てるタイプなんかアイドルにそうそういるわけ……!!…………一人いたわ!」


ひとこ「えっ!?誰々!?」

 

 

***

 


レン「へぇ~、それで僕のところへ来たってわけね。……ほんと変わってるね君。僕のアドバイスほどアイドルから避けられてるものはないよ?」


タオナン「いいから教えなさいよ!!こっちは切羽詰まってんの!!……あ、ごめんなさい、またムキになっちゃったわ……せっかく時間とってくれたのに……」


レン「ははは、いいよ、君くらいガンガン来てくれる子の方が言い返しがいがあるからね」


タオナン「……わかってるのよ。もっと柔軟になれれば、素直になれればいいんだって。けど、どうしても素が出ちゃう。どうやったら気持ちを押さえられるのか、レンに聞きたいの」


レン「気持ちを抑えるって言ったって、無茶なことを言うね。仮に抑えられたとしても、それが出来れば君はアイドルとして上手くいくの?」


タオナン「知らないわよ。けど、この性格が邪魔ってことだけはわかるわ。アイドルは可愛いものでしょ?音痴で怒りっぽいって、致命的な欠陥よ。なんとかしなきゃ、ひとこや紫電にだって迷惑がかかるわ」


レン「そうかい?僕はそう思わないけどね。君はアイドルに向いてるよ」


タオナン「何、気休め?レンが先輩だからってお世辞言われて喜んだふりできるほど元気じゃないわよ。やめて」


レン「僕がお世辞言うタイプに見える?あっはは、タオナン。君はやっぱりアイドルだ。それも、『そこら辺の子とは比べ物にならないほど』のね」


タオナン「……あたしが?なんでそうなるのよ……理解できないわ」


レン「話す前に、これは烈火が良くする質問なんだけどさ、タオナンはなんでアイドルやろうと思ったのか聞かせてよ。正直にね」


タオナン「それは……はぁ……。聞いたら怒ると思うわよ、レンは特に……」


レン「いいからいいから」


タオナン「『ちやほやされるから』よ。テレビで観てたけど、アイドルってなんか歌とかそんなに上手くないし、こう言っちゃなんだけど、躍りもふりふりしてるだけで顔だって美女ってわけじゃないでしょ?それを観て、私でもやれそうだって思っただけよ。思い付いたからやっただけ……別に落ちてもよかったわ」


レン「思い付きで……オーディション……?」


タオナン「そうよ。みんな真面目にやってるところに、不真面目が入ってった。どう?許せないでしょ?」


レン「……くく!あーっはっはっは!!ご、ご、ごめん!!予想以上だ!!君、スゴいよ!!あーっはっは!!」


タオナン「な、なんで笑うのよ!!普通怒るんじゃないの!?あんた達みたいに本気でやってるアイドルをバカにしてたのよ!?」


レン「はは、はぁ……。ごめんごめん。確かに、並みのアイドルなら怒るだろうね。でもね、タオナン。予想以上だけど『予想外じゃない』よ。君の素質は、そこにあるんだ。君が『他のアイドルに勝てる凄い才能』がね」


タオナン「私の……才能……!?それって一体……」


レン「……その『プライド』だよ」


タオナン「プライド……。今、私が捨てようとしていた……」


レン「そう。捨てようったって捨てられるものじゃない。タオナン、アイドルは確かに可愛ければ注目されやすいし、歌が上手ければちやほやされる。でもそれは所詮、貯金のようなものだ。いつかはその価値も尽きてしまう。上手い歌をずっと歌ったってそのうち飽きられる。可愛い顔ってのも、時間は有限だろ?アルファでない限りは、いつまでも全盛期でいられるわけがない。枯れる花は一瞬なんだ」


タオナン「レンが……引退するって決めたのもそういうことなの?」


レン「『時間切れ』。悩んでてもしょうがない問題だけどね。人はみんな、一度壁にぶつかるとその時は乗り越えられても、次に来る壁を想像して怯んでしまう。スタートラインが上手く行った人ほど、折れるときは悲惨なんだ。でも、君は違う」


タオナン「どう、違うの……?」


レン「壁に当たってること、とっくに気づいてるだろうに、それでも君は『こじあける』だろ。一度決めちゃったら何がなんでもやってのける高いプライドがある。君が一番理解していることだろうけど、『音痴でアイドルはできない』よ。できない『』なんだよ。でも、君はその『音痴を振り落とすオーディション』を受けて音痴のまま今ここにいる。壁だらけの道を、無理矢理壊して進んでいく。君は、『無謀を前に怯まない』。自分で大事な欠陥に気づいてる癖に、辞めようだなんて考えない。そんな子は、僕は君しか知らないよ!ふふ!」


タオナン「な、なんで最後笑うのよ!!褒めてんのかけなしてんのかわからないわ!!結局あたしはアイドルとしてやってけるの!?」


レン「さぁ?少なくとも僕は不可能だと思うけど?」


タオナン「ちょっ!?


レン「『思い付きでアイドルを始める』、『音痴で歌のオーディションに受かる』、『合格初日に天帝に喧嘩を売る』、『名家の一人娘というアドバンテージを捨てる』、『前例のないユニット形式を勝手に組む』、そして……『この僕に口喧嘩で勝つ』……。全部不可能だ。最後のは根に持ってるんだけどね。でも、君はやったろ?だから、僕の意見はなんの参考にもならないさ」


タオナン「……く、グッサグサ刺してくるわね……。こんな、落ち込んでる人に塩ぶっかけるような会話されたのは初めてよ……。でも、とりあえず一つわかった。悩んでても仕方ないってことよね。結局進むしかないなら、同じだわ」


レン「そのとーり。無駄な時間を使うくらいならランニングやストレッチでもしてた方が、『僕ら』には性に合ってるだろ」


タオナン「……」


レン「さてと、それなら僕は行くよ。なんせ『道中マラソンで日本一周温泉旅行』なんて、僕以外絶対できないことだからね。コンディションは整えなくちゃいけない」


タオナン「普通考えすらしないで断るわ……。……ねぇ、レン。最後に一つだけ聞いても良い?」


レン「……なんだい?」


タオナン「あなたは、なんでアイドルなんかになろうと思ったの?」


レン「決まってるだろ。『こんな奴等、僕なら簡単に超せる』って思ったんだ」


タオナン「……ぷっ」


レン「な?予想以上だろ?」


タオナン「あっはは!!最っ低!!ふふふ、あはははは!!


レン「ふふ、幻滅した?これが僕だよ」


タオナン「あはは!……はは……ふう……。いいえ。『予想外ではなかった』わ」


レン「だろ?でも、だからこそ忘れるなよ。現実って奴は予想外ってほど不可能ばかりじゃないけれど、『予想以上に厳しい』。応援してるよ」


タオナン「ありがと。あたしも応援してるわ。……頑張ってね!」


レン「あぁ!そっちこそ!」

 

 

 

レン「(……そう。天帝はみんな、不可能を恐れない『絶対的なプライドの持ち主』だ。君には、その才能がある。応援するよ、『僕は君のファン』だからね……)」

 

 

 ***

 

 

タオナン「テイチョス!!今度こそ喰らいなさい!!これが私の魂よ!!


テイチョス「む、またそんなに書いたのか……タオナン、だから長いと歌詞としては……」


タオナン「違うわよ!!全部別の歌詞!!この紙一枚一枚同じこと違う言い回しで何回も書いてるけどどれか一つくらいパンピーにもセーフなのあるでしょ!!」


テイチョス「何……?ふむふむ……なんと……どれも悪くない。一度社で打ち合わせてみよう。……なんて子だ、考え付くであろうスラングを全て網羅してまでプライドを叩きつけ続けている……。こんな曲作りをしている作詞家なんて私の記録にはいない。タオナン、また君は私の計算を上回ったな」


タオナン「ふふふ、あったりまえじゃない!!アルファなんて目じゃないわ!!あたしはタオナン!!最強のアイドルなのよ!!


ひとこ「おめでとうタオちゃん!!やったね!!」


紫電「流石タオだ!!俺は何も心配してなかったけどな!!」

 

ひとこ「やっぱりタオちゃんが元気だとこっちまで元気になるよね!」

 

紫電「あぁ、タオは一緒にいるととっても楽しい。アイドルだって一緒にやったら、俺たちもファンたちも絶対楽しいに決まってるぜ!」


タオナン「さぁ!お祝いの蟹鍋するわよ!!何やってるの早く早く!!」


ひとこ「わぁい!!蟹だぁ!!ところでこれなんて蟹?」

 

 

***

 


常務「なるほど、完成度も高く、リズムもよく、キャッチーなフレーズもあるものもいくつかあるが……タオナンにはやはりこれしかないだろう」


テイチョス「む……それは暫定でも8分越えは明らかで、内容も最も過激な歌詞だが……」


常務「だから良いんじゃないか。あいつの良さはそこにある。私が見るに、あの三馬鹿の中で最もアイドルとしての才能が無く、『最も人気が出るアイドル』はタオナンだろう。ま、経験に基づく憶測だ。これで行け。この歌詞は私が気に入ったんだ、最初のファンとして保証しよう。ははは、これは業界が沸くぞ」


テイチョス「常務、ひとつ勘違いされては困る」


常務「む?なんだ?言ってみろ」


テイチョス「最初のファンは私だ。悪いが譲るわけにはいかない」